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3章 お爺ちゃんと古代の導き

099.お爺ちゃんと孫①

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「い、今更ですよ、孫との関係修復だなんてっ!」


 こんな風に土壇場になって駄々を捏ねているのはいい年をしたおじいさん。
 それも今まで人の上に立って偉そうにしてきたおじいさんだというのだから世も末だ。

 今回なぜこんな試みをしているのかと思えば単純な話である。

 前回妻達と軽いスキンシップを兼ねたパーティを組めたのだから、『クラン共同』の名を掲げれば孫とのスキンシップも容易いのではないかと考え、実行した。

 協力者である『漆黒の帝』さんも空中戦闘に非常に高い興味を示してくれたのもあって乗り気で孫であるケンタ君を送り出してくれた。
 当然親御さんである金狼氏もご一緒に。

 だと言うのに、今までどんな言葉をかけられてきたと言うのか、本人を前にしたら「足が竦む」と言い出すんだから参っちゃうよ。
 やる気あるの、企画立案者?

 ちなみにここまでジキンさんが落ち込んだ理由はケンタ君の放った言葉である「げ、じいじも居るの? 足引っ張んないでくれよな!」が原因だった。
 どれだけスネに傷持ってるんでしょうかね、この人。

 ま、それはさておいてメンバーを発表しましょうか。
 まずは『桜町町内会AWO部』から私、ジキンさん、マリン。
『精錬の騎士』からオクト君。『漆黒の帝』から金狼氏、ケンタ君が揃い踏み。まるで家族面談の様ですね。

 ちなみにケンタ君はマリンに気があるのか、さっきからチラ見し続けてます。
 それを父親として見過ごせないと今回オクト君は出張ってきたようです。こういう子煩悩な所は娘を持つ父親のサガでしょうかね。

 ニコニコしながらもすごい眼力を振りまいてますよ。
 あの人本当に生産者なんでしょうか?

 まあ、大切に育ててる娘に(特に懐かれてるうちは)粉かけようものなら斬り殺す覚悟さえ持てるのが父親という存在ですからね。
 気持ちは分かります。

 さあ、と柏手を一つ。注目を自分に集めて司会進行。
 本来の進行役が完全に機能停止してるのでここはクランリーダーが場を持ちましょうかね。


「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。空のフィールドが現れた今、同時に空へ滞空するエネミーの存在も確認された。そうだよね、マリン?」

「うん。ダッシュでもアクセル使っても助走をつけてのジャンプじゃ届かない」


 皆一様に鎮痛な面持ちをしている。その上魔法だけはしっかり回避してくるんだから厄介極まりない。


「でも、とあるダンジョンの隠しイベントをクリアして手に入る特殊スキル『空歩』を使ったら?」


 マリンはニンマリと笑う。それも獰猛に。普段の愛らしい笑みも彼女の魅力だが、野趣溢れる笑みも素敵だなぁと今更ながら思う。


「届いた。なんなら足蹴にできちゃうよ」

「「「おぉ!!」」」


 オーディエンスは最高潮に盛り上がっている。
 その端っこで一人だけ地面に棒で丸を描いてる犬獣人が一匹。
 どんだけ相手してもらえなくて拗ねてるんですか。
 ここで成功させて「じいじ、やるじゃん」の言葉をもらうんでしょ? まったく。




 やってまいりましたセカンドルナのダンジョン。
 よもやこんな手垢のつきまくった場所にそんな仕掛けがあるとは思えずに一同は狼狽えます。


「え、ここか? ここなら初期に嫌ってほど探索したがなんも出なかったぞ?」


 ケンタ君のありがたいお言葉をいただきます。
 第三世代ではきっとそうでしょうね。体験してないからこその想像力が弱い。


「ふむ、何かあるとは踏んでいるが、あらゆる持てる技術を駆使したが反応は得られなかったよ」

「同じくだ」


 今度はオクト君と金狼氏からのお言葉。体力がないことを痛いほどに痛感してるからこその技術の総当たり戦。なお、この時あまり活動的に体は動かさない模様。

 故に我々第一世代の体験と発想力が試される。
 マリンは内訳は知ってるので今回黙ってもらって、私とジキンさんで他3人を引っ張る形です。
 なんだかんだこの人そう言う分野得意ですからね。

 戦闘は出来る人に任せればいいんですよ。
 私なんて全部丸投げしてますから。
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