上 下
267 / 497
4章 お爺ちゃんと生配信

233.お爺ちゃん達とvsヨルムンガンド④

しおりを挟む
 ジキンさんがヨルムンガンドとレーザーのキャッチボール(相手はグローブ無し)をしている最中、私は隙を見つけてテイムを試みていた。
 耐久ゲージが70%を切る発狂前は当然のように弾かれた。

 失敗すると<テイムに抵抗されました>と出る。
 これは力関係がまだ自分が下の場合表示される。
 今までのエネミーはこうはならず<テイムに失敗しました>と出る。
 やはりレイド級モンスターをテイムするというのは夢のまた夢なのか?
 飛んできたレーザーをショートワープで回避しつつ、数回のデッドボールで怒り心頭のヨルムンガンドが発狂モードに入った。

 さっきは無差別攻撃だったが、今回はジキンさんを執拗に狙っている気がする。
 まさか自分のレーザーを返されてダメージ受けるとヘイト取るとかそういう仕組みなのだろうか?

 それはそれで私は美味しいのでヨルムンガンドの相手は任せ、私は召喚した『ボール強化型/マジック』に『移送』をつけて風操作で上空に飛ばした。
 まるで風船が風に飛ばされるように上空に舞い、そして触手の先端から複数属性の魔法がヨルムンガンドを狙う。
 レーザーで狙われたら送還し、再度召喚して空に飛ばす。
 ミラージュ★を乗せたダミー部隊は別の方向へ飛ばす事でボールの空中魔法部隊に生存を狙う。


【ちょっ、サブマスがレイド相手にキャッチボールしてる横でアキカゼさん何してんの?】
【何って風船飛ばしてるんだよ。言わせんな恥ずかしい】
【これ風船じゃねぇ、テイムエネミーだ!】
【ちょ、ドローン型じゃないのに空飛ぶのはずるいwww】
【飛んでるというよりは風に流されてるっぽいけどな】
【そして魔法の一斉射ですよ】
【テイマーっていろんな戦い方があるんだなー】
【おい、これをテイマーの基準として考えるのはやめろ!】
【そうだぞ、普通は強化型なんて相当に準備してかないとテイム前に全滅だからな?】
【それを三枠全部強化型で埋めてるアキカゼさんて一体……】
【付き合いの良いフレンドがいて羨ましい限り】
【どっちかと言うとノリノリで協力してそうなんだよなー、アキカゼさんのパーティメンバー】
【利害の一致だろうな。機関車の人見てたらわかる。あの人を動かそうと思ったらそれなりの要件飲まないとだ】

「探偵さんなら孫をダシにして好かれる条件を提示すればホイホイついてくるよ?」

【おい!】
【身内からの暴露が擁護できないレベルで酷いんだが】
【つーか子供以前に孫持ってる心境を理解できねぇ!】

「私達老人世代はリアルで子供と離れて暮らしてるからねぇ。子供はともかく孫には好かれたいんだよ。だってうちの娘達ときたら実家に連れてこずにレターメールだけで孫の写真送ってくるんだよ? 外に出たくないからってあんまりじゃない?」

【子供も愛してあげて!】
【気持ちはわかる】
【俺もたまには実家のかーちゃんに顔見せにいかないと】
【外は毒素があるから第二世代には鬼門なんだよなぁ】
【第二世代だけ殺す毒素早く無くなってほしい】

「ちょっと、そっちで雑談に耽ってないでこっちも手伝ってよ!」

「おっと、連れに怒られてしまった」

【そりゃ戦闘中にレスバしてればな】
【配信者としてはなんら間違ってないんだが】
【パーティメンバーは良い顔しないよな】
【パーティメンバー:2人】
【そりゃヘイト全部持って攻撃してるのにパーティメンバーが座って雑談してれば良い思いしないっしょ】
【むしろヨルムンガンド相手に雑談に興じる余裕があるのがすごいわ】
【それな】


