上 下
24 / 95
二章 ダンジョンアタック!

突発! ダンジョン調査隊3

しおりを挟む
 ダンジョンに入る前に、受付で注意事項を促される。
 先遣隊の入手した情報では、光源の類はなく、トラップだらけ。
 モンスターは近隣のモンスターより手強いらしい。
 ちなみに魔石を用いたカンテラが貸し出しされていたので借りることにした。

 レグザル王国では銀貨までは一般貨幣で金貨以上となると貴族の専用通貨の暗黙のルールがある。
 で、魔石を用いた魔道具はだいたい金貨でも貸し出しになる。
 国の貴族がバックについているのが良くわかると言うものだ。


「これ、後で姫路さんに複製してもらおうぜ」

「だったら霊草マナリーフを複製してもらった方がいいんじゃない? 多分あれ魔石1万個分くらいの容量あるわよ?」

「いや、そんな大層なもの持って行ってプレッシャーかけてどうすんだよ。姫路さんただでさえプレッシャーに弱いんだぞ? まずはこれくらいのなくしても大した損害のないやつで数をこなしてもらってさ……」

「分かってないわね、磯貝君。絶対に失敗できない! その環境下でようやく普段は出せない集中力が出るのよ。姫路さんにはその手の試練が必要なのよ」


 分かったようなこと言うじゃん。
 この子前から思ってたけど割と俺らに辛辣っつーか、自分のスペックならこうするのにって内容を俺らにもやれって押し付けてくるとこあるんだよな。

 後ろで伊藤達が「いや、金貨も大金だから」とボソボソ言ってるのは気にしない。
 実のところ金貨の二段階上の貨幣が手元に入った俺たちは一気に大金持ちになっている。
 それもこれも城島さんのアイディアあってのものだ。

 多分伊藤達がこの先スキルで無双したってこの額を再度拝むのは一生かかっても怪しいんだろうなと感じつつ、手を叩いて作戦会議を始める。


「で、この薄暗い中を進むわけだけど、誰か敵の気配感知系の能力持ってる人!」

「「「「「「…………」」」」」」


 俺の質問に、全員がそっぽを向いた。
 はい、解散。このチームはこれまでです。

 なんだ、この偵察にまるで向いてないチームは!
 サーチアンドデストロイするしかないとか脳筋かよ。


「城島さん、暗闇でも鑑定でなんとかならない?」

「無理言わないでよ。私の鑑定は目視の賜物よ。見えない場所じゃどうしようもないわ」

「つまり、見えればいいわけだ?」

「そりゃ見えれば……」


 アイディアを閃いた俺は、麻生を手招きして、地面に炎をエンチャントしてくれと言う。
 渋々と従う麻生だが、当然ダンジョン内でも火気厳禁は暗黙のルール。
 だがそれは火を焚く場合に限られる。
 エンチャントで赤熱させる分には煙は出ず、そのちょっと光った場所を目視で見てもらおうと言う算段である。

 まぁ、俺の『入れ替え』ならね?
 足元にエンチャントしまくる麻生と、その地面と奥の方の天井を取り替えていけば自ずと道は開け……


「ギャッ」

「ギャウッ!!」

「ギギャッ!」


 なんか居るぅ。
 どうも俺たちの侵入に感付いて暗闇で息を潜めていたモンスターが、炎がエンチャントされた石壁に触れて勝手にダメージを受けていた。
 うーん棚からぼたもち、ですかねぇ。


「岡戸、出番」

「見えないぞ?」

「今見えるようにするから。麻生、エンチャント継続で」

「MP切れだ」

「笹島さーん!」

「はいはいっと」


 笹島さんが軽く肩ポンすると、すぐに復帰する麻生。
 よかったじゃん、エンチャントの熟練度増えるぞ?
 普段使う機会がないのか、単純に魔石が高すぎて利用を先延ばしにしてるのか、はたまた初期MPが少なすぎて利用を躊躇ってるのか。
 今まで使ってこなかったのは確かなようである。


「ラスト一ヶ所!」

「おっしゃあ!」

「お疲れ様ー」

「こんなにエンチャント行使したの初めてなんだけど?」

「それを言ったら俺だってほぼワンコそばの要領で地面と壁、天井を入れ替えまくったが?」

「磯貝もお疲れさん」

「おうよ」

「筋肉痛の人は手をあげてね。マッサージぐらいはするよ?」

「はーい」

「はい」

「はいはいはーい」


 こういう時、男子というのは悲しい生き物である。
 吉田さんは落ち着きのある女子生徒だが、出るとこが出ている非常にグラマラスな体型。
 特に働きもしてない伊藤や田所が俺に混ざって我先にマッサージされようと挙手をした。
 麻生はもうそんな気力もないくらいぐったりだ。

 結局マッサージ1号は麻生が受けることになった。
 挙手できるくらい元気なら後でもいいだろうと言われた。
 至極当然である。


「磯っち、マッサージくらいならあたしがするぜー?」


 そんな可哀想な俺に笹島さんが優しい言葉をかけてくれる。


「マジ?」

「吉田さんみたいに本格的なのは無理だけど」


 本格的?
 意味がわからず、さっきから静かな麻生を見ると、そこにはあり得ぬ方向に足を曲げて降参する様に近くの地面を叩く麻生の姿があった。


「いだだだだ……吉田さん、足の関節はそっちにまがら……いぎゃぁあ!」


 今ギョリッって音鳴ったぞ!?
 え、なに。一体なにが起こってるの?


「吉田さんのお父さん、整体師やってるんだ。あの子も子供の頃からその教育を受けてるんだって」

「へぇ」


 俺は吉田さんから後退りながら笹島さんに肩を揉んでもらった。
 あんまり力は強くないし、なんだったら全然効いてる気がしないけど、それをいうほど野暮じゃない。


「あだぁあ! ってあれ? さっきまでの疲れが何処かに行ったぞ? すごい! まるで体に羽根が生えたみたいに軽いぞ! お前らも受けてみろよ!」


 麻生が次なる生贄を探しに伊藤と田所を捕まえに行った。
 確かに先ほどと比べて見違えるように俊敏に見える。
 騎士というだけあって全身鎧を着込んでいるのに、アスリートばりの瞬発力で追い詰めていた。
 さっきそれをやれよというのは野暮だろうか?

 そして捕まった伊藤が吉田さんの洗礼を受けている。
 柔肌を直に受けてるのに、その表情は嬉しさよりも痛みに支配されていた。
 俺は笹島さんに肩揉みしてもらいながら「バカな奴らだぜ」と一人ごちるのだった。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...