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火の国【アレース】

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「ご案内致します」

そう言って、クリス王子と王太子を目的の場所へと案内すれば、2人は予想通り絶句していた。

それもそうだろう。
自分の可愛がっている子豚が、自ら好んでにいるのだから…。

しかも、気を取り直したクリス王子が何度呼びかけても、ラスカルはコロコロと太った豚の側を離れようとはしなかった。

半泣きになりながらも、「ここはお前のいる場所じゃないんだよ!」と子豚に向かって説得しているクリス王子。

その横で、「もう諦めろ…」と、でも言いたげな雰囲気の王太子がいる。

ちなみに、2人の様子をヒヤヒヤしながら伺っているのは、この養豚場の責任者だ。
責任者の話によれば、懐いている大きな豚はそろそろ食べ頃なんだそうな。

それを聞いたクリス王子は、今にも泣き出しそうに…

いや、泣き出した。

「ラスカルの友達を食べるなんて、僕は絶対に反対だー!!」

大声で、意を唱えながら泣き出す弟を横目に、兄である王太子は頭を抱えていた。


しかし、結局のところ「ここは食べるために育てている場所だから」と、クリス王子に説明したのち、王太子の指示で養豚場の世話人が子豚とコロコロ豚を引き離しクリス王子へと返された。


見るからに落ち込んでいる弟を励ましながら、王太子とクリス王子は護衛と共に王子宮へと戻っていった。

残された、ココを始めとする数人のメイドと養豚場のスタッフがホッと旨を撫で下ろしたのは言うまでもない。


それから、暫くはクリス王子とシエル王女の機嫌が悪い日が続いたものの、通常通り至って平和な日々を過ごした。



「ミア!ココ!手が空いたら晩餐会の会場の手伝いに行ってちょうだい!」

「「はい!かしこまりました!」」


今日は、月に一度の火の国の王族が一同に集まる日である。

その為、各宮の執事やメイド達は準備のために大忙しだ。
メイド長の指示で晩餐会会場の準備に向かったココを呼び止める声が掛かった。


「あ!いたー!!まってココ!」

呼びかけに反応し振り返ると、王子宮のメイドが手を振っていた。


「はぁ、はぁ…っ貴女、ココよね!?」


息を切らしてまで探されたなんて…
絶対にロクな理由じゃない。

コクリと頷くと、突然両手を掴まれて悲願された。


「お願いっ!!
クリス王子のアマリリスを探して!」



王女宮のメイド長には、もう話をつけてあるから宜しくね!と言って、王子宮のメイドは颯爽と帰っていく。

なんでも、アマリリスが見つからないなら晩餐会に出ない!と言っているらしく、「ココなら探せ出せますから!」と言ってなんとか準備をさせているらしい。
責任重大だ。

ちなみに、アマリリスなんて可愛い名前だが、実際探すのは…

全長2メートル程のヘビだ。


「…ヘビって苦手なんだけどなぁ。
さて、探しますか~」



"アマリリスはどこ?"
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