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第2章 悪徳麻薬捜査官をやっつけろ!
第12話 華鈴の方が怖い
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「なんとか振り切れんのか?」
「ダメです。中に避難しましょう」
「応援は呼べんのか?」
「ダメです。携帯も無線も通じません」
「この役立たず共が!」
盗聴されているとも知らず、バカ共のそんな声が聞こえてきた。
石井康静を他の警護者達から引き離すことに成功した私達は、数名の身辺警護者と共に廃工場の中へと追い詰めていった。
こちらの狙い通りになっているとも知らず、廃工場の敷地内の奥へどんどん入り込んでいく。
「全くあんな奴の警護に税金が使われているなんて信じられないわ。SPは4人よ。注意してね」
「了解」
状況報告とともに私が溜息混じりの声でそう言うと飛奈達も呆れた感じの声で了解と言ってきた。
自分の立場を利用し外遊先から違法薬物を持ち込もうとしている。そんな奴の身の安全確保のために国民の血税が使われている。そんなふざけた話はない。
適度なところで車両に仕掛けておいた発煙筒を作動させる。車からモクモクと煙が上がり出し、車内が慌てふためきだしたのが分かった。
車をゆっくり停車させると近くのドアから建物内へ侵入していく。
建物内に入り身を隠したつもりなのだろうが、こちらは赤外線センサーを準備している。向こうの位置など手に取るように分かる。
そうとも知らず、バカな奴らだ。
赤外線センサーを搭載したドローンを舞い上がらせ、反応のある方向へ向かわせる。5人は固まって建物内の奥へと進んでいるようだ。
「華鈴さんどうしたらいいんですかー?」
「天衣と梨名はそのまま後ろから追いかけて行って、飛奈と保乃はまわり込んで」
「了解」
「リーダー、コケないでくださいね」
「なんでよ!コケないわよ!」
「飛奈、足引っ張るなよ」
「引っ張らないわよ!」
飛奈はリーダーのクセにいつも通り、梨名、天衣に弄られていた。
「あなた達こそ、中で迷子にならないようにね」
「それは天衣次第だな」
「こっちから音がするからって向かって、行き止まりに出たのは梨名さんじゃないですかー!」
「コラ!早くしないと逃げちゃうわよ」
こんな状況でもいつも通りに戯れ合いはじめた3人を、私は一括した。
「3人が暴走したら止めて欲しいって言ってたけど、もしかしたらこの状況を止めることも含まれているの?」
保乃からそんな言葉が飛んできた。
「そうよ。ちゃんとそのおバカ三姉妹を制御してちょうだい」
「何笑ってるんですか?保乃先輩、余裕ですね」
「笑わせたのはあなた達でしょ。じゃあ行くわよ」
そんな言葉が聞こえた後、保乃は走り出した。飛奈は残った2人に手を振ってから保乃を追いかけ走り出した。
「じゃあ、私達も行こっか」
「はい」
飛奈と保乃を見送ると梨名と天衣も行動を開始する。
私から全員奥に進んで行ったと聞いているので梨名は入口のドアを躊躇なく開ける。
ドアを開けるとすぐそこは事務所になっているようで、事務机がいくつか並んでいた。その部屋を抜け、奥にあったドアを開けるとガランとした空間が広がった。
あちこちに廃材が転がり、天井は所々剥がれてきていて、壁際には錆びれ果てた機械らしきものが並んでいる。
「足元に注意しながら進むのよ」
私がそう言うと了解とだけ言ってきた。
「どこまで行っちゃったんだよ、アイツ等?」
「あー、2人ともストップ」
私が足元に注意しろと言っているのに、2人は敵の姿が全く見えないので急足を止めようともしないので、止まるよう指示した。
「何だよ?」
向こうは二手に別れたようだった。3人はそのまま奥に進んでいて、2人は追ってくる者を待ち伏せているようだった。
