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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
412.お爺ちゃんのドリームランド探訪24
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ショートワープでたどり着いたのはバグ=シャースの上空。
そこで足を踏み出そうとしたところでガチン、と何かが噛みついた。
やっぱり対空攻撃もあるよね。
ただで踏ませて貰えないのは分かっている。
ならば掌握領域で闇の箱とバグ=シャースを繋げて仕舞えばいいと考える。
バグ=シャースを踏むから不利になるんだ。
ただの闇なら踏み固められる。
「よっと」
とは言え、固められる時間はおおよそ三秒。
その三秒を無駄にしない為にも溜めに入っていた探偵さんが躍り出る。
「貫け! ジャスティスレーザー」
それ、わざわざジャスティスとか付ける意味あるの?
ただのレムリアの器による照射。
もちろんジャスティスとつけてるだけあって聖典側のステータスを付与してのものだろう。
ショートワープで射線から抜け出て闇の箱に対してクトゥルフの鷲掴みを行使。
効果がないのは分かっているが、闇を侵食するのならワンチャン、あると思って仕掛ける。
結果は不明。だが少しだけバグ=シャースの動き出しを弱められた気がした。
この神格の厄介なところは接地面を食い破られるところ。
それ意外にも動きがアグレッシブで環境に影響されない初速などがある。
目で見て判断するのでは遅いのだ。
体がブレたらすぐ横を通り過ぎていたなんて事がままある。
「お義父さん、仕掛けます」
「ならフォローに入るよ」
「助かります」
もりもりハンバーグ君の肉の芽アタック。
「こいつに触れたらアウトだったよな? だが水の棺に閉じ込められたらどうだ? 七の水、〝圧縮棺〟!!」
どざえもんさんの精霊術が肉の芽がヒットしたバグ=シャースを水流の流れによって一つの空間に閉じこめる。
が、そもそもバグ=シャースは水の流れに影響されない特性持ち。圧縮された水の棺から闇が這い出て、その闇から実体化したバグシャースが棺ごと現象を捕食していく。
捕食された場所からじわじわ闇が広がり、やがて自由のみとなる。
「ちぃ、術まで喰らうか。ならば、同じ神の力でならどうだ! 〝聖域棺〟」
同じ精霊術に、ステータスの聖域を押し込めた聖典らしき攻撃手段。これには如何にバグ=シャースとてゴリ押しは通用しない。食い破ろうとする力が萎縮し、闇の中に霧散していく。
もちろんそんな隙を逃すはずもない。
「はい、影ふみ」
「からのー、ジャスティススラッシュ!」
「おかわりはたくさんありますよ! 肉の芽!」
あれほど厄介だったバグシャースがものの数分で完封。
相手に何もさせずに討伐できてしまった。
探偵さんの浄化攻撃も相まってバグ=シャースもタジタジだ。
相性ががっちりハマれば意外となんとかなるのが救いだね。
「いやぁ、お疲れ様。やっぱり影踏みは有効だったね」
「あれがあるとないとでは効率が段違いだな。でも生憎と、僕の周りでそのスキルの所有者は君しかいない。やっぱり君、今から聖典側に鞍替えしない?」
「私にクトゥルフさんを裏切れと?」
「モノの例えの話だよ。君が敵だと僕もやりにくいし」
【よく言うぜ。あんなに生き生きと殴りかかってきたのに】
【むしろ敵対してて御の字じゃないのか?】
【活躍全部持ってかれるからな】
【そう考えると味方になると目の上のたんこぶに】
【それはそれで嫌だな】
「それで、周回が楽になって来たのを加味して一つ提案があるんだけど」
「それってさっきのツルハシと何か関係ある?」
探偵さんが嫌そうな顔をしつつ、聞いてくる。
気付いてる癖にわざわざ聞いてくるんだよね、この人。
「ありますよ。神話生物の皮膚って謎がいっぱいですよね? もし私が影踏み固めてる間に、物理攻撃が通用するのなら是非試してみたいことがあるんだ」
「まさか採掘しろって?」
「そのまさかだよ」
【おい!】
【道徳を母親の胎内に置いて来たのかな?】
【アトランティス人に続く凶刃がバグ=シャース君を襲う!】
【結局あれからやった人いるの?】
【居るわけないだろ】
【会話が可能な生命体にツルハシを振り上げる勇気】
【蛮族かな?】
【正に外道】
「流石にそれは僕にはちょっと。バグ=シャースに同情しますね」
「俺は採掘出来ないぞ? 技能はあるが別段育ててない。当てにしないでもらえると助かる」
【おい、ドワーフwww】
【だめだこの人、アキカゼさんと同じくらい種族特性を活かしてない】
【なぜドワーフを取ったのか、これがわからない】
誰もがみんなどざえもんさんの回答にツッコミを入れていく。
それはそうだよ、だってドワーフ選ぶ人って大概武器の加工、鍛治を生業にしてる人が多いし、採掘なんてそのついでで伸ばすモノだ。
けどどざえもんさんの場合、石の声を登山でしか活かしてない。完全なるアウトロー。まぁ私も人のこと言えないが。
「じゃあ僕の独壇場って事か。誰か手伝ってくれたりなんかは?」
「生憎と僕の採掘技量ではお役に立てない事が先程の塔で証明されてます」
「右に同じ」
「左に同じ」
「全く役に立たない連中だよ!」
一人憤慨する探偵さん。
ここは寧ろ撮れ高と喜ぶ場所じゃないかな?
まぁ失敗すると食われるリスクがあるから誰も挙手しないんだけどね。
私の場合は足止めがメインだ。参加したくても出来ないんだよね。
そんなこんなで私とどざえもんさんも混じって妖精誘引。
本来探偵さんクラスの契りを重ねてようやく復活するバグ=シャースだが、数の力で無理矢理復活させることに成功した。
そして影踏みからのツルハシアタック!
結果を聞く前に損傷した触腕をそこら辺にぶつける様に暴れ出したバグ=シャースが印象的だ。
「なんか異様に痛がってない?」
「そりゃ体の一部を削られたら痛いでしょ」
「切断したって痛みなんて無さそうだったのに?」
「でも成功したんでしょ? 成果は?」
「これ」
探偵さんは親指と人差し指で◯を型取り、取得したアイテムを私に譲渡してみせた。
???。詳細不明の未知の素材。
つまり私に調べろと言う事である。
しかし暴走モードに入ったバグ=シャースは隙がなく、先ほど以上の抵抗を見せた。
どざえもんさんの聖域棺でも封印しきれず、肉の芽の判定にも抵抗し切る。
しかし影踏みからの採掘を複数回仕掛けることで討伐成功!
もう邪魔してくる相手も居ないだろうとスクリーンショットにカメラも添えて鑑定+神格ごと切り取る。
<深淵細胞・バグ=シャースを手に入れた>
バグ=シャースの体表から採れる謎の多い細胞。
陽の光に弱く、闇の中で活性化する。
【聖典特典】
鉱石加工:熟練度150に至った鍛治師にのみ錬成可能。
武器作成:加工した鉱石を使うことで特殊技能【捕食】を付与することができる。新しい技能を手に入れて邪神達の復活を拒め!
【魔道書特典】
取り込み:必要ステータス侵食100・貫通50
自身の神格に取り込むことによって消費したLPの回復速度の上昇、侵食の判定にクリティカルを付与する。
最大三回まで取り込み可能。
取り込むたびに正気度ロールを求められる。
抜いた情報をパーティメンバーにメールで一斉送信。
探偵さんは大笑いし、どざえもんさんともりもりハンバーグ君に至っては渇いた笑いを浮かべていた。
【つまりどう言う事だってばよ】
【ヤバいの発掘しちゃった的な?】
【探偵の人、凄いいい笑顔じゃない?】
【これは乱獲くるか?】
【乱獲しても取り扱えなきゃ意味ねーだろ】
【それ】
「えー、バグ=シャースからは未知の素材を手に入れることが可能でした」
「ほんと少年の予感はどうなってんの? まぁ僕たちにとってもありがたい話ではあるんだけどさぁ」
「早速市場に流して困惑させてたぞ、この人。シェリルさんが今頃頭抱えているだろう」
「素材名だけ見たって意味不だしね」
「これを加工できる人物は一人くらいしか心当たりないけど、聖魔大戦から一番程遠い人だからなー」
「あー、まず外に出ないもんね、ダグラスさん」
【加工!? その素材は加工できるのか】
「聖典側だと鉱石に加工できるっぽいけど熟練度が150必要みたいで」
【高っっっか!!】
【え、桁ひとつ間違えてない?】
【今の鍛治屋で最高熟練度っていくつだっけ?】
【朱の明星が80つってたぞ?】
【聖典側って事は魔導書側もある?】
「あるよ。直接プレイヤーが取り込む事で神格がパワーアップするよ。バグ=シャースの場合は最大3回まで可能で、正気度ロールに成功すれば侵食のクリティカル率上昇とLP回復効果微増だそうだ」
【こっちはパワーアップアイテムなのか】
【でも美味しい話ばかりでもないんでしょ?】
【毎回正気度ロール回すのかよ】
【これは酷い】
「ちなみに必要ステータスは侵食100と貫通が50だ。私は早速試してみたよ。正気度ロールは成功。私の力となってくれるみたいだ」
【この人もうちょっとやそっとのことじゃ正気度減らないでしょ】
【ハンバーグさんは?】
「僕は割り振りすれば足りるけど、正気度が惜しいからここでは勝負できないかな? どうしても欲しくなれば割り振るけど、これ以外の素材と見比べてみてからだね」
【堅実派だな】
【アキカゼさんがむこうみず過ぎるwww】
「失礼な。私は必要だと思ったから獲得したんだよ? 割り振りポイントも残しつつ、ステータスが間に合ったから試したんだし」
【割り振りポイント残してステータス150ってマ?】
【初期割り振りポイント100とはなんだったのか……】
【割り振りポイントは勝手に増えるわよ。拠点化した数でももらえるし、まぁ父さんの場合は神格解放でがっぽりとかじゃない?】
【あ、シェリルさんちーっす】
【ちーっす】
【それよりもさっきの素材は何よ。辺なモノ市場に投げ入れないでくれる?】
「あれ一応僕たちの武器になるかもしれない素材だから」
【本当に?】
「詳しくはブログにでも記すよ。口頭での説明は少し面倒だ」
【それで良いわ。それとこちらからも情報があるわ】
おや、なんだろう?
【霊樹を作るのに霊樹のかけらが必要らしいの】
うーん、それは……
「具体的な方法は?」
【実際に霊樹を調べて見るほかないわね。場所は……】
私は明後日の方向を向く。
探偵さんやどざえもんさんも同様に。
この人達、とぼけるタイミングまで一緒だな。
そこで残されたもりもりハンバーグ君がシェリルと仲良く会話を繋ぐ。
