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3章 お爺ちゃんと古代の導き

144.お爺ちゃんと秘境探索

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「くらいなさい、フラッシュ!」


 ジキンさんが構えたオモチャの銃口から極光が溢れ出し、動き出したシャドウ型が一斉に怯んだ。それを私が影踏みで固めてる間にスズキさんの繰り出した槍が右足で踏んでいた個体を、左足で踏み固めていた個体を探偵さんの拳が打ち貫いた。


「なんだかんだ有能だよね、少年」

「ですです。シャドウ型は魔法か魔法付与以外で倒すのは難しいと聞いてたんですけど」

「現に私はジキンさんと倒してる訳ですが?」

「そう言えばそうでした。アレ?」

「実は影踏みって言っておきながら手で触れても固められたりして?」

「それは試してませんでした。試す価値はありそうだ」

「ちょっとぉ、ここは僕の腕の見せ所なんですけどぉ?」


 躍り出る私と追撃する探偵さんとスズキさん。後ろの方で何やらジキンさんがぼやいてますが無視無視。
 その結果、面白い検証が確認できていた。


「やばいですね、これ」

「うん。まさかフェイク★で生み出した分身にも本人と同様のパッシヴが乗るとは……少年に限って言えばこのフェイク★ってとんでもなく有能なのでは?」


 そうなのだ。使いどころの分からないフェイク★を使ってヘイトを集めつつ、シャドウ型/ハウンドを右手左手左足でヤケクソ気味に固定したら普通に撃破出来てしまった。
 完全に尻尾をだらんと垂らしてやる気を失ったジキンさんが見てられないくらいに落ち込んでいる。元気出してくださいよ、気持ち悪い。落ち込んでるジキンさんなんてらしくないですよ?
 それに出番を奪ったなんて人聞きが悪過ぎる。むしろ自分の物理攻撃の出番を増やしてあげたんだと言ったら立ち直った。
 やっぱり演技だったかとみんなで笑い合う。


「とは言ってもフェイク★はあと二回しか使えませんし、巻物があるだけ活躍の機会があるジキンさんの出番がなくなることはないんですよね」

「そう言えばそうだった。なんで僕は落ち込んでたんだろう」

「ハヤテさんて行動が煽りに近いので、それでじゃないですか? 僕もハヤテさんを見習ってあれこれ試行錯誤してるうちにどんどん前にいかれて焦っちゃうことよくありますもん」


 ジキンさんの独り言にスズキさんが合わせてあげていた。その優しさが余計にこの人を調子付けるんですけどね。
 まあ放っといてうじうじされても迷惑ですのでナイスと言っておきましょうか。


「シャドウ型の対策はなんとかなったけど、いったいこの地域は何なんだろうね」

「それを紐解くのが君のスキルにあると思っているんだけど?」

「古代語ですか?」

「うん。誰も知らない密林に、エネミーの巣窟。絶対何か隠されてるって探偵の勘がビンビン疼くんだよ」


 探偵さんはそう言うけど、別に探偵じゃなくっても解明できそうな勘ですよね。


「サブマスターは何か嗅ぎ取れませんか? こう、匂いで」

「そうやって僕を犬扱いする」

「犬のじいじは犬だよ? 大丈夫? ボケてない?」

「いちいちあなたは癪に触る言い方をしますね!」


 さっき慰めていたものとは思えない煽り。これにはジキンさんも堪らず反論し出す。なんだかんだと仲が良い証拠です。
 

「冗談はさておき、お客さんが現れましたよ」

「え、どこです?」


 スズキさんは気づいて無かったか。
 私の目視にはありありと写っているのに。
 もしかしてとスクリーンショットを構えて、切り取ると突如として巨体が私たちの眼前に現れた。


[シャドウ型/ジャイアントの情報を獲得しました]
 耐久:10000/10000
 戦闘行動:???、???、???
 弱点:???
 特効:光属性
 状態:隠密

 
「ジキンさん、フラッシュをお願いします!」

「言われなくともセットしてます」


 抜き打ちしながら放つフラッシュの巻物だったが、大した足止めもできずに影の巨人は動きだす。
 ここに来てから戦闘フィールドに入る描写が無いからおかしいとはずっと思っていた。もしかしたらここって……ずっと戦闘フィールドだった?
 エネミーが尽きない限り終わることのない戦闘フィールド。
 この謎がどこに由来してるか判明しない限り、私達が生きて帰れる事は無いだろう。

 散り散りに散会しつつ、巨人の攻撃を回避していく。
 ミラージュの尽きた私とジキンさんはフラッシュと影踏みを駆使しながら巨人達にダメージを与えていく方針で動いている。
 それでも驚異の耐久力に私達はなす術もなく全滅した。

 そして全員で話し合った結果、時期尚早である事を確信してそのままログアウトした。
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