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即ざまぁ編
5、sideとある剣士の初恋1
しおりを挟む「ほら、今日の飯だ」
「美味そう~」
「く、食っていいの?」
「ああ、お前らで分け合っていいぞ」
俺はアレス、母は他界して、父は魔王軍との戦争で兵士として召集された、弟を守れるのは俺だけだ、今日も兄弟の飯の為、魔物を狩ってその素材を売って生計を立てている、本当はもっと安全な職種を選びたいのだが、ガキの俺がそうやすやすと就職できるほどどの仕事も枠は空いていない。
「じゃあ、俺はもう一稼ぎ行ってくるから」
「え??、アレス兄ちゃんは一緒に食べないの?」
「ああ、もう外でたらふく食ったから大丈夫だよ」
「ええ??!!、そうなの??!!ずるい~」
「へへへ、働かざる者食うべからずってな、一番働いてる俺が一番食べるのは当たり前だろう?」
「そっか……確かにそうかも!!、頑張ってお兄ちゃん!!」
「おう!!」
俺は玄関の外へ出る。
「………腹減ったな……」
玄関のドアを閉めた瞬間、鳴り響く腹の虫、外で食ってるなんてのは嘘だ、まともな飯なんて最近は食べていない、虎人族は身体能力が優れていて俺もそのおかげで子供ながらなんとか魔物を倒せているが、その分食欲もすごい、もちろん家族達もかなりの大食漢だ、だから、弟達の腹を満たすため、今日も俺は飯を我慢する、弁当代わりに作った握り飯を一つ食べると、さらに腹が減ったような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ギャッギャッギャッ!!」
異形の裏葉色のゴブリンが耳障りなノイズに等しい鳴き声をあげ、錆びまみれの剣を振り回してくる、命のやり取りに肝を冷やしながらも、頭は熱くなっていく、そんな矛盾した錯覚を俺は感じていた。
歯を噛みしめ、ゴブリンの攻撃を避けに徹し、相手の隙を探す。
焦れたのか、ゴブリンが大上段から銅色が混じった刃を振り下ろした。
今までに比べたら数段速い斬撃に驚きながらも最小限の動きでかわし、相手の側面に着地する。
俺はこの戦闘中で一瞬、しかし最大最高の好機を右手の愛剣で貫こうとするも、焦りで手元が狂い、急所を外してしまう。
「ーーーしまッッ」
「ギャッッ!!!」
チャンスがピンチに早変わり、ゴブリンの剣が俺の頭をかち割ろうと上から迫ってくる、今からでは回避も防御も間に合わない。
「ーーー光り輝く聖槍!!!」
誰かの声が響き渡ると、どこからともなく光の槍が飛んできてゴブリンの頭を錆まみれの剣ごと貫通、突き刺さった後、内部で魔力が炸裂、ゴブリンが跡形もなく吹っ飛ぶ。
「だ、誰だ」
「通りすがりの旅人ですよ、可愛い冒険者さん」
魔法が飛んできた方角を確認すると、そこには銀髪の女が立っていた、どうやら彼女が俺を助けてくれたようだ。
「ーーーッッッ???!!」
ボーッと突っ立ていると、砕けた剣の柄が俺の頭に直撃、そこで俺は気絶、意識を闇に落とした。
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