「詳しくは僕も分かりませんが、そもそもお義父さん情報では聖典武器で釣れるらしいですよ?」
【その釣りがよくわからないのよ。誰かアテは無いかしら?】
【釣りなんてしたことなさそう】
【リアルで体験したことある人なんてそれこそルアーさんくらいじゃ?】
【VRゲームで釣りなんて流行らないし】
【なんだったら自分が魚になるわ】
【もうなってるんだよなー】
【それ】
「取り敢えず一度合流かな? 今日はこれぐらいでおしまいにするし、明日都合のつく日に連絡くれれば合流するよ」
【そうね。問い詰めたい話もいくつか持っていくわ】
【問い詰める前提なのか】
【コンブwww】
【そら(一番の被害者だし)そうよ】
【勝手に終わるな】
【まだ見てるんですよ】
【体感14時間くらい?】
【別にこれ耐久配信じゃないから】
【知ってるか? これ雑談枠なんだぜ】
【なんて濃密な雑談枠なんだ】
【実際に他に誰も配信してないから独占配信なんだぜ?】
「取り敢えず人材不足を埋めるのが急務かな? 私達は探索を楽しくやってるから君たちも早くくると良いよ。それまでに素材はなんとかしておくから。ね、シェリル?」
【なぜそこで私の名前が?】
「もちろん聖典側の代表者として手を取り合って協力し合おうと言う前提でだね」
【そこの探偵とドワーフだって居るでしょ?】
「生憎と僕は人の上に立つ資格がない」
【そこ、誇って言うことか?】
【凄い自信満々ですよ、この人?】
【なんてダメな正義のヒーローなんだ……】
「俺もなぁ、人を取り纏めるのが得意ではない。一時はグループをまとめては居たが、それは同じ趣味での集まりだったからだ。しかしこうも目的がバラバラだと自信がないな。そう言うことで俺は辞退させてもらう」
【こっちはまともな意見だな】
【こんなに意識の差があるなんてオレ、聖典のライダーになりたくなくなっちまうよ!】
【霧が濃くなってきたな】
【つって、魔導書側もアキカゼさん以外上に立ってまとめる人居なそう】
【その第一人者が率先して他人に丸投げしますが?】
【草www】
なんでそういうこと言うのかなぁ?
せっかく上手くまとめたと思ったのに、上手くいかないモノだ。
話はこれでおしまいとして配信を切る。
探偵さんやどざえもんさんとも現地解散して、もりもりハンバーグ君と一緒にダンジョンへ。
「|◉〻◉)あっ、おかえりなさーい」
「おかえりなさい、マスター」
居ないと思ったらいつのまにかこっちに帰ってきてたスズキさん達がダンジョンの入り口で駄弁っていた。
こちらに気がつき、こたつから出てきてこっちに寄ってくる。
「ヤディス、例のシステムは?」
「開示されています」
「よし。ではダンジョンの階層を増築しようか」
もりもりハンバーグ君は配信中よりも随分とやる気でシステムコンソールを操った。
私はここでお暇しますかね。
もりもりハンバーグ君を一人ダンジョンに残し、私はお先にログアウトした。
そこで足を踏み出そうとしたところでガチン、と何かが噛みついた。
やっぱり対空攻撃もあるよね。
ただで踏ませて貰えないのは分かっている。
ならば掌握領域で闇の箱とバグ=シャースを繋げて仕舞えばいいと考える。
バグ=シャースを踏むから不利になるんだ。
ただの闇なら踏み固められる。
「よっと」
とは言え、固められる時間はおおよそ三秒。
その三秒を無駄にしない為にも溜めに入っていた探偵さんが躍り出る。
「貫け! ジャスティスレーザー」
それ、わざわざジャスティスとか付ける意味あるの?
ただのレムリアの器による照射。
もちろんジャスティスとつけてるだけあって聖典側のステータスを付与してのものだろう。
ショートワープで射線から抜け出て闇の箱に対してクトゥルフの鷲掴みを行使。
効果がないのは分かっているが、闇を侵食するのならワンチャン、あると思って仕掛ける。
結果は不明。だが少しだけバグ=シャースの動き出しを弱められた気がした。
この神格の厄介なところは接地面を食い破られるところ。
それ意外にも動きがアグレッシブで環境に影響されない初速などがある。
目で見て判断するのでは遅いのだ。
体がブレたらすぐ横を通り過ぎていたなんて事がままある。
「お義父さん、仕掛けます」
「ならフォローに入るよ」
「助かります」
もりもりハンバーグ君の肉の芽アタック。
「こいつに触れたらアウトだったよな? だが水の棺に閉じ込められたらどうだ? 七の水、〝圧縮棺〟!!」
どざえもんさんの精霊術が肉の芽がヒットしたバグ=シャースを水流の流れによって一つの空間に閉じこめる。
が、そもそもバグ=シャースは水の流れに影響されない特性持ち。圧縮された水の棺から闇が這い出て、その闇から実体化したバグシャースが棺ごと現象を捕食していく。
捕食された場所からじわじわ闇が広がり、やがて自由のみとなる。
「ちぃ、術まで喰らうか。ならば、同じ神の力でならどうだ! 〝聖域棺〟」
同じ精霊術に、ステータスの聖域を押し込めた聖典らしき攻撃手段。これには如何にバグ=シャースとてゴリ押しは通用しない。食い破ろうとする力が萎縮し、闇の中に霧散していく。
もちろんそんな隙を逃すはずもない。
「はい、影ふみ」
「からのー、ジャスティススラッシュ!」
「おかわりはたくさんありますよ! 肉の芽!」
あれほど厄介だったバグシャースがものの数分で完封。
相手に何もさせずに討伐できてしまった。
探偵さんの浄化攻撃も相まってバグ=シャースもタジタジだ。
相性ががっちりハマれば意外となんとかなるのが救いだね。
「いやぁ、お疲れ様。やっぱり影踏みは有効だったね」
「あれがあるとないとでは効率が段違いだな。でも生憎と、僕の周りでそのスキルの所有者は君しかいない。やっぱり君、今から聖典側に鞍替えしない?」
「私にクトゥルフさんを裏切れと?」
「モノの例えの話だよ。君が敵だと僕もやりにくいし」
【よく言うぜ。あんなに生き生きと殴りかかってきたのに】
【むしろ敵対してて御の字じゃないのか?】
【活躍全部持ってかれるからな】
【そう考えると味方になると目の上のたんこぶに】
【それはそれで嫌だな】
「それで、周回が楽になって来たのを加味して一つ提案があるんだけど」
「それってさっきのツルハシと何か関係ある?」
探偵さんが嫌そうな顔をしつつ、聞いてくる。
気付いてる癖にわざわざ聞いてくるんだよね、この人。
「ありますよ。神話生物の皮膚って謎がいっぱいですよね? もし私が影踏み固めてる間に、物理攻撃が通用するのなら是非試してみたいことがあるんだ」
「まさか採掘しろって?」
「そのまさかだよ」
【おい!】
【道徳を母親の胎内に置いて来たのかな?】
【アトランティス人に続く凶刃がバグ=シャース君を襲う!】
【結局あれからやった人いるの?】
【居るわけないだろ】
【会話が可能な生命体にツルハシを振り上げる勇気】
【蛮族かな?】
【正に外道】
「流石にそれは僕にはちょっと。バグ=シャースに同情しますね」
「俺は採掘出来ないぞ? 技能はあるが別段育ててない。当てにしないでもらえると助かる」
【おい、ドワーフwww】
【だめだこの人、アキカゼさんと同じくらい種族特性を活かしてない】
【なぜドワーフを取ったのか、これがわからない】
誰もがみんなどざえもんさんの回答にツッコミを入れていく。
それはそうだよ、だってドワーフ選ぶ人って大概武器の加工、鍛治を生業にしてる人が多いし、採掘なんてそのついでで伸ばすモノだ。
けどどざえもんさんの場合、石の声を登山でしか活かしてない。完全なるアウトロー。まぁ私も人のこと言えないが。
「じゃあ僕の独壇場って事か。誰か手伝ってくれたりなんかは?」
「生憎と僕の採掘技量ではお役に立てない事が先程の塔で証明されてます」
「右に同じ」
「左に同じ」
「全く役に立たない連中だよ!」
一人憤慨する探偵さん。
ここは寧ろ撮れ高と喜ぶ場所じゃないかな?
まぁ失敗すると食われるリスクがあるから誰も挙手しないんだけどね。
私の場合は足止めがメインだ。参加したくても出来ないんだよね。
そんなこんなで私とどざえもんさんも混じって妖精誘引。
本来探偵さんクラスの契りを重ねてようやく復活するバグ=シャースだが、数の力で無理矢理復活させることに成功した。
そして影踏みからのツルハシアタック!