「梨名、天衣、奥に小部屋が見える?そこに2人が身を潜めている。注意して」
梨名と天衣は二手に分かれ両端の壁際まで走った。壁際にある物陰に身を隠しながらゆっくり、ゆっくり進んでいく。
だいぶ接近したところで銃を構えた。あなた達は知らないでしょうけど、いくら身を隠し息を潜めても私にはあなた達の位置が手に取るように分かるのよ。
先に梨名が射程圏内に到着したようだったので、遠慮しないで撃てと指示を出した。
『ダン、ダン、ダン、ダン』
息を潜めている場所に向かって容赦なく銃弾を発射した。
中から大きな物音と共に男性の声が響き渡った。
銃弾は壁を貫通しなかったようだ。中にいた2人とも無事のようでお互いに声を掛け合っている。
「相変わらず下手くそですねー、その距離で外したんですか?」
状況を分かってない天衣が梨名を揶揄うような声を上げた。
「違うわよ!壁が硬くて貫通しなかったのよ!」
「本当ですかー?」
「!!伏せてー」
私は向こうの動きを察知しそう叫んだ。反撃の銃弾が梨名を襲う。
「梨名、大丈夫?」
「あのヤロー、警察のくせに発砲しやがって上司に言い付けるぞ!」
梨名は憎まれ口を叩けるほど元気のようだ。
急な銃撃を受けたが特になんともないようなのでホッと胸を撫で下ろす。
「こっちから撃ったんだから、そりゃー、撃ってくるわよ」
天衣も射程圏内に到着したので二人での銃撃が始まった。
が、繰り返し何度か銃撃したが、効果は得られなかった。
「梨名さんあと何発残ってますか?」
「弾切れー」
「どうするんですかー?」
「どうするって殺るしかないでしょ?」
「違いますよ!華鈴さんにまた怒られますよ!」
「そっち?そうだねー、何発無駄弾撃ってるのよってまた言われちゃうねー、って違うでしょ。アイツ等より華鈴の方が怖いんかい!」
「そりゃそうでしょ、あんな奴らより100万倍華鈴さんの方が怖いですよ」
「コラコラ、全部聞こえているんですけど!」
全くアイツ等は、緊張感というものがないのか?
「敵も弾切れだと思うけど、十分注意して近づくのよ」
「了解、私が引き付けるから、天衣は隙を窺って攻撃して」
「分かりました」
梨名は手を挙げ降参のポーズをし、銃を高く放り投げた。
天衣も同じようにし物陰から出て梨名の後に続く。梨名が『弾切れなので降参します』と言うと向こうも警戒しながらゆっくりこちらに姿を現してきた。
銃口を向けたまま周りに仲間がいないか警戒し、いないことを確認すると『貴様ら何でこんなことしたんだ!』やら『こんなことして許されると思っているのか!』やら色々怒号が飛んできた。
「たまたま落ちていた拳銃を撃ってみたくなっちゃったんですー」
人を小馬鹿にしたような甘い声と甘い仕草をして、梨名は得意の相手の感情を逆撫でするような行動をとる。
敵はその言葉と態度に怒りの感情を露わにし、さらに罵声を浴びせてきた。
拳銃を突きつけ梨名に詰め寄り掴みかかろうとした時、天衣は自分から注意が逸れた一瞬を見逃さなかった。
二人並んで拳銃を突き出している腕を左足で薙ぎ払い、拳銃を弾き飛ばすとそのまま回転し左足を地につけ、その左足を軸にし相手に背後を見せたまま右足で顎を踵で蹴り上げた。
蹴り上げられたSPは血を吹き出し、弾き上げられ意識を失い膝から崩れ落ちる。
振り上げた足を素早く地につけるとそのまま回転し左足の甲をもう一人のSPの後頭部に打ち付けた。
そのまま前のめりになり意識を失いその場に倒れ込んだ。
「よし!」
天衣はSP2人を瞬殺し軽くガッツポーズをし、梨名の方にVサインをしていた。
「なんで!引いてるんですかー!?」
「なんか、やっぱ、凄すぎて引く」
「梨名さんが殺れって言ったんじゃないですか!やらしといて引くとか酷いですよー!」
