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即ざまぁ編

4、アレスの家にお泊まり

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「んんっっ………いい湯です」

あの後、体が冷えた状態でつれ回すのは気がひける、ということで今日のところは現在いるアレスの家に泊まる事となった、流石に6人も泊められるほど広くはないので他のパーティーメンバー達には帰ってもらった、そして体を温めるため、風呂に浸かる私、雨で冷えた体を湯船に浸からせると体の先から徐々に温められるのはなんともいない快感を感じる、あんまり長風呂してアレスを待たせるのも悪いので、適当に体を十分に温めてから風呂から出る。

「アレス、お風呂出ましたよ」

「わかった、じゃあ俺も入ろう、か………な」

「?、どうしたのですかアレス、顔を真っ赤にして、熱でもあるのかな」

「ーーーーッッッ!!!??、だ、大丈夫だ!、大丈夫だから気にするな!!!、そ、それじゃあ俺風呂入ってくるな!!!」

「は、はぁ………」

私は寝巻きに着替え、頭をタオルで拭きながらアレスに風呂を出たことを伝える、すると彼は顔を真っ赤しだす、熱でもあるのかと彼の額に私の額を当てるとさらに赤く顔を染め、走り去るように風呂場へと駆け込んでいく。


ーーーーーーーー
アレス視点

「あ、危なかった」

湯上がりのマリアがあまりにも艶かしいのでつい、視線が釘付けになってしまった、だが、俺は悪くない、流れる銀髪、傷一つない玉の様な肌、元々綺麗な彼女の髪や肌が濡れて色気倍増になっているので男だったら誰だって意識してしまうだろう。

「にしても、婚約破棄か」

自分には全く理解できなかった、あんなに優しくて綺麗なマリアとの婚約を破棄するなんて。

「喜んでいる自分がいるな……」

俺はマリアが好きだ、だけど、偶然マリアには婚約者がいると知ってしまった、俺の想いを伝えてもマリアを困らせてしまうだけだと思い、胸の中にしまい続けてきたが、その相手との婚約が破棄されたという事は、俺にもチャンスはあるという事。

「あつらえむきに今日は二人きりだし」

告白するにもムードは十分、今夜、想いを伝える気だ、タイミングを見計らってるうちに誰かといい感じになられたら死んでも死に切れない。

「……ま、マリアが入った風呂か……」

体を洗い終わり、湯船に入ろうとした時、マリアが浸かった風呂という事実に気づき、彼女の入浴シーンを思わず想像してしまう。

「ーーーーえええい!!、変な妄想をするな俺!!!」

妄想をする自分を叱責し、覚悟を決めて風呂へと入る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マリア視点

「こうして並んで寝ていると旅のことを思い出しますね」

「そう、だな」

寝室のベットが一つしかないので並んで寝るマリアとアレス、魔王討伐の旅の時のテント内感覚で寝そべるマリア。

「それではお休みなさい」

「………」

体をアレスの反対に向け、寝る挨拶をするマリア。

「ーーーッッッ、もう、アレスは甘えん坊ですね……」

「マリア………俺、俺、」

無言のアレスはいきなりマリアの背中に抱きつく、そんな彼の行動を一瞬驚くも、体をアレスの方に向き直り、頭を撫でながら微笑するマリア。

「お、俺、実はマリアのこと好きなんだ!!!」

「はい、私も大好きですよ」

覚悟を決めてアレスは告白する、しかし聖女マリアにはlikeの好きだと思われ、子供を相手にする感じで返答される。

「い、いや、そういう事じゃなくて、結婚したいんだけど……」

「え?」

「い、今こんなこと言ってもきっと信じてもらえないだろうけど、ずっと前からマリアのことが好きだったんだ!!、で、でも婚約者がいるならって、気持ちを押し殺してきたけど……婚約破棄された今なら、告白できると思って……」

「そ、そうでしたか………わ、私は………」

改めて結婚という言葉を出すとさすがのマリアも気がつく、旅の中で押し殺してきた気持ちを濁流のようにマリアにぶつけるアレス、マリアはそんなことを言われて混乱している。

「……返事は今じゃなくても良い、マリアもいきなりこんな事言われてびっくりしてるだろうし」

「あ、ありがとうございます」

「それじゃあ寝ようか」

「は、はい」

お互い心臓の鼓動がうるさく、眠りにつくまで時間がかかった。


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