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1章 お爺ちゃんとVR
043.お爺ちゃん、立てたフラグに導かれる
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用水路の奥深く、沈みながらもなお優雅に佇む黄金宮殿を前に、先ほどまで見えなかった情報が今私の視界を覆い尽くしていた。
なんと答えれば良いか、その情報の羅列に戸惑いを見せる。
「おぉ、なんと言う情景か」
特定のフレーバーアイテムを獲得し、なおクエストを発生させたものにしか見えない風景が今まさに目の前に現れた。
これを喜ばずして何を喜ぶというのか。これだよ。こういったいろんな形で未来に届けようとした古代人の用意周到さに打ちひしがれる。
「どうされました?」
感嘆とする私にスズキさんは驚いたような声をかけてくる。
パーティに誘ってなお、見えないのは多分に情報のかけらを私のみが持っていることに他ならない。
壁画に関しては彼女も見えたが、これはまた別のフレーバーアイテムが関与しているのかもしれない。
例えば彼女が赴いていない場所にあったものなどが対象だ。
ゴミ拾い、マナの大木の上にあった妖精の情報。そのどれかが今私に古代からのメッセージを受信する許可をくれていた。
「ああ、そうか。これはスズキさんには直接見ることができないんですね。失礼、今写します」
スクリーンショット越しの画像をメールに添付して送信。
受信した彼女はようやく私の言葉の意味を理解した。
「これ、ワードがオブジェクト単位に埋没しているんですか?」
「らしいですね、それで背景が特定の配置に置かれたものがこちらになります」
「これは……つまりこれこそがページのかけらであると? それって一体何パターンが存在するんですか?」
メール越しの情報を読み取り、思わずスズキさんも唸る。
言わんとしていることはわかるよ。
とても大変な作業なんてことは。だからこれらは手作業で分担していきたいんだ。
私が画像として保存しメールで配り、スズキさん、またはフレンドに配って情報を読み解いてもらいたい。その事を彼女に通達した。
「これは、凄まじい情報量ですね。すぐにまとめ切るのは時間がかかりそうです」
「ええ、だからこれは分担してやりたいと思います。私には頼りになりすぎる仲間がいます。こちらに赴く前に紹介した孫やフレンドが、この情報を受け取って協力してくれると信じています」
「もちろん、僕も協力しますよ?」
スズキさんは手を差し出し、私も「頼りにしていますよ」と差し出された手を掴み返す。
ここからは総力戦だ。
画像という力はこれ以上ないほどの情報伝達能力を持つ。
まずはフレンドに一斉に事情を説明してから画像を送りつけた。
各々からの返信メールに対応しつつヒントをもらい、娘の方にこちらでまとめた情報を送ることでダイレクトなやりとりを可能とした。
今や娘がクランの陣頭指揮をとっており、代役とはいえ普段家で私の前で見せる彼女の知らない素顔の一つを見れて私はとても満足した。
少し合わないうちに立派になったものだ。
成長したね。でも言葉には出さず、情報取得に精を出す。
「ハヤテさん、だいぶ情報がまとまってきました。今画像と情報を送りますね」
受け取った情報群から導き出された内容は、何かの封印装置と連動して変換するエネルギー施設の取り扱いによるものだ。
古代人は襲撃者であるエネミーの力を再利用する術を研究し、それを自分たちの力にする技術を得ていたのだ。
早速それらを娘に渡す。
受け取った娘は嬉しそうに私に感謝の念を送っていたよ。
イベントは終盤に差し掛かっていて、一歩も動かなかった巨大モンスターが重い腰を上げて街に接近しているという。
偶然にもそれらのコントロールルームはあの壁の中にあるということで、手分けしてその場所を探すのだと意気込んでいた。
「どうでした?」
