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第二章「正真」
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しおりを挟む『中に入ったらすぐ閉めろ』と書かれた紙の貼られている扉の前に立った僕は、一度大きく深呼吸をする。
神近くんにはきちんと理由を説明して断ろう。不本意だけれども、親友を失うわけにはいかない。
僕は緊張した面持ちで扉を横に開き、後ろ手に扉を閉める。
「ちゃんと来たんですか。僕が部長だと聞いて、怖気づくかと思ってました」
神近くんが机上のパズルに視線を向けたまま、僕に声を掛けてくる。長い指先で、青色のパズルのピースをくるくると回していく。昨日は具合が悪そうだったが、今日は大丈夫なようだった。顔色も昨日よりは悪くない。
「具合、良くなったみたいでホッとしたよ。でさぁ、その事なんだけど……」
どう切り出そうかと悩んでいると、ポケットに入れていたスマホが震えだす。いつまで経っても途切れない所を見ると、電話なのかもしれない。
「ちょっとごめん」
僕は神近くんに断ると、部屋の隅に移動する。危うく盛り塩を蹴りそうになり、冷や汗が流れ落ちていく。
無事を確認すると、ホッと息を吐き出しポケットからスマホを取り出した。画面には『姉』と表示されていて、不思議に思いつつも僕は電話に出る。
「もしもし」
『あんた馬鹿じゃないの!! 鍵家に置きっぱなしとか、ふざけてんの?』
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