119 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き
101.お爺ちゃんと孫③
しおりを挟む
「さて、早速攻略と行きますか」
開き直ったかのような態度でジキンさんが音頭取りを始める。
それに続く私達。どこか不安気に、それでいてどんな采配を見せてくれるだろうかと期待しつつ。
だってねぇ、さっきの今でしょ?
心配の方が勝るってもんですよ。
「じいじ、平気か? あんまよく見せようとして無理しなくて良いんだぞ?」
「大丈夫だ。じいじは敵が来ても戦えないが、みんなを導く力は凄いんだぞ? その代わり敵が来たらケンタに任せても良いか?」
「まかしとけ! セカンドルナ周辺だったら向かうところ敵無しだぜ。な、親父?」
「まぁお前の実力ならな。だが今回はパーティで来ている。全部自分一人で解決せず、他のメンバーの取り分も考えておけよ? それがカッコいい男の生き様だ」
「おう!」
ジキンさんを筆頭に、ケンタ君、金狼氏と続く。
なんだい、息子も良いものじゃないか。
深く語らずとも分かり合ってる。そんな感じを見せつけられた。若干ジキンさんがにやけ顔なのが余計に苛立ちを加速させる。
「そうだよ、微力ながら私達も手伝おう」
「爺ちゃん戦えんの?」
「戦えないが空は飛べるぞ!」
「すげー!」
子どもとは単純なものだ。
少し浮いて見せれば目を輝かせて興奮し出した。
だが空を飛べるアプローチはこれ以上ないくらいに伝わったようだ。金狼氏も実に羨ましがっている。ジキンさんに睨み付けられた。あまりヘイトを取りすぎるのもよくないな。
程々にしておこう。
「それ以前に、現状古代語を読み解けるのもお義父さんくらいですしね」
「あと何気にイベント連続踏破者だよね、お爺ちゃん」
私が身を引こうとしてるのに、ここぞとばかりに身内からの援護射撃が入った。
ジキンさんのこめかみに血管が浮いている。
違うんですよ、これは私の意図したところじゃ……
けれど逆にそれが良かったのだろう、ケンタ君は興奮状態のまま続けた。
「じいじ、こっちも負けてらんねーな! 向こうの爺ちゃんよりうちの血筋が優れてるんだってことを見せつけてやろーぜ!?」
「ああ、もちろんだとも! じいじも全力で事に当たるぞ。我が家の団結力を見せつけてやろう!」
「血筋を出されたらこちらも手を抜けないな。ケンタ、どんどん俺も頼れ。今日ばかりは父親だからと遠慮することはないぞ」
「分かった!」
なるほど、これを狙っていたのか。
娘だと追い込むと厄介なことにしかならないが、息子の場合は違うと。
思えば私も逆境に対してどう対処してやろうかと考えを巡らせていたものだ。
息子、いいじゃないか!
くそぅ、今になってジキンさんが羨ましくなってきたぞ。
オクト君に目配せしたが、反応はイマイチだった。
うーん、これがクール系と熱血系の違いか。
うちの息子も熱血系が良かった。
いや、今の時代に金狼氏のような熱血系の息子の方が珍しい。
やはり育て方か!?
そうなのか? しかしジキンさん夫婦は放任主義だと聞くし違うのか?
ウチは甘やかしすぎたのだろうか。
うーん、わからん!
昭恵さん、どう思う?
変に悶々としながら、私はジキンさんの号令に続いた。
悔しいので意地悪して古代言語で嘘を教えたが、マリンにそういうのはよくないって顔で制されてしまった。
お爺ちゃん泣くぞ?
少しくらいお爺ちゃんを贔屓してくれても良いじゃないか。
でもそれがマリンの正義だもんな。
それを曲げることは私にはできない。
ここは私が折れるしかないのか。
ぐぬぬ……
向こうの家族に対してこっちの家族の連携が取れてないのはやはり特性の違いなのかもしれないな。
向こうは3人とも熱血系。だから阿吽の呼吸ができてる。
それに対してこちらは私だけが熱血系で他二人がクール系だ。
私がもっとクールになれば良いのだろうけど、60年生きてきて今更生き方を変えろとかそれこそ無理だ。
そして私達は問題のボス部屋へと至った。
楽勝ムードのケンタ君を筆頭に、金狼氏とジキンさんが続く。
対してマリンだけが額に汗を浮かべていた。
ここのダンジョンはパーティを組んだ時の最大スキル所持数で難易度が大きく変わる。
マリンと入った40個相当の時ならまだしも、今回はランクAクラス(70個相当)のオクト君やランクAA(100個相当)クラスの金狼氏が居る。
どうもそのことを懸念しているようだった。
つまり、出てくるエネミーのサイズと数が全くの未知数であるのだと、そう言っていた。
開き直ったかのような態度でジキンさんが音頭取りを始める。
それに続く私達。どこか不安気に、それでいてどんな采配を見せてくれるだろうかと期待しつつ。
だってねぇ、さっきの今でしょ?
心配の方が勝るってもんですよ。
「じいじ、平気か? あんまよく見せようとして無理しなくて良いんだぞ?」
「大丈夫だ。じいじは敵が来ても戦えないが、みんなを導く力は凄いんだぞ? その代わり敵が来たらケンタに任せても良いか?」
「まかしとけ! セカンドルナ周辺だったら向かうところ敵無しだぜ。な、親父?」
「まぁお前の実力ならな。だが今回はパーティで来ている。全部自分一人で解決せず、他のメンバーの取り分も考えておけよ? それがカッコいい男の生き様だ」
「おう!」
ジキンさんを筆頭に、ケンタ君、金狼氏と続く。
なんだい、息子も良いものじゃないか。
深く語らずとも分かり合ってる。そんな感じを見せつけられた。若干ジキンさんがにやけ顔なのが余計に苛立ちを加速させる。
「そうだよ、微力ながら私達も手伝おう」
「爺ちゃん戦えんの?」
「戦えないが空は飛べるぞ!」
「すげー!」
子どもとは単純なものだ。
少し浮いて見せれば目を輝かせて興奮し出した。
だが空を飛べるアプローチはこれ以上ないくらいに伝わったようだ。金狼氏も実に羨ましがっている。ジキンさんに睨み付けられた。あまりヘイトを取りすぎるのもよくないな。
程々にしておこう。
「それ以前に、現状古代語を読み解けるのもお義父さんくらいですしね」
「あと何気にイベント連続踏破者だよね、お爺ちゃん」
私が身を引こうとしてるのに、ここぞとばかりに身内からの援護射撃が入った。
ジキンさんのこめかみに血管が浮いている。
違うんですよ、これは私の意図したところじゃ……
けれど逆にそれが良かったのだろう、ケンタ君は興奮状態のまま続けた。
「じいじ、こっちも負けてらんねーな! 向こうの爺ちゃんよりうちの血筋が優れてるんだってことを見せつけてやろーぜ!?」
「ああ、もちろんだとも! じいじも全力で事に当たるぞ。我が家の団結力を見せつけてやろう!」
「血筋を出されたらこちらも手を抜けないな。ケンタ、どんどん俺も頼れ。今日ばかりは父親だからと遠慮することはないぞ」
「分かった!」
なるほど、これを狙っていたのか。
娘だと追い込むと厄介なことにしかならないが、息子の場合は違うと。
思えば私も逆境に対してどう対処してやろうかと考えを巡らせていたものだ。
息子、いいじゃないか!
くそぅ、今になってジキンさんが羨ましくなってきたぞ。
オクト君に目配せしたが、反応はイマイチだった。
うーん、これがクール系と熱血系の違いか。
うちの息子も熱血系が良かった。
いや、今の時代に金狼氏のような熱血系の息子の方が珍しい。
やはり育て方か!?
そうなのか? しかしジキンさん夫婦は放任主義だと聞くし違うのか?
ウチは甘やかしすぎたのだろうか。
うーん、わからん!
昭恵さん、どう思う?
変に悶々としながら、私はジキンさんの号令に続いた。
悔しいので意地悪して古代言語で嘘を教えたが、マリンにそういうのはよくないって顔で制されてしまった。
お爺ちゃん泣くぞ?