「すごく喜んでくれたよ。私も嬉しい。彼女の役に立てて」
「実際にそう思われる娘さんも嬉しいと思います。僕の父は、そういった気持ちを押し隠す人でしたから」
「男親はみんなそうさ。娘の前では格好つけたがるもんだよ。それこそ娘の前では弱みを見せない。そういう生き物さ」
「だからハヤテさんの娘さんとのお付き合いの仕方に僕は憧れるんです」
「そうかい? 案外男親っていうのは娘から声をかけてくるタイミングを伺っているものだよ? スズキさんも自分から声をかけてみなさい。いつでもってわけじゃないけど、内心は嬉しく思いながら対応してくれるもんさ」
「実感は湧かないですが、やってみなきゃですよね?」
「ええ。後悔はやった後でたくさんしてください。さ、娘達がつないでくれている時間を有効に使いましょう」
「はい。最後の情報まであと少しですもんね」
「ええ」
私達は黄金宮殿の扉を手前に引き、中へと侵入した。
中は数時間前に立ち去った時と同じ風景を私に映し出す。
ここにはないと示している様に、宮殿のエントランスは崩れ落ちたまま、動き出す様子を見せなかった。
「どうですか? 何か見えます?」
「いえ、ここでは何も見えませんね。では次の場所に移動しましょう」
「はい」
ここでは手探りほど非効率的なものはない。なにせ見えるのは私だけ。纏めてフィードバックするのは彼女とフレンド達の仕事である。
だから一緒に行動し、私のスクリーンショットで写した画像が重要だった。
「ん、これは……」
「どうされました?」
「どうも何かを伝えたい様ですが、何しろ古代文字は読めません」
目にしたのは一つの金貨。
それが何かを示す様に点在しており、部屋の方角から次のエリアへ移動する際の手がかりとする。何かの役に立つかもしれないとそれらを拾い、アイテムバッグへと収める。
「こっちです」
ルートを導かれる様に体を突き動かし、やがて私たちが導かれたのはやはり書物庫だった。
鍵を使って扉を開き、書物庫に入ると鞄の中で先ほどまで集めた金貨が踊り出す。
「わっ」
金貨が勝手にバッグの中から出てきて、私の前に矢印を作った。
そうか、これの役目は特定の場所に至った時、役目を果たす要素があったのか。
そしてそれが私に淀みのない歩みを与える。
確信した一歩。進んだ先には本棚が一つ。
その本棚の置かれた場所は何か不自然だった。
部屋の中央に置かれており、そしてその奥の何かを隠す様な位置どりに目を細める。
「この本棚がどうかしたんです?」
「いえ、本棚自体は珍しくもなんともないんですがね?」
「はぁ」
「置かれている場所があまりにも不自然だったので頭を捻っていました。これは一体なんの意図があるのだろうと」
「本棚の位置、ですか? 確かに他の本棚に比べてそこが厚く作られているみたいですが……」
そこが厚い……つまりは目の前に見える景色の他の何かがあるのだと直感が訴えかけてくる。
そして次は置かれた本達に視線を落とす。
そこにあるのは童話の様だ。
書かれている絵は壁画にあったのと同じもの。それが何故か日本語に翻訳された形で置かれている。
それらを取り出し、中身を開く。しかし勘の良くない私はすぐには気付かない。そこで小学校で教鞭をとっていたスズキさんに頼ることにした。
「えっと、これは?」
「ここの本棚に置かれていたんですが、どうも何かの仕掛けがありそうなんです」
「うーん、中身を見る限り童謡の様ですね。話の時系列がバラバラなので、最初から順番に並べるのが正解なのでは?」
「なるほど、並び順か。確かにありそうだ」
「お役に立てた様で良かったです」
「では早速見聞に移りますね。ハヤテさんは画像を撮ってメール配信の準備をお願いします」
「分かりました」
十数分に及ぶ精査の結果、本棚は震え、真横にスライドすると下り階段を私達の目の前にあらわれた。
「これは……下りたほうがよさそうですね?」
「はい。モンスターが出ても対応出来る様に私が前に行きましょうか?」
