75 / 104
Chapter 2
70*報告
しおりを挟む
舞台よりも、セザールとのイチャイチャを思う存分楽しんだナタリーは、とても嬉しそうに屋敷へと帰ってきた。
もちろん、側にはセザールがエスコートするかたちで立っている。
見るからに2人の距離が縮んでいることに、屋敷の者達は皆微笑ましく出迎えた。
そんな幸せいっぱいな両者へ、アシュリーからもたらされた話はかなり衝撃的なものだった。
「・・・は?」
「・・・・・」
聞かされた話に、ただただ驚くナタリー。
そして、その隣にはどこか呆然とした様子のセザールが寄り添うように立っていた。
アシュリーは、事後を思わせるほど仲睦まじく戻ってきた2人に対し、王城であった出来事を包み隠さず、それはそれは淡々と説明した。
本当は、セザールがいるところで話すつもりはなかったのだが…
たまたま戻りが被ってしまった為、すぐに報告することにしたのだ。
僅かな淡い期待を込めて…
アシュリーは言った。
『おかえり、ナタリー。
さっき王城でね、第七近衛部隊のハリス・ルタリオス様から貴女と間違えて求婚されたから、日を改めるようにと伝えておいたわ。近いうちに彼から連絡があるはずだから、対応よろしくね』
そう2人に伝えると、今にも消え入りそうな小さな声で、「・・・は?」と返事をしたナタリー。
そして、その横で呆然と立ち尽くしているセザールの様子から、アシュリーはセザールとナタリーの関係が上手くいったのだと確信したのだ。
そして、この勢いでいけばセザールもナタリーへ求婚するのではないか!?と、ふみセザールに発破をかけた。
「ハリス様は、とても良い方だったわ。何度も何度も間違いを謝罪して下さったし、彼の方、実は今とても人気のある方らしいの!
少し話をしていただけで、すぐ周りに令嬢達が集まってきて困ってしまったわ」
…と。
正直、アシュリーの性格から『妹に手を出して、やる事やってるんだからさっさと嫁にしろ!』ぐらいには、セザールに対し思っている。だから、これぐらいの意地悪なんて許容範囲だと思ってほしい…そう、アシュリーは思っていた。
しかし、アシュリーやナタリーの思いとは裏腹に…このあと、セザールが発した言葉によって周囲が凍りつくこととなる。
話を聞いたナタリーが「お断りします」と発したのとほぼ同時に、セザールが言ったのだ。
「確かに、第七近衛部隊のハリス・ルタリオス殿であればナタリー嬢にはお似合いですね」と。
その瞬間…
辺境伯家のエントランスは、まるでブリザードが吹き荒れる極寒の世界と化したのであった。
もちろん、側にはセザールがエスコートするかたちで立っている。
見るからに2人の距離が縮んでいることに、屋敷の者達は皆微笑ましく出迎えた。
そんな幸せいっぱいな両者へ、アシュリーからもたらされた話はかなり衝撃的なものだった。
「・・・は?」
「・・・・・」
聞かされた話に、ただただ驚くナタリー。
そして、その隣にはどこか呆然とした様子のセザールが寄り添うように立っていた。
アシュリーは、事後を思わせるほど仲睦まじく戻ってきた2人に対し、王城であった出来事を包み隠さず、それはそれは淡々と説明した。
本当は、セザールがいるところで話すつもりはなかったのだが…
たまたま戻りが被ってしまった為、すぐに報告することにしたのだ。
僅かな淡い期待を込めて…
アシュリーは言った。
『おかえり、ナタリー。
さっき王城でね、第七近衛部隊のハリス・ルタリオス様から貴女と間違えて求婚されたから、日を改めるようにと伝えておいたわ。近いうちに彼から連絡があるはずだから、対応よろしくね』
そう2人に伝えると、今にも消え入りそうな小さな声で、「・・・は?」と返事をしたナタリー。
そして、その横で呆然と立ち尽くしているセザールの様子から、アシュリーはセザールとナタリーの関係が上手くいったのだと確信したのだ。
そして、この勢いでいけばセザールもナタリーへ求婚するのではないか!?と、ふみセザールに発破をかけた。
「ハリス様は、とても良い方だったわ。何度も何度も間違いを謝罪して下さったし、彼の方、実は今とても人気のある方らしいの!
少し話をしていただけで、すぐ周りに令嬢達が集まってきて困ってしまったわ」
…と。
正直、アシュリーの性格から『妹に手を出して、やる事やってるんだからさっさと嫁にしろ!』ぐらいには、セザールに対し思っている。だから、これぐらいの意地悪なんて許容範囲だと思ってほしい…そう、アシュリーは思っていた。
しかし、アシュリーやナタリーの思いとは裏腹に…このあと、セザールが発した言葉によって周囲が凍りつくこととなる。
話を聞いたナタリーが「お断りします」と発したのとほぼ同時に、セザールが言ったのだ。
「確かに、第七近衛部隊のハリス・ルタリオス殿であればナタリー嬢にはお似合いですね」と。
その瞬間…
辺境伯家のエントランスは、まるでブリザードが吹き荒れる極寒の世界と化したのであった。
4
お気に入りに追加
320
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【R18】義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました
春瀬湖子
恋愛
伯爵令嬢でありながら魔法研究室の研究員として日々魔道具を作っていたフラヴィの集大成。
大きく反り返り、凶悪なサイズと浮き出る血管。全てが想像以上だったその魔道具、名付けて『大好き義弟パトリスの魔道ディルド』を作り上げたフラヴィは、早速その魔道具でうきうきと処女を散らした。
――ことがディルドの大元、義弟のパトリスにバレちゃった!?
「その男のどこがいいんですか」
「どこって……おちんちん、かしら」
(だって貴方のモノだもの)
そんな会話をした晩、フラヴィの寝室へパトリスが夜這いにやってきて――!?
拗らせ義弟と魔道具で義弟のディルドを作って楽しんでいた義姉の両片想いラブコメです。
※他サイト様でも公開しております。
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる