4 / 88
一章 ゴミ拾いと冒険者生活
4 ゴミ設定【埃】
しおりを挟む
「何してるんだ、ルーク。珍しいもんでも見つかったか?」
「ううん、埃がすごいなと思って。早速設定してみたの」
「悪いな、掃除する暇もなくて。でもストックの奴が何かやりたそうにしてたが、その分は取っておかなくて良かったのか?」
「どっち道、最初期に選択できるゴミの種類は少ないの。だから増やすためにはスコアを増やす必要があって」
「お前はそっちを選んだと?」
「ごめん、せっかく僕のスキルを役立てようと思ってくれたのに」
「いや、お前が判断したんならそっちの方が正しいだろ。オレもあれこれ命令したくないし。ここは実家じゃないんだ。もっと肩の力抜いて、大人の顔色無理して窺う必要ないんだぜ?」
「うん、ありがとう兄さん」
「貴族と違って平民のベッドは硬いが慣れてくれ」
「そこは大丈夫。最近生まれた妹の為に、僕のベッドは取り上げられちゃったから」
床に寝るのは慣れてるよ、と言う前に「あのクソ親父!」と兄さんは怒りを露わにした。
僕は気にしないで、って言いたかっただけなのに。
翌朝、起きたらスコアが『★0.00/☆2.00』となっていた。
スコアには★と☆があり、埃を拾って増えたのは☆の方。
どうすれば★が増えるのか見当もつかないが、拾っていくうちに増えたらいいな。
「おはよう、ルーク。よく眠れたか?」
「うん、朝食ももらってきたんだ、一緒に食べよ」
「お前は、すぐに環境に適応できて偉いな」
「僕も役に立ちたいからね」
大きくあくびをする兄さんは、あまりにも硬くて歯が折れそうなパンをよく揉み込んでから口に入れた。そうやって食べるんだ。
てっきりスープかなんかで浸してから食べるもんだと思ってたよ。
硬いながらもなんとかお腹に入れ、食事を済ませる。
埃の温床だった室内は掃除した手の室内のようにリフレッシュ。
埃がなくなるだけでこんなに空気が美味しいんだ、と二人して頷き合った。
「さて、情報を精査するぞ。ルーク、お前のゴミ拾いはゴミを選択できるんだったな?」
「正しくはスコアを消費して、とつくね」
「そのスコアっての次第ではなんでも拾うのか?」
「選択した時のスコアを満たしてれば……多分」
「そのスコアっていうのを集めるのが先か。この部屋を見りゃわかる、お前のスキルは成長させ次第で化けるって、オレでもわかる」
「そうなの?」
「オレの『皮剥き』もその類だ。最初は野菜や果実の皮をむいて過ごしたもんだよ。でも成長させて、今じゃ戦闘でも役立ってる。皮を何に見立てるかで戦況を大きく変えるんだ。親父には高貴な我々には不釣り合い
のスキルだって追放されたけどな」
僕はその話を聞いて目を丸くする。
「兄さん、追放されてたの?」
「なんだ、知らなかったのか?」
「僕はてっきり、父さんと折り合いがつかなくて冒険者になったとばかり。それなのに実家にお金を入れてくれてたんだ?」
「あのクソ親父はどこでオレの噂を聞いたか、金になるとわかった途端態度を変えたんだ。弟、お前やセシルなんかがちゃんと食えるようにって金を入れてたのに、オレの気持ちを踏み躙ったんだ。許せねぇよなぁ!」
「落ち着いて、兄さん。僕は大丈夫だから」
「知らぬ間に妹までこさえて、要求金額倍になったんだぞ? これじゃまるでオレは実家の奴隷だ!」
「でも、僕達が三食口にできたのは兄さんのお陰だから、そこは誇ってくれて良いんだよ?」
なんだかんだで兄弟思いの兄さん。
まさか父さんとそんな因縁があったなんて知らなかった。
「ううん、埃がすごいなと思って。早速設定してみたの」
「悪いな、掃除する暇もなくて。でもストックの奴が何かやりたそうにしてたが、その分は取っておかなくて良かったのか?」
「どっち道、最初期に選択できるゴミの種類は少ないの。だから増やすためにはスコアを増やす必要があって」
「お前はそっちを選んだと?」
「ごめん、せっかく僕のスキルを役立てようと思ってくれたのに」
「いや、お前が判断したんならそっちの方が正しいだろ。オレもあれこれ命令したくないし。ここは実家じゃないんだ。もっと肩の力抜いて、大人の顔色無理して窺う必要ないんだぜ?」
「うん、ありがとう兄さん」
「貴族と違って平民のベッドは硬いが慣れてくれ」
「そこは大丈夫。最近生まれた妹の為に、僕のベッドは取り上げられちゃったから」
床に寝るのは慣れてるよ、と言う前に「あのクソ親父!」と兄さんは怒りを露わにした。
僕は気にしないで、って言いたかっただけなのに。
翌朝、起きたらスコアが『★0.00/☆2.00』となっていた。
スコアには★と☆があり、埃を拾って増えたのは☆の方。
どうすれば★が増えるのか見当もつかないが、拾っていくうちに増えたらいいな。
「おはよう、ルーク。よく眠れたか?」
「うん、朝食ももらってきたんだ、一緒に食べよ」
「お前は、すぐに環境に適応できて偉いな」
「僕も役に立ちたいからね」
大きくあくびをする兄さんは、あまりにも硬くて歯が折れそうなパンをよく揉み込んでから口に入れた。そうやって食べるんだ。
てっきりスープかなんかで浸してから食べるもんだと思ってたよ。
硬いながらもなんとかお腹に入れ、食事を済ませる。
埃の温床だった室内は掃除した手の室内のようにリフレッシュ。
埃がなくなるだけでこんなに空気が美味しいんだ、と二人して頷き合った。
「さて、情報を精査するぞ。ルーク、お前のゴミ拾いはゴミを選択できるんだったな?」
「正しくはスコアを消費して、とつくね」
「そのスコアっての次第ではなんでも拾うのか?」
「選択した時のスコアを満たしてれば……多分」
「そのスコアっていうのを集めるのが先か。この部屋を見りゃわかる、お前のスキルは成長させ次第で化けるって、オレでもわかる」
「そうなの?」
「オレの『皮剥き』もその類だ。最初は野菜や果実の皮をむいて過ごしたもんだよ。でも成長させて、今じゃ戦闘でも役立ってる。皮を何に見立てるかで戦況を大きく変えるんだ。親父には高貴な我々には不釣り合い
のスキルだって追放されたけどな」
僕はその話を聞いて目を丸くする。
「兄さん、追放されてたの?」
「なんだ、知らなかったのか?」
「僕はてっきり、父さんと折り合いがつかなくて冒険者になったとばかり。それなのに実家にお金を入れてくれてたんだ?」
「あのクソ親父はどこでオレの噂を聞いたか、金になるとわかった途端態度を変えたんだ。弟、お前やセシルなんかがちゃんと食えるようにって金を入れてたのに、オレの気持ちを踏み躙ったんだ。許せねぇよなぁ!」
「落ち着いて、兄さん。僕は大丈夫だから」
「知らぬ間に妹までこさえて、要求金額倍になったんだぞ? これじゃまるでオレは実家の奴隷だ!」
「でも、僕達が三食口にできたのは兄さんのお陰だから、そこは誇ってくれて良いんだよ?」
なんだかんだで兄弟思いの兄さん。
まさか父さんとそんな因縁があったなんて知らなかった。
68
お気に入りに追加
2,289
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる