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本編
26.金髪縦ロール令嬢マリアンヌ登場!
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デビュタントを終えた妹と歩くクマさん人形の最終チェックを行なってる時、急遽舞い込んできた子爵家の我が領内視察の報。
いきなりだな、と言いつつも僕は特に慌てることもなくその日を迎えることになった。
だって誰も慌ててないし、この世界にはないエアコンとかシャワーにメイドを始め慣れ切っていたので特にどうこう思わなかった。
「アリシア、僕のクマさんMark-IIと勝負だ!」
ジェントルな白髭を生やしたMark-IIはシルクハットを武器に戦うオートマタである。側をぬいぐるみで覆っているが、中にミスリルをふんだんに使って杖の先から〝炎弾猛撃〟を発射する生粋の戦士である。
それを持って構えると、アリシアは嫌がるように抱きしめて僕から離した。
「駄目です! せっかく二足歩行できるようになったのですから、また壊されてしまったら堪りません。ねー、クマさん?」
「クゥーン」
犬じゃん、まんま犬の鳴き声だよそれ。
そう指摘したら、だって本物のクマの鳴き声なんて知りませんしとぶー垂れた。そんな顔も可愛いよと揶揄う。
「アリシア、トール。お客様がお見えだ。お迎えに行くよ」
リード父さんに促されて、仕方なくと言った表情で渋々了承する。だったらまだ僕と遊んでた方がマシだと言いたげだ。
リード父さん曰く、学園時代から仲良くしていた友達であり社交会でも世話になってるシルバーフォックス子爵はチョビ髭を生やしたほっそりとしている叔父さんだった。
父さんより同学年と聞くが、そうは見えない。
父さんが若作りすぎるせいかもしれない。
そして連れてきた子供がなんとも生意気そうな感じでアリシアは僕の後ろに隠れてしまった。僕も苦手だよ、ああいうタイプ。
実家の妹みたいに自分の言ったことはなんでも通ると思ってる。
「トール、アリシア。ご挨拶なさい」
「はい、お父様」
取り敢えず社交の場には出ないが、それなりにマナーの練習はしている。基本的にはスカートの裾を摘んで足を曲げるカーテシーの形を取る。基本的には自分の名前と、アリシアとは双子ということにしている。病弱で社交の場には出れないけど、こうして錬金術で家庭を支えていると仄めかす。
嘘は言ってない。
続いてアリシアが落ち着いたカーテシーを披露する。
僕と違って洗練されたその優美な動きに子爵様とその娘、マリアンヌと言ったか? も、息を呑んでいた。
「レオンハート家が息女、アリシアにございます。シールバーフォックス子爵様、本日はようこそ我が家にお越しくださいました。ごゆるりとお体をお休めください」
その後にこんな言葉がするする出てくるもんだから流石としか言いようがない。さっきまで嫌々だったとは思えない立ち振る舞いである。
「素晴らしい。流石その歳で社交界にデビューしただけはある。リード様もさぞかし鼻が高いことだろう」
「わかるかい?」
「ウチの娘にも見習わせたいくらいですよ」
「それではマリアンヌ嬢が可哀想だ。そうだトール、アリシア。マリアンヌ嬢を案内がてら屋敷をお散歩してきなさい。父さんは少し子爵とお話があるからね」
「はい、マリアンヌ様。こちらへ」
「ええ、よろしくお願いしますわ」
このマリアンヌって子。アリシアに完璧に見惚れてんな。
駄目だぞ、僕の妹なんだからな?
じっと見つめていたら鼻で笑われた。もしかしたら僕には余裕で勝てるとか思ってるのだろうか?
いよいよ持ってその鼻を明かしてやりたくなった。
妹は僕の方に向き直って、どこから行きましょうかと聞いてくる。そこで僕は一番改造した浴室を提案した。
「ここが我が家の浴室ですわ」
「あら、伯爵家のお風呂は随分と手狭ですのね?」
本音かそれとも貶めようとしているのか、その声はどこか見下しているように思えた。
しかし脱衣所から一歩入った途端、真上から叩きつけられる熱風に身を竦ませる。
「きゃ、なんですの!?」
「あらごめんなさい。子爵家では温熱カーテンは知られていらっしゃらないのでしたわね」
「温熱カーテン!? 何よそれは!」
「アリシア、あんまりいじめちゃ可哀想だよ」
「お姉様はこの子の肩を持つのですか?」
ちょっとだけムッとしたアリシア。
きっと僕の発明を馬鹿にしたマリアンヌを見返してやりたくて反抗的な態度に出たのだろう。しかし僕はそこまで望んでないんだよね。だって知らなくて当然だし。
「落ち着いて、アリシア。ごめんね、マリアンヌ様。アリシアはわたくしの錬金術を馬鹿にされると沸点が低くなってしまうのよ。許していただけるかしら?」
「錬金術? 貴方達は一体なんの話をしているの?」
縦ロールに巻いた金髪を上下に揺らしながら詰め寄ってくるマリアンヌ嬢。
「驚かないで聞いてほしいんだけど、この浴槽には世間に公表されてない錬金術の集大成が詰まっているの。温熱カーテンもその一つね」
「詳しく説明して頂けますか?」
少しだけ強気な態度が引っ込んで、こいつやるわねって顔で見てきた。あまりにも聞きなれない言葉と、錬金術が自分の知ってるものとあまりにも違いすぎる事のすり合わせを願い出てきたのだ。
そこで掻い摘んで説明してやると、マリアンヌ嬢はなるほどー、と納得してくれた。本当は意味がわからないのを無理やり納得した形だが。
「これを錬金術で作り上げたというのも凄まじいですが、トール様お一人で仕上げたというのが未だに信じられませんわ」
「お姉様の成果はまだまだございますのよ。ねぇ、お姉様?」
「そうだね。次はどこを案内しようか」
「そうですわね、では調理場に向かいましょう」
次は雇った料理人が働いている調理場ではなく、今まで作り上げた全自動メーカーが所狭しと並ぶ一室だった。
薄ピンクを基調としたカラーリングにいろいろな形のマシンがいくつか並ぶ。そのうちの幾つかを持ち出して、マリアンヌ嬢には先にテーブルに座ってもらった。
「ではお姉様、お茶をお願いします」
「分かったわ」
「その間にわたくしはドーナツを仕上げてしまいますね」
「ええ、わたしくしの分は多めにお願いね?」
「駄目です。均等にします」
「ケチー」
そんな姉妹での些細なやりとり。
10歳になったばかりの貴族令嬢がまさかお茶と菓子を自ら用意するなんて思っても見ないのか、それが目の前に現れた時はそれはもう目玉が飛び出るのではないかというほどの驚きっぷりを見せた。
「まだ熱いので少し冷ましてから頂いてください。マリアンヌ様はお砂糖おいくつ入れますの?」
目の前には見たこともない菓子が並んでいる。
伯爵家では見慣れたドーナツやチュロス、スコーンなどが皿の上に並べられていた。スコーン用にはジャムが用意され、それを好きなだけ乗せてかぶりつき、紅茶を頂く贅沢が展開されている。
「二つ、いただけます?」
「では二つお入れしますね」
ぽちゃんと音を立てて角砂糖が紅茶に入り、時間差で溶けていくのを観察しながら僕が食べているドーナツが目に入ったのだろう。少し食べたそうにしていた。
「わたくし、ドーナツには目がないんですの。でもアリシアはわたくしにあまり食べて欲しくないみたいで」
「だってすぐにお腹周りにお肉がついてしまうんですもの。美容の敵ですわ」
「このフレーバーを入れているので大丈夫よ」
「でもぶくぶくに膨れたお姉様を見るのは忍びないのです」
「ごめんなさい、だからそんな泣きそうな顔しないでよ」
そんな茶番を続けていたら、すぐ横からぷくく、と笑いを堪えるような声が聞こえてきた。
「ごめんなさい、なんだか変に緊張していた私が馬鹿みたいだったわ」
曰く、彼女はマジックキャスターの素質があり、錬金術そのものを馬鹿にしていたそうだ。
しかし自分と同じ歳でありながら社交界デビューした少女がいる。勝手にライバル心をむき出しにしていたけど、蓋を開けたら年頃の少女だった。ひとしきり笑い終えたらスッキリした面持ちでマリアンヌ嬢が改めて詫びを入れてきた。
「本当にごめんなさい。私ね、家を継ぐ都合上同年代には絶対に負けられないと気を張り続けていたの。それと錬金術を馬鹿にしていたのにごめんなさい。無知を晒すようで悪いけど、私に錬金術について色々教えてくれるかしら?」
それは一切偽りのない心。
マリアンヌ嬢の本音だった。年相応の女の子が恥を承知で頭を下げてきている。
無論、その手を払うほど僕は腐っちゃいない。
ここで敵意をむき出しにしてきたら切って捨てるつもりではいたが、攻撃的な見た目に反していい子じゃないか。
「こちらこそよろしくね、マリアンヌ様」
「あの、同い年なんだし、三人だけの時は敬称略を取り払わない?」
「だ、そうよ。アリシア?」
「お姉様は本当に甘々ですね。わかりました、許可します」
「改めて僕はトール」
「わたくしはアリシアですわ」
「トールにアリシアね。私はマリアンヌ、マリーと呼んで頂戴。しかしトール、プライベートでの一人称は僕なのね?」
「悪い?」
「悪くはないけど、変わっているなと思って」
こうして僕たちのプライベートに新しい顔が入ってきた。
マリーは根が悪い子ではないのだけど、自意識過剰で突っ走るタイプなので僕もアリシアも随分と手を焼いた。
案の定というか、浴槽の仕掛けで一番はしゃいだのも彼女だ。
氷結系の魔法で唯一ジャベリンの系統を受け継いだこともあり、彼女は学園に進んでもエリートであり続けるだろう。
でもアリシアとの模擬戦ではコテンパンにやられていた。
魔法vs魔道具の勝負は今のところ0:10で魔道具が圧勝し続けている。
いつ魔法より魔道具の方が優れていると気がつくか、勝負はまだまだ続きそうである。
いきなりだな、と言いつつも僕は特に慌てることもなくその日を迎えることになった。
だって誰も慌ててないし、この世界にはないエアコンとかシャワーにメイドを始め慣れ切っていたので特にどうこう思わなかった。
「アリシア、僕のクマさんMark-IIと勝負だ!」
ジェントルな白髭を生やしたMark-IIはシルクハットを武器に戦うオートマタである。側をぬいぐるみで覆っているが、中にミスリルをふんだんに使って杖の先から〝炎弾猛撃〟を発射する生粋の戦士である。
それを持って構えると、アリシアは嫌がるように抱きしめて僕から離した。
「駄目です! せっかく二足歩行できるようになったのですから、また壊されてしまったら堪りません。ねー、クマさん?」
「クゥーン」
犬じゃん、まんま犬の鳴き声だよそれ。
そう指摘したら、だって本物のクマの鳴き声なんて知りませんしとぶー垂れた。そんな顔も可愛いよと揶揄う。
「アリシア、トール。お客様がお見えだ。お迎えに行くよ」
リード父さんに促されて、仕方なくと言った表情で渋々了承する。だったらまだ僕と遊んでた方がマシだと言いたげだ。
リード父さん曰く、学園時代から仲良くしていた友達であり社交会でも世話になってるシルバーフォックス子爵はチョビ髭を生やしたほっそりとしている叔父さんだった。
父さんより同学年と聞くが、そうは見えない。
父さんが若作りすぎるせいかもしれない。
そして連れてきた子供がなんとも生意気そうな感じでアリシアは僕の後ろに隠れてしまった。僕も苦手だよ、ああいうタイプ。
実家の妹みたいに自分の言ったことはなんでも通ると思ってる。
「トール、アリシア。ご挨拶なさい」
