青空サークル

箕田 はる

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 台風が増えるこの時期は、なかなか二人に会う機会も少なくなっていた。
 それでも足を止めているわけにもいかず、僕は今ある情報で調べを進めることにした。
 眼鏡くんに関しては時代が古すぎるため、ネットで検索をかけてもめぼしい情報は手に入らなかった。
 眼鏡くんの名字の人間と知り合いだったらいいのだが、なにせ僕の交友関係はないに等しい。
 そこで僕は、眼鏡くんの知識を得たいという気持ちに着目することにした。
 僕が協力出来る範囲であれば、手伝うことは可能だからだ。何かを人に教えるという行為は、トップに対してしかしたことがない。拙くはなってしまうが、そこは我慢してもらうしかなさそうだった。
 なーこの方は、この学校で起きた事件について、何か分かればそれが手がかりになる可能性があった。
 とにかくそっちらから着手しようと、僕は決める。生徒から当たることにしようとしたところで、僕は重大な見落としに気付く。
 誰に聞けば分かるのか、それに誰に話しかければ良いのか分からなかったのだ。
 いくら僕が変わったと二人は言ったとしても、教室での僕の立ち位置は何も変わってはいない。
 同級生達の輪に溶け込んでいるわけでもなく、教室で静かに授業を受け、誰かに話しかけるわけでもなければ、話しかけられもしない。
 だけど、僕が行動しなければ、二人はあの場所に囚われたままになる。
 僕は自分を鼓舞する。生徒が駄目なら、まずは教師からだと。
 HRを終えた放課後、僕は担任教師の背中を追いかけた。
 三年間、僕の担任をしてくれている男性教師の工藤先生は日本史の教科担任もしている。他の教師に比べると、白髪や皺の多さから年齢が高いと僕は思っていた。
 必要最低限の会話しかしてこなかった僕には、担任のプライベートなことは何も知らない。
 ただ、生徒には親身になってくれる優しい教師であることは、周囲の反応や僕に対する接し方で分かっていた。
「先生」
 僕が声をかけると、工藤先生が立ち止まって振り返る。眼鏡の奥の瞳が、一瞬だけ驚いたように見開かれた。
「おお、星河。どうした?」
「実はお聞きしたいことがありまして……」
 廊下のど真ん中では通行の邪魔になると、僕と工藤先生は廊下から階段の踊り場に移動する。人の行き来はあるが、教師と生徒が話をする様子に別段不審には思わないだろう。チラリと見て、すぐさま階段を降りていく。
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