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獣人騎士団
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「では、名前を教えてもらえるか?」
「シア…です」
「出身は?」
「・・・・・。」
「わからないのか?では、いつどこで奴らに捕まったんだ?」
「この森で、ついさっき」
「では、あの子供達と一緒の村からきたのか?」
「・・・・・。」
「なぜ答えない?」
「・・・・・。」
そんな事を聞かれても、答えられるはずがない。
自分が今いる場所もわからないうえに、魔女は出身地を明かせないのだから。
現在、私は野党達のアジトに居る。正確には、"元"アジトだった場所に。
ここまでは、しっかり担いで運んでもらった。お陰で少しは体力が回復したと思う。
到着したぞ!との声と共に気がつけば、騎士団に取り囲まれていた。
すでにそこは騎士団に包囲されており、奴等は仲間共々捕まり私と2人の子供は救出された。
そこからの、取調べである。
なんでも彼らは、前々から密輸に人身売買、恐喝に殺人と何でもやっており騎士団にマークされていたとの事。
あの2人の子供は、この近くの村の子供で家の手伝いで薬草を取りに森に入ったところで奴らに見つかり、私がいた森の奥まで逃げてきたらしい。
子供達も、逃げてたらあのお姉さんが座ってたの!と騎士団に説明したらしく、先ほどから、何故この森にいたのか?どこから来たのか?一人で入ったのか?などと質問攻めである。
もちろん、怪しんでいる訳ではなく私を帰すために心配して聞いているのだが…
困った事に、私は話せない。
どの国のどの場所に居るのかわからない上に、国境を通らずにこの場所にいるからだ。
下手に話すと、即、不法入国で捕まってしまう。
咄嗟に呟いてしまった。誰にも聞こえないぐらいの小さな声で。
「気づいたらこの森にいたんだよなぁ…」と。
「「え?」」
「…え?」
(今、声が重なって聞こえたような?)
「それは、どうゆう事だ?」
突然、後方から別の声がして振り向くと同時に、前から「団長!」と目の前に座っていた騎士が立ち上がった。
白い騎士団服の上に紺色のマントを羽織りフードを目深く被っている。袖には金色のラインが3本入っている。他の騎士団の人々よりも体格が大きく感じられる人が私を見下ろすように立っていた。
「・・・こわっ!」
思わず本音が出た。慌てて口を押さえるも、いろいろ遅い。
前にいる騎士団も、部屋の隅で盗品の確認をしていた団員たちもなぜか顔面蒼白でこちらを見ていた。
そんなに、大声で言ったつもりはないのだけど?
不思議に思っていると、「すまない」と上から声が聞こえ彼はフードを取った。
その瞬間、シアは目を瞠った!
「・・・・・・・!!!!!?」
フードをからパサリと綺麗な銀髪が落ち、その上にピコンッ!と立った耳があった。
顔立ちの整った綺麗な顔に、アメジストの大きな瞳がシアを捉えていた。
(え、獣人?)
団長がフードを取ったことを皮切りに、団員たちも皆フードを取り始める。
そして気づいた。
騎士団全員が獣人だということに。
「驚かせたようですまない。我らは、ここルーク帝国の獣人騎士団だ」
「シア…です」
「出身は?」
「・・・・・。」
「わからないのか?では、いつどこで奴らに捕まったんだ?」
「この森で、ついさっき」
「では、あの子供達と一緒の村からきたのか?」
「・・・・・。」
「なぜ答えない?」
「・・・・・。」
そんな事を聞かれても、答えられるはずがない。
自分が今いる場所もわからないうえに、魔女は出身地を明かせないのだから。
現在、私は野党達のアジトに居る。正確には、"元"アジトだった場所に。
ここまでは、しっかり担いで運んでもらった。お陰で少しは体力が回復したと思う。
到着したぞ!との声と共に気がつけば、騎士団に取り囲まれていた。
すでにそこは騎士団に包囲されており、奴等は仲間共々捕まり私と2人の子供は救出された。
そこからの、取調べである。
なんでも彼らは、前々から密輸に人身売買、恐喝に殺人と何でもやっており騎士団にマークされていたとの事。
あの2人の子供は、この近くの村の子供で家の手伝いで薬草を取りに森に入ったところで奴らに見つかり、私がいた森の奥まで逃げてきたらしい。
子供達も、逃げてたらあのお姉さんが座ってたの!と騎士団に説明したらしく、先ほどから、何故この森にいたのか?どこから来たのか?一人で入ったのか?などと質問攻めである。
もちろん、怪しんでいる訳ではなく私を帰すために心配して聞いているのだが…
困った事に、私は話せない。
どの国のどの場所に居るのかわからない上に、国境を通らずにこの場所にいるからだ。
下手に話すと、即、不法入国で捕まってしまう。
咄嗟に呟いてしまった。誰にも聞こえないぐらいの小さな声で。
「気づいたらこの森にいたんだよなぁ…」と。
「「え?」」
「…え?」
(今、声が重なって聞こえたような?)
「それは、どうゆう事だ?」
突然、後方から別の声がして振り向くと同時に、前から「団長!」と目の前に座っていた騎士が立ち上がった。
白い騎士団服の上に紺色のマントを羽織りフードを目深く被っている。袖には金色のラインが3本入っている。他の騎士団の人々よりも体格が大きく感じられる人が私を見下ろすように立っていた。
「・・・こわっ!」
思わず本音が出た。慌てて口を押さえるも、いろいろ遅い。
前にいる騎士団も、部屋の隅で盗品の確認をしていた団員たちもなぜか顔面蒼白でこちらを見ていた。
そんなに、大声で言ったつもりはないのだけど?
不思議に思っていると、「すまない」と上から声が聞こえ彼はフードを取った。
その瞬間、シアは目を瞠った!
「・・・・・・・!!!!!?」
フードをからパサリと綺麗な銀髪が落ち、その上にピコンッ!と立った耳があった。
顔立ちの整った綺麗な顔に、アメジストの大きな瞳がシアを捉えていた。
(え、獣人?)
団長がフードを取ったことを皮切りに、団員たちも皆フードを取り始める。
そして気づいた。
騎士団全員が獣人だということに。
「驚かせたようですまない。我らは、ここルーク帝国の獣人騎士団だ」
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