「援護射撃は嬉しいけどね。もう少しこっちの負担を考えてくださいよ」

「レーザーの飛んでくる回数は減ったでしょ?」

「そりゃそうですけど。こっちは相手が動き回るから狙いが定め辛いんですよ」

「野球に拘らずにビーム兵装にすればビーム打ちながら狙いをつけられたんじゃないですか?」

「そりゃそうですけど、そうするとこのビームの雨を掻い潜るのは至難の技ですよ?」

「ならば動き回る足場を用意しますよ」

「ホバーはやめて下さいね?」

「…………」

「今の間はなんです? まさか本当にホバーを出すつもりだったんじゃないですか?」

「いやぁ、まさか。ははは」

「本当かな、怪しいなぁ……」


【この何気ない会話、レーザーを回避しながら行われてます】
【今一瞬アキカゼさんがホバー召喚しようとしてキャンセルしてたけど、どうしたの?】
【キャンセルした理由はサブマスの直感が鋭すぎた結果だぞ】
【結局『輸送』でパーティ全員に『重力無視』つけて『風操作★』で無理やり空飛んでる】
【いつもの風景】
【ロボット浮かすのはヤバい】
【重力無視はほんと欲しいけどなかなか生えてくれなくてなー】
【もっと木登り頑張って!】

「ジキンさん、メカ操作時は通常スキルは使えないんです?」

「使えたら苦労しませんよ。肉体があってこそのスキルです」

「それって誰かから言われたの?」

「言われてませんけど……普通は使えないじゃないですか」

「その思い込みは危険だよ。自分から他人の方にハマるの? 型を破るんじゃ無かったっけ?」

「うるさいですねぇ、やりますよ。やれば良いんでしょ!」

【なんの話?】
【さぁ?】
【どうもメカニックはメカ使用中に生身の時に使ってたスキルを使えるのかって話してるっぽい】
【それは無理でしょ……無理だよな?】
【流石に使えたら強すぎるでしょ】

「水操作! からの氷作成……出来ましたね」

【おいおいおいおいおい】
【出来るの?】
【いや、これは称号スキルだし】
【でもこれって……】
【ああ、とんでもなく朗報だぞ!】

「スラッシュストライク!」

 
 ジキンさんはビームソードでスマッシュスキルを使用し、真上からヨルムンガンドを凹ました。


【ふぁーwww】
【スキル使えるやんけ!】
【これは流れ変わるぞ!】
【つーかもしかしてレムリアも? レムリアもビームソードやビームガンを扱う以前に今までのスキルも使えたとしたら?】

「そもそもどうして使えなくなると思っているのかさっぱりわからない。スキルってそもそも肉体に根付くものなの? 幽体離脱中は無理だとどこかで思い込んでいたんじゃない? まずはやってみようよ。やってみて、無理だったら諦めれば良い。私は今、私の考えが間違っていなかったことを感じ取っているよ」


<テイムに失敗しました>

 ジキンさんがメカに乗りながらスキルを使用していた時、私は裏でテイムを試行していた。

 耐久が70%の時は抵抗された。
 しかし50%になった時ようやくこの表示が出たのだ。

 つまり、そうつまり。


「古代獣はテイムできる。私はそれを今の戦闘で確信した」

【どこでそんな情報出てきた?】
【あれ、今サブマスのスキルの話してたんじゃないっけ?】
【どちらにせよ……】
【ああ、目が離せなくなりそうだ】


「ふふふ。スキルが扱えてこのサイズでの戦闘……ワクワクが止まりませんね」


 ジキンさんはいつになくテンション高めで呟いた。
 野球というこだわりを持ちつつも、それに縛られない戦闘スタイルは、金狼君の父親だと理解させてくれる。
 

「さてジキンさん。そろそろ身体もあったまりましたか?」

「ええ、準備運動もいい頃合いです」

「そうですか。では私もそろそろ仕掛けます。今までは一匹の召喚してしてきませんでしたが、Wで行きますよ」

「邪魔だけはしないでくださいよ?」

「そのお言葉はそっくりそのままお返しいたしますよ」

【これまでの動きが準備運動ってマジ?】
【騙されるな、割と本気で戦ってるぞ】
【つまりどういう事だってばよ?】
【探り入れの時間は終わりって事だろう。そもそもここには何をしにきたと言っていたっけ?】
【確かテイムしにだっけ?】
【ああ、そういやさっきテイムは可能だって話が出たもんな】
【つまり倒さないようにどこかで手加減してたって事?】
【それはない。普通にレーザーで死んでたし反応も初見だった】
【きっと俺たちには理解できないテンポがあるんだろう】
【一体どんなものかお手並み拝見といこうか】
【じぃじ頑張れー】
【くまー】
【身内の応援もある事だし、変な動きをするってことはないでしょ】
【おいフラグやめろや】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

べちてん
SF
生まれつき体の弱い少女、夏凪夕日は、ある日『サンライズファンタジー』というフルダイブ型VRMMOのゲームに出会う。現実ではできないことがたくさんできて、気が付くとこのゲームのとりこになってしまっていた。スキルを手に入れて敵と戦ってみたり、少し食事をしてみたり、大会に出てみたり。初めての友達もできて毎日が充実しています。朝起きてご飯を食べてゲームをして寝る。そんな生活を続けていたらいつの間にかゲーム最強のプレイヤーになっていた!!

