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2、第八王子アルバート・ノーザン
しおりを挟む「……………」
『主人よ……大丈夫か』
「………大丈夫、心配してくれてありがとう」
……婚約破棄され、家を追い出され、式神『十二天将・白虎』が私を心配して、小さい状態で出てくる、肩に乗せて移動中、白虎の毛並みを撫でることであの鬼畜共に対するストレスを軽減させる。
「さて、どうしたもんか」
「おい貴様!!、コヨミ・ヴァーミリオンか!!!」
「はい?そうですけど」
胸糞悪い事情のせいで急遽帰る家を無くしてしまった私、一応、近くに実家があるので今日はそこで泊めてもらう気だった、最悪、父さん母さんまでも豹変していたら宿に泊まろう、それぐらいの金は持っている、適当に街中を歩いていると、後ろから声をかけられる、良い服着ている男の子だ、どこかの貴族の子だろうか?。
「『黒猫』と名高いお前がどれだけ強いか興味がある!!」
「はぁ…………」
どこで私の事を知ったのかわからんが、今は子供のおままごとに付き合う気分ではない、なんとか適当に誤魔化せないものか。
「ーーーー正々堂々勝負!!」
「ーーーおわっと!!」
突然斬りかかってくる少年、横薙ぎに振るわれる剣を私はなんとか後ろに飛んで避ける、しかし避けたのは良いが無理にバックステップをした代償に体勢を崩してしまい、後ろにずっこけてしまう。
「ーー痛ッッッ」
ズッコケた際に後頭部を地面に打ち付けてしまう私。
「さすが!!!!、俺の剣を避けるとはやるな!!!」
「………良い加減しろ」
「え?」
…………次から次へと訳のわからん事態と後頭部に加わった衝撃………私の何かがプツンと切れた音が聞こえた。
「お望み通り、厄日にしてやるよ」
「やっとやる気になったか!!、よし勝負はこれからーーー痛ッッッッッ??!!!」
「………遅いんだよ」
キレた私は高速で少年の後ろに回り込み、一応残っている理性が殺したらまずいと言っているので、手加減した蹴りで空中へと吹っ飛ばす、なんせこっちは戦場帰りだ、そこら辺の餓鬼がこっちの動きについてこれるわけがない。
「『式神召喚、十二天将、勾陳 』………潰せ」
「ーーーウギャッッッ??!!!」
私が呟くと、牛ベースの巨人が現れ、空中にいる子供を手ではたき落す………もちろん手加減させた、手をどかさせると、うつ伏せの大の字で気絶している子供。
「さてと、勢いでやっちゃったけど、誰なのこの子………なんか見たことあるような…………」
「ーーーぼ、ぼっちゃま!!!、大丈夫ですか!!!!」
「ああ、保護者か、んじゃあとよろしく………」
「ま、待ちなさい!!!!」
「何?、その子がいきなり斬りかかって来たんだから正当防衛だよ」
「こ、このお方は次期皇帝陛下候補、第八王子アルバート・ノーザン様ですぞ!!!」
「はい?」
いきなりの言葉に素っ頓狂な声をあげてしまった私。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(私ってとことんツイてないな)
「ハッッッッ??!!!、俺は一体」
「おお、目覚めましたか坊っちゃま、爺は心配しましたぞ」
取り敢えず、王子様をのしちゃったわけだからそのまま帰るわけにもいかず、でかい馬車で王宮へと連行される私。
「ーーーあ!!、お、お前は」
「あ、その、さっきは失礼しまーーー」
「さっきのもう一回やってくれ!!!」
「「「「はい?」」」」
「さっきの召喚獣だ!!!誰であろうと決闘では手を抜かない!!尊敬に値する戦士だお前は!!!」
アルバート様が私に気づく、取り敢えず誠心誠意謝罪をしようとすると、アルバート様が興奮した様子で私をキラキラした目で見てくる、その場の全員が素っ頓狂な声を異口同音で呟く。
「………お、お褒めに預かり光栄です………」
どうやら怒ってはいないようなので一安心する私、無難な返答をする。
「なぁ!!!、もう一度見せてくれよ~」
「す、すいません、馬車の中で出すのは危険なので………」
「そっ………か」
どうやらアルバート様は私の式神が気に入ったらしい、興奮した様子で出してくれと言ってくるが………小型で出すならいざ知らず、馬車の中でさっきのデカさで出そうものなら、馬車は一瞬で木屑に早変わりする、はいそうですかと頷く訳には行かない、丁重に断る私。
「……………え、えっと………ひ、広いとこなら………良いですよ」
「ほんとか?!!」
断った瞬間、王子様の様子に、さっきまで尻尾をぶんぶん振っていた犬が尻尾をダランと垂らすのを幻視する…………居た堪れなくなった私はつい口が滑ってしまう………そうこうしている間に王宮へと着く私達。
「ここならば良いだろう!!!」
「は、はい、『勾陳』 」
「おおおおお!!!!!」
馬車から降りた瞬間に催促してくる王子様、広さは十分なので式神を再度召喚、すると目を輝かせるアルバート様。
「あそこをちょっと壊してくれ!!!」
「ちょ、ちょっとはそれは危ないかと」
召喚した後、なんか王宮をミニチュアみたいなノリで破壊してくれと要求してくるアルバート様、流石に王宮をぶっ壊すとかテロリストみたいな事はしたくない。
「ええ、つまんない~」
「あまりレディーを困らせてはいけないよ、アルバート」
「あ、ロイ兄さん!!」
またまたなんか高貴そうなお方が登場してアルバート様を諌める。
「あ~、そろそろ私はお暇します」
「失礼ですが、もう少しだけお付き合いいただけませんか、弟の件も謝罪したいので……」
「わ、わかりました………」
約束も果たしたので、こんな場違いな所とっとと退散しようとするも、アルバート様の兄に引き止められる、兄と言う事は必然的に彼も王子ということで、王子様の意見を無碍にできることもできず、王宮の中へと案内される私。
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