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火の国【アレース】

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ココを乗せた馬車が王宮を出たと知らせが入ったのは、シエルが意識を手放してから1日が経とうとしていた。

土の民は、土に触れさえすれば相手に気を送り連絡を取り合うことができる。
その為、身体に流れ込んでくるようにして相手の思いや意思が伝わってくる。

それに対し、火の民は"火"そのものを手紙の様に使って連絡を取り合う。
連絡がこれば側に赤い火ではなく、青い火が浮かび上がり瞬く間に火が文字を描きだしてく。

そのような形で、カイルの元へも父である火の王より連絡がきた。

"先刻、治癒力を持つ土の民を送り出した。シエルは容態はどうだ?何が何でも。カイル、そちも無理はするな"


短い文面ではあるが、シエルだけではなく自分のことも心配してくれる父の優しさがひどく辛く感じた。

自分がついていながら、こんなことになってしまったことをカイルはとても悔いていた。

戻ったときに体調が悪そうなことは知っていたのに…
何故、直ぐに医師に診させなかったのか…


カイルは、そっと扉をあけると苦しそうに眠るシエルの横に腰を掛けた。

「シエル、もう少しだ。直ぐにお前を治してやれるからな。あと少しだけ、頑張ってくれ‥」

汗ばむ額をタオルで拭うと、部屋を後にした。


先程、王宮を出たのならどんなに急いでも付くのは明日の午後になるだろう。


カイルは、心の中で願った。

"どうか、どうか、急いでくれ。頼む"と‥

それは、神へなのか亡き親友へなのかは分からない。



しかし、翌日。
このカイルの願いはしっかりと叶えられることとなる。


「カイル殿下!!」

朝食をとっていたカイルの元に届いたのは、昨日王宮を出た者達が、たった今到着したと言う知らせだった。

「こんなに早くか!?」

カイルも、あまりの速さに驚きを隠せなかった。
なんでも、馬車で共に来た従者曰く…

「土の民が、道を綺麗に舗装してくれた為とても早く到着することができました!」

と、話しているらしい。
その言葉に、カイルはセスを思い出していた。
セス達、土の国の使者が火の国に来た際もをしていたなぁ、と。

「では、一旦部屋に案内し休んでもらえ」

どんなに早く到着したとしても、長い時間馬車に乗っていて疲れないわけがない。
カイルは、到着した者達を休ませるように指示を出したのだが、その提案は簡単に覆された。

「いえ、それが今回連れて来た土の民は元々王女宮のメイドでして…"直ぐに王女様の元に参ります"と言われた為、既にシエラ様の元にご案内しております」

「…わかった。俺も向かおう!」


カイルは、"流石シエルのメイドだな"と、心の中で納得すると直ぐに席を立った。


シエル、やったな。お前のメイドがお前を助けてくれるぞ!
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