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プロローグ ~昔話~

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そして、嫁いだはずの土の王女の願いを全てを受け止めた者達は、王女の死を嘆き悲しんだ。
なかでも、怒り狂ったのは土の王を始めとする土の国の王族達だった。

我が愛した姫の、今までされ続けていた仕打ちが、王女の愛した土の国の王族達へと流れ込んでいく。

王女の母である王妃は、号泣しながら崩れ落ち、兄弟姉妹たちは復讐心を燃やした。
そして、父である王は嘆き悲しみ、怒りを募らせていく。

すぐ様、六神国である各王に向けて抗議文を打ち出した。
そして、この度の事を重く受け止め、"今後一切他国との婚約は行わない"と他の5カ国を拒絶したのだった。

それに、真っ先に意を唱えたのは雷の国以外の王族達だった。
なんとか、我が国とは変わらない関係を!と望み一斉に雷の国を非難した。

もちろん、どの国にも闇はある。
しかし、雷の国がしたことは他の国からしても到底許せることではなかった。

そして、この事を皮切りに雷の国と土の国との交流は途絶えようとしていた。
しかも、それは他の国へとも飛び火していく。
何故ならば、土の国の王は雷の国だけでなく、そこと交流のある国とは婚姻させない!と断言したからだ。

他国との交流も減り、雷の国の勢力は目に見えて衰えていった。

そして、雷の国では土の王女に危害を加えた王太子に非難が集中していく。
そして、土の王から雷の王への抗議と王女を死なせた見返りの要望が届いた。

それは…

雷の王太子への断罪ではなく、その元凶となった『の首を届けろ』と言うものだった。

これ以上、土の国の怒りをかっては国が滅びると危惧した王は、王太子の元婚約者であり未だ愛してやまない公爵家へ嫁がせた令嬢を処刑し、その首を受け取りにやってきた土の国使者へと渡した。
王太子は、泣き叫び「何故、私の首ではないんだ!」と使者へ訴えかけた。

その様子に、使者は静かに答えた。

「お前に、我らと同じ…いや、それ以上の痛みを与える為だ」と。

使者として来ていたのは、なんと土の国の王族達だった。

「妹は、どこで眠ったのだ?」

そう、問いかけられた声は背筋が凍るほど冷たく殺気に満ちたものだった。

そして、案内された先は手入れもされていない鬱蒼とした草が生い茂る庭園だった。

共に来ていた兄妹達は、王女が息だえた場所に手をかざすと祈りを捧げた。

(どうか、健やかな眠りを…)


すると、一瞬でそこは王女が好きだったラベンダーの花畑に変貌を遂げた。

心が安らぐようにと…と、願いを込めれば忽ちラベンダーのいい香りが周辺に湧き上がった。

そして、何も言わずその場を後にした。

その後、雷の王太子は生きる気力を失ったように廃人とかした。
雷の王は、愚息の犯した過ちを後世へ伝えるよう指示し、第二王子を後継者とし育て上げた。



このことは、数百年にわたり其々の後世にへと受け継がれていくこととなる。





そして、そこから更に数百年と経った…

現在。



【六神国】の1つ、土の国は

姿を消した。
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