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新入生歓迎会
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彼は、昔のぼくのように無知で、助けを要求することも出来なくて、悪意に鈍感だった。
今回のそれは悪意とはまた違うものなんだろうけれど、おれにはそう思えた。
すぐに駆け出して愛瑠くんの元に向かう。
足が早い訳では無いが、遅い訳でもないのですぐに愛瑠くんの元に到着する。
不思議そうな目でこちらを見上げる愛瑠くん。
「お前誰だ?」
あ、おれの名前知らないのか。
でもどうしよう、今自己紹介するのなんか違くないか…?
それに助けなきゃって思って来たはいいけどどうやって助ければいいんだろう。
こういう時生徒会のみんなならスマートに助けられるんだろうなぁ…
おれにはそんな頭ないからどうすればいいかわかんないや…
突然現れて固まったおれを心底不思議そうに愛瑠くんは見つめている。
周りの人もなんだ?と不思議そうに僕を見ている。
正直自分に視線が集まるだけで気持ち悪くなってくる。
だけど今はそれよりも愛瑠くんを守らなきゃだから。
おれは大丈夫と言い聞かせながら、でもどうしようかと考えていたら、
「春くん!」
いつの間にか舞台から降りていたらしいふゆくんがおれに駆け寄ってきていた。
「ふゆ…く…たすけ…」
「うん、分かるよ。神崎くんを助けたいんだね。ゆっくり、落ち着いて。一緒に助けよっか?」
「う…」
「…神崎くん、とりあえずは舞台に呼ばれてるから舞台に行った方がいいんじゃないかな?1位をとった神崎くんをみんな待ってるよ」
「俺のこと神崎って呼ぶなよ!愛瑠って呼べ!あとお前綺麗な顔してるな!名前教えろよ!」
「僕は眞宮深冬。書記であるこの子、眞中春くんの親衛隊の隊長をしてるよ」
「親衛隊…?ってなんだ?」
「んー…その人を応援して手助けする存在、かな?それよりも、早く行かないと。会長さんが待っているよ」
「あっ、そーだな!行ってくる!」
そう言って舞台に駆け上がっていく愛瑠くん。
まだチラチラとこちらを見る視線があるけど、ふゆくんがそれも察知して前を向くように誘導してくれている。
ほんとにふゆくんには頭が上がらないなぁ…
一丁前に愛瑠くんを守ろうと前に出たけど何も出来なかったや…
しかもサラッとおれの名前まで伝えてくれたみたいだし…本当にふゆくんはすごい。
舞台に愛瑠くんが来たことによって表彰される人が揃った(ふゆくんとおれは居ないけど)ので、表彰式の続きが始まる。
「えー気を取り直して、鬼側の3位から順番に景品を何にするか聞いていきましょか~さて、3位の坂下くん!君はなんの景品にするんや?」
「僕は…お願い券にしましょうかね…これってここで何をお願いするかまで決めなくてはいけませんか?」
「んーそこまで厳密には制限はないんやけどなぁ…まあ願いが決まったら生徒会や教師陣に許可さえ取れればええんちゃう?それでええかー?」
「ああ、後日俺を通してくれればそのまま先生に通しておくからそれで問題ないぞ」
「ということなので、坂下くんは後日お願いを決めるってことで?」
「はい、それでお願いします」
今までで初めてのパターンだ。
とは言ってもそもそも表彰に上がっていないおれみたいな存在もあるからこれも認められるだろうなぁ。
2位の人も順調に景品を決めて、最後に愛瑠くんの番になった。
「最後は映えある1位に輝いた神崎愛瑠くんやな!景品は何にするか決めててん?」
「俺はお願い券ってやつにする!」
「おー!誰に何をお願いするん?」
「俺は…うーんと…えっと」
「…もし決めてないんなら今じゃなくてもええで?坂下くんみたいに決まったらで…」
「俺は逃げたりしないっ!そうだな…じゃあ深冬!!俺とデートしてくれ!」
「!俺ですか…」
「ああ!俺、人の名前覚えられないけど深冬の名前はさっき聞いたばっかだから!」
「それって名前さえ知ってればだれでもよかったってことかいな…見境あらへんなぁ…」
岬くんの小さなツッコミは聞こえていないようで愛瑠くんはよろしくなー!とこちらに手を振っている。
今回のそれは悪意とはまた違うものなんだろうけれど、おれにはそう思えた。
すぐに駆け出して愛瑠くんの元に向かう。
足が早い訳では無いが、遅い訳でもないのですぐに愛瑠くんの元に到着する。
不思議そうな目でこちらを見上げる愛瑠くん。
「お前誰だ?」
あ、おれの名前知らないのか。
でもどうしよう、今自己紹介するのなんか違くないか…?
