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第6章 悪徳盛り土業者をやっつけろ!

第7話 悪党の親玉ども

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 飛奈、梨名、天衣、そして華鈴が警察に扮して運搬業者を恫喝しているとき、私、柴村保乃はそれぞれの業者の事務所の偵察に向かっていた。

 まず最初に向かったのは搬出業者だ。

 そいつ等のアジトは古ぼけたビルの2階の一室。業務実態は土砂の処理の依頼を受け、搬出先のあたりをつけ、運搬業者に仕事を依頼するだけ。

 たったそれだけなのに月に何百万って売り上げがあるのだとか。

 こんなものなのだろうか?絶対にぼったくってるよね?あり得ない額の売り上げに腹が立って仕方がなかった。

 あんた等のせいでどれだけの人が、どんな思いでいるかとか考えたことあるのかよ。本当にブチ殺してやりたい気分でいっぱいになる。

 しかも違法盛り土、一つだけでも腹が立つと言うのに、それを10個ほど抱えているようなのだ。

 どうりで10日以上全く動きがなかった訳だ。

 従業員は2人だけ、社長と平社員だけの会社だった。会社として所有している敷地もそのビルの一室だけのよう。あたりをつけて依頼するだけなのでその程度の規模で十分なのだろう。

 これでは流石に土砂を運び込むスペースはないと思い社長の自宅を調べると、自宅はマンションだった。そして社員の住所はアパートだった。

「これじゃ難しいわね」

 土砂を運ぶ先は他にするしかないだろう。コイツ等は警察に突き出すのが無難だろうと思い次の現場へ向かう。

 次に訪れたのは搬入業者だ。こっちの会社は敷地にショベルカーなどの重機が並べられていて、そこそこのスペースがあるようだった。

 ただ華鈴の話ではすぐ隣が会長の自宅になっていて、そっちの方が土地は広いようだと言っていたので、会社の敷地を横目に見ながら会長宅の方へ足を向ける。

「な、何これ!これ、個人宅なの?どんだけ儲けてんだよコイツ」

 敷地だけ見たら会社の敷地より広いのは間違いないだろう、建物も古風な日本家屋の造りとなっていて、かなりの大きさのように思われる。

 悪どいお金で相当儲けているのだろう。そいつの自宅の敷地は私がバイトをしていたスーパーより広いように思えた。

 まあ広いってことは大量の土砂を運び込めるってことだからいいのかも。

 ご丁寧に刑務所並みの高い塀もあるし、この中に入れてしまえば、大きな石もコンクリート片も転がり出ることはまずないだろう。

 正面入り口まで来ると、そこは真っ黒な門構えに金色の龍の彫り物が飾られている場所だった。

 趣味悪っ!

 これ自分は反社ですって言ってるようなもんじゃん。

 ここの奴等はやっつけても構わないだろうと思いながら、大きな敷地の大きな塀の周りを一周してみる。

 そこは会長の住宅兼若い衆の住宅でもあるのだとか。若い衆を会長宅に住まわせ、毎日広い庭と、広い自宅の中を掃除させ、違法な会社の仕事をさせる。

 若い衆を働かせて自分は贅沢三昧かー?いい気なもんだな。

 コイツは死刑で構わないだろう。

 取り敢えず龍撃の際、戸惑わないように入手した設計図どおりなのか、くまなく見て回る。

 監視カメラは各所に備え付けられていて、死角がないように等間隔に設けられているようだった。

 そして高台に上り、上から会長宅を覗いてみる。見た感じは特に気になるようなところはないように思えたので、画像を何枚か撮影し会長の自宅の偵察は一旦終了し別の場所へと急ぐ。


 次に向かったのは土地管理者の会社だった。会社自体は普通の会社だったがこちらも会長は反社のようだった。

 コイツの自宅もご丁寧に刑務所並みの大きな塀に囲まれている。土砂の搬入先としてはピッタリのようだ。

 しかし何故、こんなにバカデカい頑丈そうな塀が必要なのだろうか?搬入業者の会長といい、コイツといい、何かからの襲撃に備えてのことなのだろうか?

 もしかしたら私達のようなヒットマンからの侵入を警戒してのことなのかもしれない。そうなると襲撃する時は十分注意を払わなくてはならなそうだ。

 警戒を怠らないようにしながら、こちらの家でも監視カメラの位置などを確認しながら周りを一周する。

 ふぅー、ほんとバカみたいに広い土地に住んでいるから、周りを一周するだけでも一苦労だ。

 散々悪さをして儲けた金で贅沢してきたのだろうが、この贅沢な暮らしが今から土砂で埋もれることになる。

 どんな顔になるのか今から楽しみで仕方がない。

 ようやく正面入り口に到着するとこっちは金色に輝く門となっていて、木彫りの金剛力士像が両脇に設置されていた。

 バカなのか?

 金剛力士像を設置しても悪いことをしている奴には、ご利益もたらしてくれないだろ。

 敵の侵入を防いでくれるどころか、滅びが与えられるわっ!

 中を覗くと自宅には大きな広い庭を構え、錦鯉のいる池なんかもあるようだ。そこには橋なんかも架かっていた。

 隅々まで手入れが行き渡っているように思える。きっと若い衆に毎日手入れをさせているのだろう。

 反社界隈では若い衆を働かせて自分は贅沢三昧が流行っているのだろうか?

 コイツも死刑でいいだろう。

 会社に出入りしている人間、自宅の間取りと何人くらいそこに住んでいるかを確認し私の偵察は終わりとすることにした。

 法の網を掻い潜りやりたい放題やってきた連中に裁きを下してやる。
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