上 下
380 / 497
5章 お爺ちゃんと聖魔大戦

336.お爺ちゃんと古代獣慣らし④

しおりを挟む
「はい。取り敢えずソロじゃ無理っぽいので助っ人を呼んだよ」

【はいじゃないが】
【草】
【変身すれば塵も残さないからね、仕方ないね】
【メンツがまた酷いなwww】
【魔導書陣営?】

「はじめまして、もりもりハンバーグです。なんで僕が呼ばれたのかわかりませんが頑張ります」


 助っ人一号はもりもりハンバーグ君だ。
 聞いたところ彼は無銘祭祀書という魔導書でガタトノーアという神格を信仰してるらしい。
 某怪獣映画にも出てるアレがモチーフになった神様だね。
 幻影はユゴス君というらしい。
 まだ他の人とうまくコミュニケーションが取れないのかもりもりハンバーグ君の後ろに隠れてしまっている。


「くま~、アキカゼさんとご一緒するのは二回目くまね?」

【え? こいつも魔導書陣営?】
【みたところ幻影見当たらないが】

「森のくま君の魔導書は特殊でね。今はバトルロイヤル中なんだ。ちなみにネクロノミコンだよ」

「アル・アジフは人見知りするのでくまの他に人がいると出てきてくれないくまね」

【やべーのきた】
【どうしてそれがPKの手に渡るんですかねぇ?】
【その前にバトルロイヤルって何?】
【ネクロノミコン持ちって何人もいんのか?】
【そりゃ扱いが難しい書物だし、理解したら正気度がやばいことになる曰く付きのやつだろ】
【その上アル・アジフとか原本じゃねーか】


 助っ人二号は森のくま君。
 そして最後に、


「( ͡° ͜ʖ ͡°)ヒャッハーー俺が来た!」

【6ch連合が単独で動くって珍しくね?】
【いや、一緒にいる時が多いだけで割とばらけてるぞ】
【RP勢は一緒の方が楽しいからな】
【わかる】
【ガチ勢は効率重視だから話し合わないし】
【それにノリノリで外道プレイするしコイツら】

「( ͡° ͜ʖ ͡°)なんだぁ、テメェ?」


 今日もキレッキレで周囲に毒を吐く( ͡° ͜ʖ ͡°)氏。
 そしてそれを真似るサイクラノーシュ君も微笑ましい。
 スズキさんも何故か一緒に視聴者を煽ってるのがご愛嬌。
 君、こっち側でしょ。久しぶりに出会った親戚の子と同調したい気持ちはわかりますけどね、こっちまで白い目で見られるじゃないですか。


「少しだけ個性強めですけど、私も負けないように頑張ります」

【アキカゼさんが一番濃いから大丈夫ですよ】

「空耳かな? 最近幻聴が多く聞こえてきてね。歳はとりたくないもんだよ」

【あ、この人聞こえてないふるしてるぞ!】
【若いアバターで耳悪いフリしても説得力ないんだよなぁ】

「とーちゃんと同じくま」

「ハッハッハ、君のお父さんと同列視されるのはショックだな。取り消してもらえないかな?」

「お義父さん、目立ってますからね」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)なんだぁ、あんたアキカゼさんの身内か?」

「はい、僕の妻がアキカゼさんの次女でして。一緒にこのゲームで遊ばせていただいてます。お義姉さんや義妹さんとも仲良くさせてもらってるよ」

「くまー、世間は狭いくまね」


 自己紹介しただけでこの有様である。
 ちなみに今回呼んだ助っ人は狙って魔導書を呼んだつもりはなく、知り合いに片っぱしから連絡を入れて断らなかったのが丁度魔導書陣営だったってだけの話だ。
 本当はあの時逃げた探偵さんに任せようと思ってたんだけど、また逃げ出してしまってね。
 もしかしてシェリル達と同盟を組んでいるのかもしれない。
 だから断ったのかと思えばなんとなくだが理解はできた。
 それはそれとして情報は出してくれてもいいのにね。


