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3章 お爺ちゃんと古代の導き

141.お爺ちゃん達と[四の試練]①

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 オババ様から連絡があり、私達は四の試練へとつく。

 [四の試練:ここは水氷漂う迷宮。正解ルートを作り出し、最奥を目指せ]


 うーん。一の試練の応用が三の試練にあった様に、ここは二の試練の水操作がキモになってきそうだ。


「おやマスター、行く前に何か判明しましたか?」

「取り敢えず水操作が役に立ちそうとだけ」

「そんな断片的な状況証拠を提示されてもこちらは戸惑うことしかできませんよ。とっとと情報を吐きなさい」


 ジキンさんは私の首に腕をかけると締めるようにして自白を促した。まったく、この人はこうやってすぐ乱暴を働くんだから。


「はいはい。四の試練は水と氷で作られた迷宮だそうです。しかしただそれだけではなく、正解ルートを作り出せと書かれていた……つまりそれって?」

「正解ルートがないって言われてる様な物ですね。その先にある場所が非常に気になりますが、今考えたってどうしようもないでしょう」

「水のフィールドなら僕の出番ですね!」

「氷のフィールドって言うと滑る床とか辺りかな?」

「分かりませんよ? 上から氷塊が落ちてくるトラップとかあるかもしれませんし」


 ワクワクとしだしたスズキさんを揶揄うように、ジキンさんと探偵さんが追い討ちをかける。


「脅さないでくださいよー。僕はまだ捌かれるつもりはないですからね?」

「冗談ですよ。僕だって冷凍保存されるのはまだ御免だ」


 スズキさんが怯え、ジキンさんは笑う。
 いや、捌きませんよ。何でこの子はいちいちネタを挟むんだろうね。
 それとジキンさん。あなたはいちいち他人をおちょくらないと自分のペースを握れないんですか?

 赤の禁忌から降りると、そこは薄い氷で空き詰められたフィールドだった。
 足場があると油断して大技を放とう物ならすぐ足場が崩壊しそうな脆さを持つ。ワカサギ釣りの様な情緒あふれる厚みはなく、足元が透けて見えるレベルで薄い。


「これは厳しいな。まだ三の試練の方が優しいまであったんじゃないか?」


 探偵さんが唸り、私をチラリとみた。


「どういうことですか?」

「ここの氷、薄い以前に全部一つに繋がってるんだ。つまり穴を開けた場所から全体にヒビが入り、最悪足場が全部消えることになりかねない。その場で踏ん張るジキンさんは戦闘に参加させない方が良いかもしれないよ」

「だ、そうですけど?」

「ぶん殴れないんなら叩き落とすのは?」

「犬のじいじ、それじゃあ本末転倒だって」

「より勢いよく割りに行ってどうするんですか」

「良い案だと思ったんですけどねー」


 そう言いながら一歩、ジキンさんがその氷の足場に踏み出した瞬間足場は全部砕け散った!


「な!? 僕はまだ何もしてませんよ?」

「それどころじゃないでしょう! これはフェイクだったんです。油断したプレイヤーを真下に叩き落とすフィールドを使ったトラップですよ!」

「序盤からエゲツないなぁ。でもこっちには風操作使いが三人もいますからね?」


 ええ、ジキンさん以外全員が一~三をクリアしてますからね。
 逆に言えば使えないのは貴方だけです。

 砕けた足場から落ちる体を風操作で操って、私たちに合流させようと操作する。
 するんだけど、何故かある一定の高さから上は薄い氷が張られていてこちら側に来ることはできない様だ。面倒な。
 まるで落ちたらもうお終いと言わんばかりなトラップである。


「私は一度ジキンさんを回収した後氷の足場の下ルートを進みます。探偵さんとスズキさんは上のルートで進んでみてください」

「それって水操作で?」

「多分、風操作だと真上から落ちてくる氷塊を対処しようがない。重い物を落とすときに加速させる力こそあるものの、逆に氷塊を押し返す力まではないでしょう?」

「確かに」

「ハヤテさーん、それじゃあ別行動ってやつですか?」

「いいや、私の輸送は距離が離れ過ぎると効果が消えるからね。付かず離れず行動するよ。それでお互いに見えてる景色を共有しあおう」

「少年……その情報、言うの遅くない?」

「探偵さん。それぐらいのスリルがあった方が燃えるでしょう?」


 薄い氷の向こう側で探偵さんが困惑した表情を浮かべる。しかしすぐに普段の自信家の表情で武装し直し、そうだねと付け加えた。
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