君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

文字の大きさ
上 下
81 / 259
第三章「訪問」

19

しおりを挟む

 気付がくと部屋は真っ暗で、すぐ目の前に神近くんの背中があった。驚いて僕は体を起こすと、ブランケットが滑り落ちる。

 窓から差し込む街灯の淡い光が部屋を照らし、微かな車の走り去る音が聞こえた。ここが神近くんの家なのだと、急に居心地の悪さを覚え僕は膝を抱える。

 まさか神近くんの家に泊まる事になるとは、思ってもみなかった。周りが聞いたらきっと仰天するだろう。

 でも、僕なんかですらこうして神近くんに近付けたのだ。きっとそのうち、神近くんにも親しい友人が出来るかもしれない。僕はそれを一瞬だけ、嫌だなと思ってしまう。

 胸に微かな痛みが走り、慌ててかぶりを振った。なんでそんな非道な事を思ったのだろうか……

 ちらりと視線を神近くんに向けると、静かに寝息を立てて眠っていた。無防備な姿を曝け出し、僕の隣で眠る神近くん。寝姿までサマになっている姿に、嫉妬ではなく何故か胸の動悸が速まってしまう。クーラーが付いていて涼しいはずなのに、僕は身体中が急速に熱を帯び始め、居心地悪く視線を逸らした。

 僕は今までに、恋愛経験が無かったわけじゃない。中学時代にクラスで好きな女の子がいた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

【R18・BL】人間界の王子様とハーフヴァンパイアが結ばれるまでの話

あかさたな!
BL
このお話は予告なくR指定な内容が含まれています(9割はR指定かもしれません) このお話は人間界の王子とハーフヴァンパイアのラブストーリー。 執着気味なハーフヴァンパイアの熱烈なアピールに掌の上で転がされていく王子が多いです。 体で繋ぎ止めたいハーフヴァンパイアと結構そういう方面に疎いまじめな王子が色々されていく日常です。 ーーーーー 2022.3タイトル変更します! (仮)→ 人間界の王子様とハーフヴァンパイアが結ばれるまでの話 2022/03/08 完結いたしました。 最後までお付き合いいただき、大変励みになりました。 ありがとうございます。 これからもこのお話を末長く楽しんでいただけると幸いです。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

妊娠不可避 公爵αの近親相姦

天災
BL
 妊娠は不可避です。  α公爵は、弟を襲います。

【R18】保健室のケルベロス~Hで淫らなボクのセンセイ 【完結】

瀬能なつ
BL
名門男子校のクールでハンサムな保健医、末廣司には秘密があって…… 可愛い男子生徒を罠にかけて保健室のベッドの上でHに乱れさせる、危ないセンセイの物語 (笑)

娘の競泳コーチを相手にメス堕ちしたイクメンパパ

藤咲レン
BL
【毎日朝7:00に更新します】 既婚ゲイの佐藤ダイゴは娘をスイミングスクールに通わせた。そこにいたインストラクターの山田ケンタに心を奪われ、妻との結婚で封印していたゲイとしての感覚を徐々に思い出し・・・。 キャラ設定 ・佐藤ダイゴ。28歳。既婚ゲイ。妻と娘の3人暮らしで愛妻家のイクメンパパ。過去はドMのウケだった。 ・山田ケンタ。24歳。体育大学出身で水泳教室インストラクター。子供たちの前では可愛さを出しているが、本当は体育会系キャラでドS。

ゲイバレした学年一のイケメンは、その日の放課後、陰キャで平凡な俺を犯した

しゅうじつ
BL
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がゲイバレした。 学校中は大騒ぎするなか、ひとつの疑問が皆の頭に浮かぶ。 学年一のイケメン、玉木 宝一郎がが好きな相手は誰なのか。 その日の放課後、陰キャでゲームオタクの俺は偶然、そのイケメン玉木宝一郎と遭遇し、なぜか密室に閉じ込められ2人きりに。 陰キャで平凡のゲームオタクに、とてつもなく執着している美形くんのお話。 美形攻め×平凡受け

一人ぼっちの受けが攻めにセックスの快感を教え込まれる話

よしゆき
BL
発情する体質の生徒が通う学校。発情期はいつも一人で過ごしていた受けだが、偶然後輩の攻めと発情期を過ごす事になった話。 両親と弟妹から酷い扱いをされ育ったので受けは自己肯定感が低く卑屈。

処理中です...