「ちなみにみなさんヒュドラとの対戦履歴は?」

「僕はないですね」

「くまも古代獣はヤマタノオロチ以来くま」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)じゃあ俺だけかぁ? 俺たちは10まで撃破してっからな。アキカゼさんが天下取ってっから、ウチのボスも気分良さそうにしてるのよ。その点については感謝してるぜぇ」

「ほぅ、それは興味深いですね。もりもりハンバーグ君のところは?」

「僕はまだそこまで交信してませんからね。でも、この子は以前よりも表情を見せるようになってきました。甘えん坊と言ったらいいのかな? 肩車をしてくれとせがむ時があるんですよ。だいぶ打ち解けてきたんだと思いますけど、娘からの視線が痛くてですね」

「ルリ君との誤解が深まってしまいましたか」

「ええ」

【え、ルリって銀姫ちゃんとよく一緒に遊んでるあの子?】
【無口の子だっけ? 可愛いよね】
【銀姫ちゃんに張り合ってる回避盾の子かー、把握】

「おや、ウチの子をご存知で?」


 途端、もりもりハンバーグ君の顔が険しくなる。
 娘を持つ父親のサガと言うか、リーガル君然り、やたらと近づいてくる男に敵対視してしまうんですよね。
 ユゴス君に頭をペシペシされてようやく怒りを収めてるあたりまだまだ子煩悩が抜けてないようだ。

 そう言えばこのメンツ、みんな子持ちのお父さんですよね。
 くま君も娘が産まれたばかりだとか。
 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏も子持ちと聞いてますけど、彼だけリアルの生活風景を感じさせないんですよね。自由というか、自分勝手というか。
 良くも悪くも役になり切ってます。


「はい、そんなわけでお父さん連合として今日は進めていきます。この際魔導書連合より、子煩悩のお父さんぐらいの集まり程度に捉えて進んでいきましょう」

【一気に物々しさが減ったな】
【急にほのぼのしてきた】
【実際幻影も少女っぽいのでそれっぽい】
【魚の人も着ぐるみ脱いでもろて】

「|◉〻◉)エッチ! 僕に脱げっていうんですか?」

【一人だけキワモノ混ざってるからな。異物感がすごい】
【アキカゼさんの幻影ってそういや見たことないよな】

「うちの幻影は忙しいからね。ルルイエで事務仕事してるよ。ほら、今や支配者の片腕みたいな立場だから」

【言われてみれば】
【幻影なしであの強さなのは草】
【幻影ってルルイエなのかよ】
【そりゃクトゥルフさんの寝床やし?】


 スズキさんが絡むと話が明後日の方にかっ飛んでいくよね。
 私は柏手を二、三度打って注目を集める。
 そして( ͡° ͜ʖ ͡°)氏から攻略法を聞いてヒュドラ討伐戦に赴いた。


 結果から言えば圧勝。
 やはりギミックを理解すれば容易い。
 ベルト持ちのライダーが四人と言うのもある。

 異形感満載なのは流石に私くらいだったけど、もりもりハンバーグ君も相当にグロい見た目になっていた。

 ガタノトーアは触手の化け物って感じだもんね。
 私やアンブロシウス氏も大概だけど、彼は侵食度が少なくても首から上が触手に飲まれていた。
 とてもじゃないけど先程までの和気藹々とした雰囲気は変身後に吹っ飛んでいたりする。

 唯一正統派ヒーローっぽいのはくま君だった。
 本を広げたようなマスクのデザインに、バイザー越しに三つの目が光った。
 左側には光が灯らず、何故か右目だけ炎のように揺らいで灯っている。全身は真っ黒の装束っぽく、鎖をジャラジャラ体に巻き付かせていた。

 そして( ͡° ͜ʖ ͡°)氏も侵食度が上がったのだろうか。
 両手が自分の腕のサイズではなくなっていた。
 大木のように盛り上がった両手と胴体は明らかに異形染みている。そのうち大きな口が出てきそうな、そんな体格だ。


 それぞれの固有能力も凄まじい。
 私の『掌握領域・ルルイエ』が世界を支配するものなら、
 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏の『反転術式・サイクラノーシュ』は全てのデバフをバフに塗り替え、そのまま相手に反射する。

