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番外編

*ノックス・ハイルデン(1)

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★本編:9.婚約破棄成立
その後の閑話として…




「ノックス!喜べ!
トラネスタ公爵家のアリスティア様との婚約が決まったぞ!」


私の人生の中で、これ程喜ばしい日は今までなかった。

初めて、挨拶を交わしたのはアリスティア嬢が社交会デビューをした年だった。
その姿は、幼さの中にも気品があり、まるで上質な人形の様に美しかった。
一目見ただけで心を奪われてしまった。

そんな、彼女に婚約希望を願い出る者達は多かったが、こんな噂もよく耳にした。

「アリスティア嬢は、レオンハルト殿下のお気に入り情事相手らしいぞ!」と。

しかし、ノックスは純粋に思った。

あれだけの美貌をもってすれば、いくら王子殿下であっても夢中になるのは当然だ、と…

それに、彼女は今は婚約者がいない身だ。
誰と、身体を繋げようとも関係ない。

自分にも、は何人かいるのだから。
周りも含めて、皆んなそんなものだと…。


適齢期にさしかかるにつれ、「そろそろ婚約者を決めるように!」と、伯爵である父に言われ始めた。
しかし、なかなか相手を決めようとしないノックスに痺れを切らした伯爵は「誰に申し込むつもりだ?」と問いただす。

儚い夢で終わるだろうが、もし叶う事なら…と、アリスティアの名を出した。

そこから、伯爵は気合を入れてノックスの売り込みに奔走した。
そして、ノックス自身もダメ元で何度もお願いに伺った。
相手は公爵令嬢であり、自分はただの伯爵家だ。身分を始め何もかも、釣り合わないことは重々承知していた。
けれど、一度は夢を見たいと思ってしまった。

…それが、まさか叶うとも知らずに。


父から了承を得たと聞いた時は、嬉しすぎて叫んだほどだ。

しかし、それがプレッシャーとなるなんて思いもしなかった。

身分違いの婚約には、周りからの嫉妬や妬みの嵐だった。それは、男だけでなく女からもあった。

伯爵家ではあるものの、ノックスはもともと顔が良く社交話術も優れており、情事の相手には事欠かなかった。
しかも、受け入れ範囲は幅広く…
上は侯爵令嬢から、下は男爵令嬢まで…
ある時は、未亡人から商家の娘にまで及んだ。

毎日、別の女と共に夜を明かすこともしばしば…

そんな彼も、アリスティアとの婚約が決まった時は全ての女性と関係を断ち切って婚約式を迎えた。

しかし、あまりにも美しく上品で何もかも完璧なアリスティアを前に、ノックスは"めちゃくちゃに犯したい"という願望が強くなっていく。

あの美しい身体を、隅から隅まで舐め回して気が遠くなるほど抱き潰し、自ら腰を振って自分を求めてくるように調教したい…と、思うようになった。

しかし、相手は公爵令嬢だ。
当然、そんなことをしてしまえばアリスティアとの婚約が白紙に戻されるかもしれない。

そして、ノックスは決意する


____式を終えるまでは、アリスティアに手は出さない!と。

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