結果を聞く前に損傷した触腕をそこら辺にぶつける様に暴れ出したバグ=シャースが印象的だ。
「なんか異様に痛がってない?」
「そりゃ体の一部を削られたら痛いでしょ」
「切断したって痛みなんて無さそうだったのに?」
「でも成功したんでしょ? 成果は?」
「これ」
探偵さんは親指と人差し指で◯を型取り、取得したアイテムを私に譲渡してみせた。
???。詳細不明の未知の素材。
つまり私に調べろと言う事である。
しかし暴走モードに入ったバグ=シャースは隙がなく、先ほど以上の抵抗を見せた。
どざえもんさんの聖域棺でも封印しきれず、肉の芽の判定にも抵抗し切る。
しかし影踏みからの採掘を複数回仕掛けることで討伐成功!
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バグ=シャースの体表から採れる謎の多い細胞。
陽の光に弱く、闇の中で活性化する。
【聖典特典】
鉱石加工:熟練度150に至った鍛治師にのみ錬成可能。
武器作成:加工した鉱石を使うことで特殊技能【捕食】を付与することができる。新しい技能を手に入れて邪神達の復活を拒め!
【魔道書特典】
取り込み:必要ステータス侵食100・貫通50
自身の神格に取り込むことによって消費したLPの回復速度の上昇、侵食の判定にクリティカルを付与する。
最大三回まで取り込み可能。
取り込むたびに正気度ロールを求められる。
抜いた情報をパーティメンバーにメールで一斉送信。
探偵さんは大笑いし、どざえもんさんともりもりハンバーグ君に至っては渇いた笑いを浮かべていた。
【つまりどう言う事だってばよ】
【ヤバいの発掘しちゃった的な?】
【探偵の人、凄いいい笑顔じゃない?】
【これは乱獲くるか?】
【乱獲しても取り扱えなきゃ意味ねーだろ】
【それ】
「えー、バグ=シャースからは未知の素材を手に入れることが可能でした」
「ほんと少年の予感はどうなってんの? まぁ僕たちにとってもありがたい話ではあるんだけどさぁ」
「早速市場に流して困惑させてたぞ、この人。シェリルさんが今頃頭抱えているだろう」
「素材名だけ見たって意味不だしね」
「これを加工できる人物は一人くらいしか心当たりないけど、聖魔大戦から一番程遠い人だからなー」
「あー、まず外に出ないもんね、ダグラスさん」
【加工!? その素材は加工できるのか】
「聖典側だと鉱石に加工できるっぽいけど熟練度が150必要みたいで」
【高っっっか!!】
【え、桁ひとつ間違えてない?】
【今の鍛治屋で最高熟練度っていくつだっけ?】
【朱の明星が80つってたぞ?】
【聖典側って事は魔導書側もある?】
「あるよ。直接プレイヤーが取り込む事で神格がパワーアップするよ。バグ=シャースの場合は最大3回まで可能で、正気度ロールに成功すれば侵食のクリティカル率上昇とLP回復効果微増だそうだ」
【こっちはパワーアップアイテムなのか】
【でも美味しい話ばかりでもないんでしょ?】
【毎回正気度ロール回すのかよ】
【これは酷い】
「ちなみに必要ステータスは侵食100と貫通が50だ。私は早速試してみたよ。正気度ロールは成功。私の力となってくれるみたいだ」
【この人もうちょっとやそっとのことじゃ正気度減らないでしょ】
【ハンバーグさんは?】
「僕は割り振りすれば足りるけど、正気度が惜しいからここでは勝負できないかな? どうしても欲しくなれば割り振るけど、これ以外の素材と見比べてみてからだね」
【堅実派だな】
【アキカゼさんがむこうみず過ぎるwww】
「失礼な。私は必要だと思ったから獲得したんだよ? 割り振りポイントも残しつつ、ステータスが間に合ったから試したんだし」
【割り振りポイント残してステータス150ってマ?】
【初期割り振りポイント100とはなんだったのか……】
【割り振りポイントは勝手に増えるわよ。拠点化した数でももらえるし、まぁ父さんの場合は神格解放でがっぽりとかじゃない?】
【あ、シェリルさんちーっす】
【ちーっす】
【それよりもさっきの素材は何よ。辺なモノ市場に投げ入れないでくれる?】
「あれ一応僕たちの武器になるかもしれない素材だから」
【本当に?】
「詳しくはブログにでも記すよ。口頭での説明は少し面倒だ」
【それで良いわ。それとこちらからも情報があるわ】
おや、なんだろう?