「はい、お父様」
取り敢えず社交の場には出ないが、それなりにマナーの練習はしている。基本的にはスカートの裾を摘んで足を曲げるカーテシーの形を取る。基本的には自分の名前と、アリシアとは双子ということにしている。病弱で社交の場には出れないけど、こうして錬金術で家庭を支えていると仄めかす。
嘘は言ってない。
続いてアリシアが落ち着いたカーテシーを披露する。
僕と違って洗練されたその優美な動きに子爵様とその娘、マリアンヌと言ったか? も、息を呑んでいた。
「レオンハート家が息女、アリシアにございます。シールバーフォックス子爵様、本日はようこそ我が家にお越しくださいました。ごゆるりとお体をお休めください」
その後にこんな言葉がするする出てくるもんだから流石としか言いようがない。さっきまで嫌々だったとは思えない立ち振る舞いである。
「素晴らしい。流石その歳で社交界にデビューしただけはある。リード様もさぞかし鼻が高いことだろう」
「わかるかい?」
「ウチの娘にも見習わせたいくらいですよ」
「それではマリアンヌ嬢が可哀想だ。そうだトール、アリシア。マリアンヌ嬢を案内がてら屋敷をお散歩してきなさい。父さんは少し子爵とお話があるからね」
「はい、マリアンヌ様。こちらへ」
「ええ、よろしくお願いしますわ」
このマリアンヌって子。アリシアに完璧に見惚れてんな。
駄目だぞ、僕の妹なんだからな?
じっと見つめていたら鼻で笑われた。もしかしたら僕には余裕で勝てるとか思ってるのだろうか?
いよいよ持ってその鼻を明かしてやりたくなった。
妹は僕の方に向き直って、どこから行きましょうかと聞いてくる。そこで僕は一番改造した浴室を提案した。
「ここが我が家の浴室ですわ」
「あら、伯爵家のお風呂は随分と手狭ですのね?」
本音かそれとも貶めようとしているのか、その声はどこか見下しているように思えた。
しかし脱衣所から一歩入った途端、真上から叩きつけられる熱風に身を竦ませる。
「きゃ、なんですの!?」
「あらごめんなさい。子爵家では温熱カーテンは知られていらっしゃらないのでしたわね」
「温熱カーテン!? 何よそれは!」
「アリシア、あんまりいじめちゃ可哀想だよ」
「お姉様はこの子の肩を持つのですか?」
ちょっとだけムッとしたアリシア。
きっと僕の発明を馬鹿にしたマリアンヌを見返してやりたくて反抗的な態度に出たのだろう。しかし僕はそこまで望んでないんだよね。だって知らなくて当然だし。
「落ち着いて、アリシア。ごめんね、マリアンヌ様。アリシアはわたくしの錬金術を馬鹿にされると沸点が低くなってしまうのよ。許していただけるかしら?」
「錬金術? 貴方達は一体なんの話をしているの?」
縦ロールに巻いた金髪を上下に揺らしながら詰め寄ってくるマリアンヌ嬢。
「驚かないで聞いてほしいんだけど、この浴槽には世間に公表されてない錬金術の集大成が詰まっているの。温熱カーテンもその一つね」
「詳しく説明して頂けますか?」
少しだけ強気な態度が引っ込んで、こいつやるわねって顔で見てきた。あまりにも聞きなれない言葉と、錬金術が自分の知ってるものとあまりにも違いすぎる事のすり合わせを願い出てきたのだ。
そこで掻い摘んで説明してやると、マリアンヌ嬢はなるほどー、と納得してくれた。本当は意味がわからないのを無理やり納得した形だが。
「これを錬金術で作り上げたというのも凄まじいですが、トール様お一人で仕上げたというのが未だに信じられませんわ」
「お姉様の成果はまだまだございますのよ。ねぇ、お姉様?」
「そうだね。次はどこを案内しようか」
「そうですわね、では調理場に向かいましょう」
次は雇った料理人が働いている調理場ではなく、今まで作り上げた全自動メーカーが所狭しと並ぶ一室だった。
薄ピンクを基調としたカラーリングにいろいろな形のマシンがいくつか並ぶ。そのうちの幾つかを持ち出して、マリアンヌ嬢には先にテーブルに座ってもらった。