「いえ、こういう場合においてレディファーストなんかしちゃダメでしょう。私が前に行きます。スズキさんは背後からの敵襲に備えてもらえますか?」
「もちろんです」
なんと答えれば良いか、その情報の羅列に戸惑いを見せる。
「おぉ、なんと言う情景か」
特定のフレーバーアイテムを獲得し、なおクエストを発生させたものにしか見えない風景が今まさに目の前に現れた。
これを喜ばずして何を喜ぶというのか。これだよ。こういったいろんな形で未来に届けようとした古代人の用意周到さに打ちひしがれる。
「どうされました?」
感嘆とする私にスズキさんは驚いたような声をかけてくる。
パーティに誘ってなお、見えないのは多分に情報のかけらを私のみが持っていることに他ならない。
壁画に関しては彼女も見えたが、これはまた別のフレーバーアイテムが関与しているのかもしれない。
例えば彼女が赴いていない場所にあったものなどが対象だ。
ゴミ拾い、マナの大木の上にあった妖精の情報。そのどれかが今私に古代からのメッセージを受信する許可をくれていた。
「ああ、そうか。これはスズキさんには直接見ることができないんですね。失礼、今写します」
スクリーンショット越しの画像をメールに添付して送信。
受信した彼女はようやく私の言葉の意味を理解した。
「これ、ワードがオブジェクト単位に埋没しているんですか?」
「らしいですね、それで背景が特定の配置に置かれたものがこちらになります」
「これは……つまりこれこそがページのかけらであると? それって一体何パターンが存在するんですか?」
メール越しの情報を読み取り、思わずスズキさんも唸る。
言わんとしていることはわかるよ。
とても大変な作業なんてことは。だからこれらは手作業で分担していきたいんだ。
私が画像として保存しメールで配り、スズキさん、またはフレンドに配って情報を読み解いてもらいたい。その事を彼女に通達した。
「これは、凄まじい情報量ですね。すぐにまとめ切るのは時間がかかりそうです」
「ええ、だからこれは分担してやりたいと思います。私には頼りになりすぎる仲間がいます。こちらに赴く前に紹介した孫やフレンドが、この情報を受け取って協力してくれると信じています」
「もちろん、僕も協力しますよ?」
スズキさんは手を差し出し、私も「頼りにしていますよ」と差し出された手を掴み返す。
ここからは総力戦だ。
画像という力はこれ以上ないほどの情報伝達能力を持つ。
まずはフレンドに一斉に事情を説明してから画像を送りつけた。
各々からの返信メールに対応しつつヒントをもらい、娘の方にこちらでまとめた情報を送ることでダイレクトなやりとりを可能とした。
今や娘がクランの陣頭指揮をとっており、代役とはいえ普段家で私の前で見せる彼女の知らない素顔の一つを見れて私はとても満足した。
少し合わないうちに立派になったものだ。
成長したね。でも言葉には出さず、情報取得に精を出す。
「ハヤテさん、だいぶ情報がまとまってきました。今画像と情報を送りますね」
受け取った情報群から導き出された内容は、何かの封印装置と連動して変換するエネルギー施設の取り扱いによるものだ。
古代人は襲撃者であるエネミーの力を再利用する術を研究し、それを自分たちの力にする技術を得ていたのだ。
早速それらを娘に渡す。
受け取った娘は嬉しそうに私に感謝の念を送っていたよ。
イベントは終盤に差し掛かっていて、一歩も動かなかった巨大モンスターが重い腰を上げて街に接近しているという。
偶然にもそれらのコントロールルームはあの壁の中にあるということで、手分けしてその場所を探すのだと意気込んでいた。
「どうでした?」
「すごく喜んでくれたよ。私も嬉しい。彼女の役に立てて」
「実際にそう思われる娘さんも嬉しいと思います。僕の父は、そういった気持ちを押し隠す人でしたから」
「男親はみんなそうさ。娘の前では格好つけたがるもんだよ。それこそ娘の前では弱みを見せない。そういう生き物さ」