【霊樹を作るのに霊樹のかけらが必要らしいの】
うーん、それは……
「具体的な方法は?」
【実際に霊樹を調べて見るほかないわね。場所は……】
私は明後日の方向を向く。
探偵さんやどざえもんさんも同様に。
この人達、とぼけるタイミングまで一緒だな。
そこで残されたもりもりハンバーグ君がシェリルと仲良く会話を繋ぐ。
「詳しくは僕も分かりませんが、そもそもお義父さん情報では聖典武器で釣れるらしいですよ?」
【その釣りがよくわからないのよ。誰かアテは無いかしら?】
【釣りなんてしたことなさそう】
【リアルで体験したことある人なんてそれこそルアーさんくらいじゃ?】
【VRゲームで釣りなんて流行らないし】
【なんだったら自分が魚になるわ】
【もうなってるんだよなー】
【それ】
「取り敢えず一度合流かな? 今日はこれぐらいでおしまいにするし、明日都合のつく日に連絡くれれば合流するよ」
【そうね。問い詰めたい話もいくつか持っていくわ】
【問い詰める前提なのか】
【コンブwww】
【そら(一番の被害者だし)そうよ】
【勝手に終わるな】
【まだ見てるんですよ】
【体感14時間くらい?】
【別にこれ耐久配信じゃないから】
【知ってるか? これ雑談枠なんだぜ】
【なんて濃密な雑談枠なんだ】
【実際に他に誰も配信してないから独占配信なんだぜ?】
「取り敢えず人材不足を埋めるのが急務かな? 私達は探索を楽しくやってるから君たちも早くくると良いよ。それまでに素材はなんとかしておくから。ね、シェリル?」
【なぜそこで私の名前が?】
「もちろん聖典側の代表者として手を取り合って協力し合おうと言う前提でだね」
【そこの探偵とドワーフだって居るでしょ?】
「生憎と僕は人の上に立つ資格がない」
【そこ、誇って言うことか?】
【凄い自信満々ですよ、この人?】
【なんてダメな正義のヒーローなんだ……】
「俺もなぁ、人を取り纏めるのが得意ではない。一時はグループをまとめては居たが、それは同じ趣味での集まりだったからだ。しかしこうも目的がバラバラだと自信がないな。そう言うことで俺は辞退させてもらう」
【こっちはまともな意見だな】
【こんなに意識の差があるなんてオレ、聖典のライダーになりたくなくなっちまうよ!】
【霧が濃くなってきたな】
【つって、魔導書側もアキカゼさん以外上に立ってまとめる人居なそう】
【その第一人者が率先して他人に丸投げしますが?】
【草www】
なんでそういうこと言うのかなぁ?
せっかく上手くまとめたと思ったのに、上手くいかないモノだ。
話はこれでおしまいとして配信を切る。
探偵さんやどざえもんさんとも現地解散して、もりもりハンバーグ君と一緒にダンジョンへ。
「|◉〻◉)あっ、おかえりなさーい」
「おかえりなさい、マスター」
居ないと思ったらいつのまにかこっちに帰ってきてたスズキさん達がダンジョンの入り口で駄弁っていた。
こちらに気がつき、こたつから出てきてこっちに寄ってくる。
「ヤディス、例のシステムは?」
「開示されています」
「よし。ではダンジョンの階層を増築しようか」
もりもりハンバーグ君は配信中よりも随分とやる気でシステムコンソールを操った。
私はここでお暇しますかね。
もりもりハンバーグ君を一人ダンジョンに残し、私はお先にログアウトした。
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牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに~流離いのS級探索者と噂になってしまいました~
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旧題:ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに ~ピンチの有名配信者を救った結果「流離いのS級探索者」と噂になってしまいました~
「くそっ! もうこんな会社辞めてやる!」(今年通算5度目の宣言)
ブラックな職場で働く限界社畜、渡陽向(わたり・ひなた)は今日も仕事の持ち帰り――サービス残業を余儀なくされていた。
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学生時代、趣味でダンジョン探索をしていた記憶を思い出し、陽向はサービス残業のアイデア出しも兼ねて気晴らしに潜る事にした。
昔の感覚を取り戻しながら、軽快にダンジョンを突き進んでいく陽向。
そこで偶然、陽向は探索系配信者の女の子が凶悪なモンスターに襲われている現場に遭遇。
モンスターを瞬殺し、彼女を危機から救った。
……――翌日、とあるネット記事が世間を騒がせる事となった。
〈登録者数100万人超え人気探索系配信者シュガァ 生配信中にピンチを救われる 「何も言わず去って行って…」「是非、お礼したい」 ネット騒然〉
余暇人のVRMMO誌〜就活前にハマっていたマイナーゲームにログインしなくなって五年、久しぶりにインしたら伝説になってた〜
双葉 鳴|◉〻◉)
SF
向井明斗25歳。通院中、会社からかかってきた要件は、これ以上業務を休むならもう来なくていいと言う実質上の首切り宣言だった。
就職難で漸く拾ってくれた会社にそれこそ身を粉にして働き、その結果が通院処分。精神と肉体を磨耗した明斗は、通院帰りに立ち寄ったゲームショップで懐かしいタイトルを発見する。
「New Arkadia Frontier」
プレイヤーを楽しませる要素を徹底的に廃し、しかしながらその細かすぎるくらいのリアルさに一部のマニアが絶賛するクソゲー。
明斗もまたそのゲームの虜になった一人だった。
懐かしさにそのタイトルをレジに持っていこうとして立ち止まる。あれ、これって確かPCゲームじゃなかったっけ? と。
PCゲームは基本、公式ホームページからのダウンロード。パッケージ販売などしていない筈だ。
おかしいぞとパッケージを見返してみれば、そこに記されていたのはVR規格。
たった五年、ゲームから離れてるうちにあのゲームは自分でも知らない場所に羽ばたいてしまっていた。
そもそも、NAFは言わずと知れたクソゲーだ。
5年前ですらサービス終了をいつ迎えるのかとヒヤヒヤしていた覚えがある明斗。一体どんなマジックを使えばこのゲームが全世界に向けてネット配信され、多くのプレイヤーから賞賛を受けることになるのか?
もはや仕事をクビになったことよりもそっちの方が気になり、明斗は当時のネーム『ムーンライト』でログインする事に。
そこでムーンライトは思いがけずそのゲームの根幹を築いたのが自分であることを知る。
そこで彼が見たものは一体なんなのか?
──これはニッチな需要を満たし続けた男が、知らず知らずのうちに大物から賞賛され、大成する物語である。
※この作品には過度な俺TUEEEE、無双要素は設けておりません。
一見して不遇そうな主人公がニッチな要素で優遇されて、なんだかんだ美味い空気吸ってるだけのお話です。
なお、多少の鈍感要素を含む。
主人公含めて変人多めの日常風景をお楽しみください。
※カクヨムさんで先行公開されてます。
NAF運営編完結につき毎日更新に変更。
序章:New Arkadia Frontierへようこそ【9.11〜9.30】19話
一章:NAF運営編【10.2〜10.23】23話
二章:未定
【お知らせ】
※10/10予約分がミスで11/10になってたのを10/11に確認しましたので公開にしておきました。一話分飛んでしまって申し訳ありません。
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