「マジ無理、私の半径3メートル以内に入ってこないで」
「ちょっと、それは酷くないですかー!」
「酷くないだろ、お前がいつも飛奈に言ってるセリフだろーが」
「それとこれとは別じゃないですかー」
「ダメです。中に避難しましょう」
「応援は呼べんのか?」
「ダメです。携帯も無線も通じません」
「この役立たず共が!」
盗聴されているとも知らず、バカ共のそんな声が聞こえてきた。
石井康静を他の警護者達から引き離すことに成功した私達は、数名の身辺警護者と共に廃工場の中へと追い詰めていった。
こちらの狙い通りになっているとも知らず、廃工場の敷地内の奥へどんどん入り込んでいく。
「全くあんな奴の警護に税金が使われているなんて信じられないわ。SPは4人よ。注意してね」
「了解」
状況報告とともに私が溜息混じりの声でそう言うと飛奈達も呆れた感じの声で了解と言ってきた。
自分の立場を利用し外遊先から違法薬物を持ち込もうとしている。そんな奴の身の安全確保のために国民の血税が使われている。そんなふざけた話はない。
適度なところで車両に仕掛けておいた発煙筒を作動させる。車からモクモクと煙が上がり出し、車内が慌てふためきだしたのが分かった。
車をゆっくり停車させると近くのドアから建物内へ侵入していく。
建物内に入り身を隠したつもりなのだろうが、こちらは赤外線センサーを準備している。向こうの位置など手に取るように分かる。
そうとも知らず、バカな奴らだ。
赤外線センサーを搭載したドローンを舞い上がらせ、反応のある方向へ向かわせる。5人は固まって建物内の奥へと進んでいるようだ。
「華鈴さんどうしたらいいんですかー?」
「天衣と梨名はそのまま後ろから追いかけて行って、飛奈と保乃はまわり込んで」
「了解」
「リーダー、コケないでくださいね」
「なんでよ!コケないわよ!」
「飛奈、足引っ張るなよ」
「引っ張らないわよ!」
飛奈はリーダーのクセにいつも通り、梨名、天衣に弄られていた。
「あなた達こそ、中で迷子にならないようにね」
「それは天衣次第だな」
「こっちから音がするからって向かって、行き止まりに出たのは梨名さんじゃないですかー!」
「コラ!早くしないと逃げちゃうわよ」
こんな状況でもいつも通りに戯れ合いはじめた3人を、私は一括した。
「3人が暴走したら止めて欲しいって言ってたけど、もしかしたらこの状況を止めることも含まれているの?」
保乃からそんな言葉が飛んできた。
「そうよ。ちゃんとそのおバカ三姉妹を制御してちょうだい」
「何笑ってるんですか?保乃先輩、余裕ですね」
「笑わせたのはあなた達でしょ。じゃあ行くわよ」
そんな言葉が聞こえた後、保乃は走り出した。飛奈は残った2人に手を振ってから保乃を追いかけ走り出した。
「じゃあ、私達も行こっか」
「はい」
飛奈と保乃を見送ると梨名と天衣も行動を開始する。
私から全員奥に進んで行ったと聞いているので梨名は入口のドアを躊躇なく開ける。
ドアを開けるとすぐそこは事務所になっているようで、事務机がいくつか並んでいた。その部屋を抜け、奥にあったドアを開けるとガランとした空間が広がった。
あちこちに廃材が転がり、天井は所々剥がれてきていて、壁際には錆びれ果てた機械らしきものが並んでいる。
「足元に注意しながら進むのよ」
私がそう言うと了解とだけ言ってきた。
「どこまで行っちゃったんだよ、アイツ等?」
「あー、2人ともストップ」
私が足元に注意しろと言っているのに、2人は敵の姿が全く見えないので急足を止めようともしないので、止まるよう指示した。
「何だよ?」
向こうは二手に別れたようだった。3人はそのまま奥に進んでいて、2人は追ってくる者を待ち伏せているようだった。
「梨名、天衣、奥に小部屋が見える?そこに2人が身を潜めている。注意して」