「だからハヤテさんの娘さんとのお付き合いの仕方に僕は憧れるんです」
「そうかい? 案外男親っていうのは娘から声をかけてくるタイミングを伺っているものだよ? スズキさんも自分から声をかけてみなさい。いつでもってわけじゃないけど、内心は嬉しく思いながら対応してくれるもんさ」
「実感は湧かないですが、やってみなきゃですよね?」
「ええ。後悔はやった後でたくさんしてください。さ、娘達がつないでくれている時間を有効に使いましょう」
「はい。最後の情報まであと少しですもんね」
「ええ」
私達は黄金宮殿の扉を手前に引き、中へと侵入した。
中は数時間前に立ち去った時と同じ風景を私に映し出す。
ここにはないと示している様に、宮殿のエントランスは崩れ落ちたまま、動き出す様子を見せなかった。
「どうですか? 何か見えます?」
「いえ、ここでは何も見えませんね。では次の場所に移動しましょう」
「はい」
ここでは手探りほど非効率的なものはない。なにせ見えるのは私だけ。纏めてフィードバックするのは彼女とフレンド達の仕事である。
だから一緒に行動し、私のスクリーンショットで写した画像が重要だった。
「ん、これは……」
「どうされました?」
「どうも何かを伝えたい様ですが、何しろ古代文字は読めません」
目にしたのは一つの金貨。
それが何かを示す様に点在しており、部屋の方角から次のエリアへ移動する際の手がかりとする。何かの役に立つかもしれないとそれらを拾い、アイテムバッグへと収める。
「こっちです」
ルートを導かれる様に体を突き動かし、やがて私たちが導かれたのはやはり書物庫だった。
鍵を使って扉を開き、書物庫に入ると鞄の中で先ほどまで集めた金貨が踊り出す。
「わっ」
金貨が勝手にバッグの中から出てきて、私の前に矢印を作った。
そうか、これの役目は特定の場所に至った時、役目を果たす要素があったのか。
そしてそれが私に淀みのない歩みを与える。
確信した一歩。進んだ先には本棚が一つ。
その本棚の置かれた場所は何か不自然だった。
部屋の中央に置かれており、そしてその奥の何かを隠す様な位置どりに目を細める。
「この本棚がどうかしたんです?」
「いえ、本棚自体は珍しくもなんともないんですがね?」
「はぁ」
「置かれている場所があまりにも不自然だったので頭を捻っていました。これは一体なんの意図があるのだろうと」
「本棚の位置、ですか? 確かに他の本棚に比べてそこが厚く作られているみたいですが……」
そこが厚い……つまりは目の前に見える景色の他の何かがあるのだと直感が訴えかけてくる。
そして次は置かれた本達に視線を落とす。
そこにあるのは童話の様だ。
書かれている絵は壁画にあったのと同じもの。それが何故か日本語に翻訳された形で置かれている。
それらを取り出し、中身を開く。しかし勘の良くない私はすぐには気付かない。そこで小学校で教鞭をとっていたスズキさんに頼ることにした。
「えっと、これは?」
「ここの本棚に置かれていたんですが、どうも何かの仕掛けがありそうなんです」
「うーん、中身を見る限り童謡の様ですね。話の時系列がバラバラなので、最初から順番に並べるのが正解なのでは?」
「なるほど、並び順か。確かにありそうだ」
「お役に立てた様で良かったです」
「では早速見聞に移りますね。ハヤテさんは画像を撮ってメール配信の準備をお願いします」
「分かりました」
十数分に及ぶ精査の結果、本棚は震え、真横にスライドすると下り階段を私達の目の前にあらわれた。
「これは……下りたほうがよさそうですね?」
「はい。モンスターが出ても対応出来る様に私が前に行きましょうか?」
「いえ、こういう場合においてレディファーストなんかしちゃダメでしょう。私が前に行きます。スズキさんは背後からの敵襲に備えてもらえますか?」
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