 くま君の『掌握魔導・アトラクナクア』は手のひらから粘つく糸を吐き出して相手を拘束する能力だった。
 彼曰く、アトラクナクアは能力のうちの一つで、媒介になるキーアイテムを消費することで獲得したと言っていた。
 バトルロイヤル中にそれを多く集めた方がネクロノミコンの主人として認められるとかなんとか。
 ちなみにその粘着糸はティアマットだろうと関係なく拘束するあたり、常識の埒外にあるものらしい。

 そしてもりもりハンバーグ君の『侵食術式・ユゴス』は肉の芽と呼ばれる触媒を介して対象の肉体を乗っ取るというとんでもないものだった。
 流石に古代獣クラスを乗っ取るとなると時間はかかるが、相手の攻撃を受けずにいなして、肉の芽を植えた場所から距離を離れすぎないと肉の芽の侵食率が跳ね上がるという効果を持つ。

 彼事態は探索特化ビルドなので、戦闘技能は持ち合わせてないが、陣営がレムリアでテレポーターと言うのが役に立った。
 ステルスしながら肉の芽を埋めてるだけで勝手に相手のLPゲージが減るという効果で見事撃退。

 二回やって二回ともその効果で相手が死んだことを見るに、このメンバーの中で一番伸び代が高そうなのはもりもりハンバーグ君じゃないかと内心ゾッとした。

 他の三人はどちらかと言えば相手からのデバフやバフを邪魔する効果だ。
 別にそれが弱いとは言ってないけど、その中で一番際立って邪道っぽいのがもりもりハンバーグ君だったってだけだね。

 普段笑顔の彼が今日はいつも以上に怖く見えた。
 いや、気のせいなんだけどね。

 ちなみに検証も兼ねてるのでペット化も試みている。
 このペット化もやはり失敗すると強制ログアウトする辺り、ログイン権のエネルギーを使用してるとみた。

 二回勝利を収めてるメンバー達だが、実はこの時点で私は二回強制ログアウトさせられている。
 答えは単純明快、ペット化に失敗したからだ。

 最終的に肉の芽の効果で撃退してるが、私が居ない間に討伐が完了してるので、私も視聴者も置いてけぼりだった。

 一日置いて、もう一度集まって再度ペット化に励み、ようやくペットに置くことができた。
 三回目の正直と言うか、随分と手こずったよ。

 念の為九尾君のところに戻ってペット化の解除がされてないか様子を見て回ったところ大丈夫だった。

 私達は何回目のペット化で九尾君のペット化が切れるかを検証し、切れたら再度ペット化して、今回の検証に協力してくれた彼らにも新しくペット化するチャンスを与えてやるつもりだ。

 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏以外、積極的にペット化させに行かないメンツだからね。くま君的にも、もりもりハンバーグ君的にもありがたいお誘いですと同意してくれた。

 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏はテュポーン以上ならなんでもいいらしい。最悪でも10以上らしいけど、攻略とペット化は難易度が違うそうだ。
 古代獣に勝つための人数合わせはいくらでも人が集まるけど、個人的な趣味になると人が集まらないんだそうだ。

 そういう意味では私は良き友に恵まれたな。
 
 因みにもりもりハンバーグ君が変身すると高確率で砂嵐が走るらしく、今回の配信はあまり視聴率が伸びなかったことを合わせて報告する。

 うん、まぁ触手ってグロいもんね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

いや、一応苦労してますけども。

GURA
ファンタジー
「ここどこ?」 仕事から帰って最近ハマってるオンラインゲームにログイン。 気がつくと見知らぬ草原にポツリ。 レベル上げとモンスター狩りが好きでレベル限界まで到達した、孤高のソロプレイヤー(とか言ってるただの人見知りぼっち)。 オンラインゲームが好きな25歳独身女がゲームの中に転生!? しかも男キャラって...。 何の説明もなしにゲームの中の世界に入り込んでしまうとどういう行動をとるのか? なんやかんやチートっぽいけど一応苦労してるんです。 お気に入りや感想など頂けると活力になりますので、よろしくお願いします。 ※あまり気にならないように製作しているつもりですが、TSなので苦手な方は注意して下さい。 ※誤字・脱字等見つければその都度修正しています。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

処理中です...