梨名と天衣は二手に分かれ両端の壁際まで走った。壁際にある物陰に身を隠しながらゆっくり、ゆっくり進んでいく。
だいぶ接近したところで銃を構えた。あなた達は知らないでしょうけど、いくら身を隠し息を潜めても私にはあなた達の位置が手に取るように分かるのよ。
先に梨名が射程圏内に到着したようだったので、遠慮しないで撃てと指示を出した。
『ダン、ダン、ダン、ダン』
息を潜めている場所に向かって容赦なく銃弾を発射した。
中から大きな物音と共に男性の声が響き渡った。
銃弾は壁を貫通しなかったようだ。中にいた2人とも無事のようでお互いに声を掛け合っている。
「相変わらず下手くそですねー、その距離で外したんですか?」
状況を分かってない天衣が梨名を揶揄うような声を上げた。
「違うわよ!壁が硬くて貫通しなかったのよ!」
「本当ですかー?」
「!!伏せてー」
私は向こうの動きを察知しそう叫んだ。反撃の銃弾が梨名を襲う。
「梨名、大丈夫?」
「あのヤロー、警察のくせに発砲しやがって上司に言い付けるぞ!」
梨名は憎まれ口を叩けるほど元気のようだ。
急な銃撃を受けたが特になんともないようなのでホッと胸を撫で下ろす。
「こっちから撃ったんだから、そりゃー、撃ってくるわよ」
天衣も射程圏内に到着したので二人での銃撃が始まった。
が、繰り返し何度か銃撃したが、効果は得られなかった。
「梨名さんあと何発残ってますか?」
「弾切れー」
「どうするんですかー?」
「どうするって殺るしかないでしょ?」
「違いますよ!華鈴さんにまた怒られますよ!」
「そっち?そうだねー、何発無駄弾撃ってるのよってまた言われちゃうねー、って違うでしょ。アイツ等より華鈴の方が怖いんかい!」
「そりゃそうでしょ、あんな奴らより100万倍華鈴さんの方が怖いですよ」
「コラコラ、全部聞こえているんですけど!」
全くアイツ等は、緊張感というものがないのか?
「敵も弾切れだと思うけど、十分注意して近づくのよ」
「了解、私が引き付けるから、天衣は隙を窺って攻撃して」
「分かりました」
梨名は手を挙げ降参のポーズをし、銃を高く放り投げた。
天衣も同じようにし物陰から出て梨名の後に続く。梨名が『弾切れなので降参します』と言うと向こうも警戒しながらゆっくりこちらに姿を現してきた。
銃口を向けたまま周りに仲間がいないか警戒し、いないことを確認すると『貴様ら何でこんなことしたんだ!』やら『こんなことして許されると思っているのか!』やら色々怒号が飛んできた。
「たまたま落ちていた拳銃を撃ってみたくなっちゃったんですー」
人を小馬鹿にしたような甘い声と甘い仕草をして、梨名は得意の相手の感情を逆撫でするような行動をとる。
敵はその言葉と態度に怒りの感情を露わにし、さらに罵声を浴びせてきた。
拳銃を突きつけ梨名に詰め寄り掴みかかろうとした時、天衣は自分から注意が逸れた一瞬を見逃さなかった。
二人並んで拳銃を突き出している腕を左足で薙ぎ払い、拳銃を弾き飛ばすとそのまま回転し左足を地につけ、その左足を軸にし相手に背後を見せたまま右足で顎を踵で蹴り上げた。
蹴り上げられたSPは血を吹き出し、弾き上げられ意識を失い膝から崩れ落ちる。
振り上げた足を素早く地につけるとそのまま回転し左足の甲をもう一人のSPの後頭部に打ち付けた。
そのまま前のめりになり意識を失いその場に倒れ込んだ。
「よし!」
天衣はSP2人を瞬殺し軽くガッツポーズをし、梨名の方にVサインをしていた。
「なんで!引いてるんですかー!?」
「なんか、やっぱ、凄すぎて引く」
「梨名さんが殺れって言ったんじゃないですか!やらしといて引くとか酷いですよー!」
「マジ無理、私の半径3メートル以内に入ってこないで」
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