それに助けなきゃって思って来たはいいけどどうやって助ければいいんだろう。
こういう時生徒会のみんなならスマートに助けられるんだろうなぁ…
おれにはそんな頭ないからどうすればいいかわかんないや…
突然現れて固まったおれを心底不思議そうに愛瑠くんは見つめている。
周りの人もなんだ?と不思議そうに僕を見ている。
正直自分に視線が集まるだけで気持ち悪くなってくる。
だけど今はそれよりも愛瑠くんを守らなきゃだから。
おれは大丈夫と言い聞かせながら、でもどうしようかと考えていたら、
「春くん!」
いつの間にか舞台から降りていたらしいふゆくんがおれに駆け寄ってきていた。
「ふゆ…く…たすけ…」
「うん、分かるよ。神崎くんを助けたいんだね。ゆっくり、落ち着いて。一緒に助けよっか?」
「う…」
「…神崎くん、とりあえずは舞台に呼ばれてるから舞台に行った方がいいんじゃないかな?1位をとった神崎くんをみんな待ってるよ」
「俺のこと神崎って呼ぶなよ!愛瑠って呼べ!あとお前綺麗な顔してるな!名前教えろよ!」
「僕は眞宮深冬。書記であるこの子、眞中春くんの親衛隊の隊長をしてるよ」
「親衛隊…?ってなんだ?」
「んー…その人を応援して手助けする存在、かな?それよりも、早く行かないと。会長さんが待っているよ」
「あっ、そーだな!行ってくる!」
そう言って舞台に駆け上がっていく愛瑠くん。
まだチラチラとこちらを見る視線があるけど、ふゆくんがそれも察知して前を向くように誘導してくれている。
ほんとにふゆくんには頭が上がらないなぁ…
一丁前に愛瑠くんを守ろうと前に出たけど何も出来なかったや…
しかもサラッとおれの名前まで伝えてくれたみたいだし…本当にふゆくんはすごい。
舞台に愛瑠くんが来たことによって表彰される人が揃った(ふゆくんとおれは居ないけど)ので、表彰式の続きが始まる。
「えー気を取り直して、鬼側の3位から順番に景品を何にするか聞いていきましょか~さて、3位の坂下くん!君はなんの景品にするんや?」
「僕は…お願い券にしましょうかね…これってここで何をお願いするかまで決めなくてはいけませんか?」
「んーそこまで厳密には制限はないんやけどなぁ…まあ願いが決まったら生徒会や教師陣に許可さえ取れればええんちゃう?それでええかー?」
「ああ、後日俺を通してくれればそのまま先生に通しておくからそれで問題ないぞ」
「ということなので、坂下くんは後日お願いを決めるってことで?」
「はい、それでお願いします」
今までで初めてのパターンだ。
とは言ってもそもそも表彰に上がっていないおれみたいな存在もあるからこれも認められるだろうなぁ。
2位の人も順調に景品を決めて、最後に愛瑠くんの番になった。
「最後は映えある1位に輝いた神崎愛瑠くんやな!景品は何にするか決めててん?」
「俺はお願い券ってやつにする!」
「おー!誰に何をお願いするん?」
「俺は…うーんと…えっと」
「…もし決めてないんなら今じゃなくてもええで?坂下くんみたいに決まったらで…」
「俺は逃げたりしないっ!そうだな…じゃあ深冬!!俺とデートしてくれ!」
「!俺ですか…」
「ああ!俺、人の名前覚えられないけど深冬の名前はさっき聞いたばっかだから!」
「それって名前さえ知ってればだれでもよかったってことかいな…見境あらへんなぁ…」
岬くんの小さなツッコミは聞こえていないようで愛瑠くんはよろしくなー!とこちらに手を振っている。
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