「ではお姉様、お茶をお願いします」
「分かったわ」
「その間にわたくしはドーナツを仕上げてしまいますね」
「ええ、わたしくしの分は多めにお願いね?」
「駄目です。均等にします」
「ケチー」
そんな姉妹での些細なやりとり。
10歳になったばかりの貴族令嬢がまさかお茶と菓子を自ら用意するなんて思っても見ないのか、それが目の前に現れた時はそれはもう目玉が飛び出るのではないかというほどの驚きっぷりを見せた。
「まだ熱いので少し冷ましてから頂いてください。マリアンヌ様はお砂糖おいくつ入れますの?」
目の前には見たこともない菓子が並んでいる。
伯爵家では見慣れたドーナツやチュロス、スコーンなどが皿の上に並べられていた。スコーン用にはジャムが用意され、それを好きなだけ乗せてかぶりつき、紅茶を頂く贅沢が展開されている。
「二つ、いただけます?」
「では二つお入れしますね」
ぽちゃんと音を立てて角砂糖が紅茶に入り、時間差で溶けていくのを観察しながら僕が食べているドーナツが目に入ったのだろう。少し食べたそうにしていた。
「わたくし、ドーナツには目がないんですの。でもアリシアはわたくしにあまり食べて欲しくないみたいで」
「だってすぐにお腹周りにお肉がついてしまうんですもの。美容の敵ですわ」
「このフレーバーを入れているので大丈夫よ」
「でもぶくぶくに膨れたお姉様を見るのは忍びないのです」
「ごめんなさい、だからそんな泣きそうな顔しないでよ」
そんな茶番を続けていたら、すぐ横からぷくく、と笑いを堪えるような声が聞こえてきた。
「ごめんなさい、なんだか変に緊張していた私が馬鹿みたいだったわ」
曰く、彼女はマジックキャスターの素質があり、錬金術そのものを馬鹿にしていたそうだ。
しかし自分と同じ歳でありながら社交界デビューした少女がいる。勝手にライバル心をむき出しにしていたけど、蓋を開けたら年頃の少女だった。ひとしきり笑い終えたらスッキリした面持ちでマリアンヌ嬢が改めて詫びを入れてきた。
「本当にごめんなさい。私ね、家を継ぐ都合上同年代には絶対に負けられないと気を張り続けていたの。それと錬金術を馬鹿にしていたのにごめんなさい。無知を晒すようで悪いけど、私に錬金術について色々教えてくれるかしら?」
それは一切偽りのない心。
マリアンヌ嬢の本音だった。年相応の女の子が恥を承知で頭を下げてきている。
無論、その手を払うほど僕は腐っちゃいない。
ここで敵意をむき出しにしてきたら切って捨てるつもりではいたが、攻撃的な見た目に反していい子じゃないか。
「こちらこそよろしくね、マリアンヌ様」
「あの、同い年なんだし、三人だけの時は敬称略を取り払わない?」
「だ、そうよ。アリシア?」
「お姉様は本当に甘々ですね。わかりました、許可します」
「改めて僕はトール」
「わたくしはアリシアですわ」
「トールにアリシアね。私はマリアンヌ、マリーと呼んで頂戴。しかしトール、プライベートでの一人称は僕なのね?」
「悪い?」
「悪くはないけど、変わっているなと思って」
こうして僕たちのプライベートに新しい顔が入ってきた。
マリーは根が悪い子ではないのだけど、自意識過剰で突っ走るタイプなので僕もアリシアも随分と手を焼いた。
案の定というか、浴槽の仕掛けで一番はしゃいだのも彼女だ。
氷結系の魔法で唯一ジャベリンの系統を受け継いだこともあり、彼女は学園に進んでもエリートであり続けるだろう。
でもアリシアとの模擬戦ではコテンパンにやられていた。
魔法vs魔道具の勝負は今のところ0:10で魔道具が圧勝し続けている。
いつ魔法より魔道具の方が優れていると気がつくか、勝負はまだまだ続きそうである。
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