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

余暇人のVRMMO誌〜就活前にハマっていたマイナーゲームにログインしなくなって五年、久しぶりにインしたら伝説になってた〜

双葉 鳴|◉〻◉)
SF
向井明斗25歳。通院中、会社からかかってきた要件は、これ以上業務を休むならもう来なくていいと言う実質上の首切り宣言だった。 就職難で漸く拾ってくれた会社にそれこそ身を粉にして働き、その結果が通院処分。精神と肉体を磨耗した明斗は、通院帰りに立ち寄ったゲームショップで懐かしいタイトルを発見する。 「New Arkadia Frontier」 プレイヤーを楽しませる要素を徹底的に廃し、しかしながらその細かすぎるくらいのリアルさに一部のマニアが絶賛するクソゲー。 明斗もまたそのゲームの虜になった一人だった。 懐かしさにそのタイトルをレジに持っていこうとして立ち止まる。あれ、これって確かPCゲームじゃなかったっけ? と。 PCゲームは基本、公式ホームページからのダウンロード。パッケージ販売などしていない筈だ。 おかしいぞとパッケージを見返してみれば、そこに記されていたのはVR規格。 たった五年、ゲームから離れてるうちにあのゲームは自分でも知らない場所に羽ばたいてしまっていた。 そもそも、NAFは言わずと知れたクソゲーだ。 5年前ですらサービス終了をいつ迎えるのかとヒヤヒヤしていた覚えがある明斗。一体どんなマジックを使えばこのゲームが全世界に向けてネット配信され、多くのプレイヤーから賞賛を受けることになるのか? もはや仕事をクビになったことよりもそっちの方が気になり、明斗は当時のネーム『ムーンライト』でログインする事に。 そこでムーンライトは思いがけずそのゲームの根幹を築いたのが自分であることを知る。 そこで彼が見たものは一体なんなのか? ──これはニッチな需要を満たし続けた男が、知らず知らずのうちに大物から賞賛され、大成する物語である。 ※この作品には過度な俺TUEEEE、無双要素は設けておりません。 一見して不遇そうな主人公がニッチな要素で優遇されて、なんだかんだ美味い空気吸ってるだけのお話です。 なお、多少の鈍感要素を含む。 主人公含めて変人多めの日常風景をお楽しみください。 ※カクヨムさんで先行公開されてます。 NAF運営編完結につき毎日更新に変更。 序章:New Arkadia Frontierへようこそ【9.11〜9.30】19話 一章:NAF運営編【10.2〜10.23】23話 二章:未定 【お知らせ】 ※10/10予約分がミスで11/10になってたのを10/11に確認しましたので公開にしておきました。一話分飛んでしまって申し訳ありません。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに~流離いのS級探索者と噂になってしまいました~

KK
ファンタジー
旧題:ダンジョンでサービス残業をしていただけなのに ~ピンチの有名配信者を救った結果「流離いのS級探索者」と噂になってしまいました~ 「くそっ! もうこんな会社辞めてやる!」(今年通算5度目の宣言)  ブラックな職場で働く限界社畜、渡陽向(わたり・ひなた)は今日も仕事の持ち帰り――サービス残業を余儀なくされていた。  そんな陽向の目に留まったのが、仕事先と自宅との間に存在する『新東京ダンジョン』。  学生時代、趣味でダンジョン探索をしていた記憶を思い出し、陽向はサービス残業のアイデア出しも兼ねて気晴らしに潜る事にした。  昔の感覚を取り戻しながら、軽快にダンジョンを突き進んでいく陽向。  そこで偶然、陽向は探索系配信者の女の子が凶悪なモンスターに襲われている現場に遭遇。  モンスターを瞬殺し、彼女を危機から救った。  ……――翌日、とあるネット記事が世間を騒がせる事となった。 〈登録者数100万人超え人気探索系配信者シュガァ 生配信中にピンチを救われる 「何も言わず去って行って…」「是非、お礼したい」 ネット騒然〉

処理中です...