少しくらいお爺ちゃんを贔屓してくれても良いじゃないか。
でもそれがマリンの正義だもんな。
それを曲げることは私にはできない。
ここは私が折れるしかないのか。
ぐぬぬ……
向こうの家族に対してこっちの家族の連携が取れてないのはやはり特性の違いなのかもしれないな。
向こうは3人とも熱血系。だから阿吽の呼吸ができてる。
それに対してこちらは私だけが熱血系で他二人がクール系だ。
私がもっとクールになれば良いのだろうけど、60年生きてきて今更生き方を変えろとかそれこそ無理だ。
そして私達は問題のボス部屋へと至った。
楽勝ムードのケンタ君を筆頭に、金狼氏とジキンさんが続く。
対してマリンだけが額に汗を浮かべていた。
ここのダンジョンはパーティを組んだ時の最大スキル所持数で難易度が大きく変わる。
マリンと入った40個相当の時ならまだしも、今回はランクAクラス(70個相当)のオクト君やランクAA(100個相当)クラスの金狼氏が居る。
どうもそのことを懸念しているようだった。
つまり、出てくるエネミーのサイズと数が全くの未知数であるのだと、そう言っていた。
1
お気に入りに追加
1,977
あなたにおすすめの小説
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~
オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。
彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。
新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。
「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で
スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう!
「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」
そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。
一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。
主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。
※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。
※是非感想いただけると幸いです。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
魔法が存在しない世界でパリィ無双~付属の音ゲーを全クリした僕は気づけばパリィを極めていた~
虎柄トラ
SF
音ゲーが大好きな高校生の紫乃月拓斗はある日親友の山河聖陽からクローズドベータテストに当選したアーティファクト・オンラインを一緒にプレイしないかと誘われる。
始めはあまり乗り気じゃなかった拓斗だったがこのゲームに特典として音ゲーが付いてくると言われた拓斗はその音ゲーに釣られゲームを開始する。
思いのほかアーティファクト・オンラインに熱中した拓斗はその熱を持ったまま元々の目的であった音ゲーをプレイし始める。
それから三か月後が経過した頃、音ゲーを全クリした拓斗はアーティファクト・オンラインの正式サービスが開始した事を知る。
久々にアーティファクト・オンラインの世界に入った拓斗は自分自身が今まで何度も試しても出来なかった事がいとも簡単に出来る事に気づく、それは相手の攻撃をパリィする事。
拓斗は音ゲーを全クリした事で知らないうちにノーツを斬るようにパリィが出来るようになっていた。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~
オイシイオコメ
SF
75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。
この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。
前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。
(小説中のダッシュ表記につきまして)
作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。
後方支援なら任せてください〜幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました〜
黄舞
SF
「お前もういらないから」
大人気VRMMORPGゲーム【マルメリア・オンライン】に誘った本人である幼馴染から受けた言葉に、私は気を失いそうになった。
彼、S級クランのクランマスターであるユースケは、それだけ伝えるといきなりクラマス権限であるキック、つまりクラン追放をした。
「なんで!? 私、ユースケのために一生懸命言われた通りに薬作ったよ? なんでいきなりキックされるの!?」
「薬なんて買えばいいだろ。次の攻城戦こそランキング一位狙ってるから。薬作るしか能のないお前、はっきり言って邪魔なんだよね」
個別チャットで送ったメッセージに返ってきた言葉に、私の中の何かが壊れた。
「そう……なら、私が今までどれだけこのクランに役に立っていたか思い知らせてあげる……後から泣きついたって知らないんだから!!」
現実でも優秀でイケメンでモテる幼馴染に、少しでも気に入られようと尽くしたことで得たこのスキルや装備。
私ほど薬作製に秀でたプレイヤーは居ないと自負がある。
その力、思う存分見せつけてあげるわ!!
VRMMORPGとは仮想現実、大規模、多人数参加型、オンライン、ロールプレイングゲームのことです。
つまり現実世界があって、その人たちが仮想現実空間でオンラインでゲームをしているお話です。
嬉しいことにあまりこういったものに馴染みがない人も楽しんで貰っているようなので記載しておきます。
異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)
朝食ダンゴ
ファンタジー
不慮の事故(死神の手違い)で命を落としてしまった日本人・御厨 蓮(みくりや れん)は、間違えて死んでしまったお詫びにチートスキルを与えられ、ロートス・アルバレスとして異世界に転生する。
「目立つとろくなことがない。絶対に目立たず生きていくぞ」
生前、目立っていたことで死神に間違えられ死ぬことになってしまった経験から、異世界では決して目立たないことを決意するロートス。
十三歳の誕生日に行われた「鑑定の儀」で、クソスキルを与えられたロートスは、最弱劣等職「無職」となる。
そうなると、両親に将来を心配され、半ば強制的に魔法学園へ入学させられてしまう。
魔法学園のある王都ブランドンに向かう途中で、捨て売りされていた奴隷少女サラを購入したロートスは、とにかく目立たない平穏な学園生活を願うのだった……。
※『小説家になろう』でも掲載しています。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる