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即ざまぁ編

1、プロローグ

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「頼む、もう一度婚約しないか?!!」

「許してお姉ちゃん!!」

「………二人とも私の前から消えてください」


元婚約者と妹がいまさら都合のいい御託を並べるが、もう遅い、私が貴方達を許すことはない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数週間前


「ーーーー拘束の光輪ホーリーバインド!!!」

「ーーーぬッッッ!!??、し、しまった!!」

人間と魔族の戦争、その最大にして最重要局面、すなわち魔王討伐のために集められたパーティーvs魔王だ、ここの勝敗で全てが決まる、私、マリア・クロスは魔王の隙を見逃さず、魔法で拘束することに成功する。

「ーーー今ですアレス!!、パーティーの大罪武具の力全てを貴方に託します!!!」

「決めてやるぜ!!、目覚めろ暴食魔剣グラトニー!!、奥義七罪剣破シンセイバーァァァァーーーー!!!!!」

「ーーーッッッッッバカなッッッッッッ!!??」


槍使いエクス、射手ルフ、格闘家ルード、竜騎士ハル、暗殺者スレイ、狂戦士ルプス、他の六人の七罪武具全ての力を剣士アレスの剣へと注がれる、剣から放たれる黒い斬撃は魔王を飲み込む、拘束された魔王に回避する術はなく、影も形も残さず消滅、名は体を表すとはよく言ったもので、黒い斬撃は魔王を跡形もなく食い尽くした。

「ハッ、ハッ、ーーー俺たちの勝ちだ!!!!」

「……やりましたね……」

「マリアのおかげだぜッッ!!」

「いえいえ、アレス達が頑張ってくれたおかげですよ」

虎人族の青年、勇者アレスは私に抱きついてくる、頭と一緒に虎耳の柔らかさを堪能しながら撫でる私。

「ーーーーあああ!!!抜け駆けはズルいぞアレス!!」

「へへ、早い者勝ちだもんねぇ~」

犬人族の青年、槍使いのエクスはアレスに食ってかかる、しかし当の本人はどこ吹く風で構わず抱きつき続ける。

「全くお前らは……よく戯れる元気があるな……近接職は体力お化けなのか」

人鳥族、まぁ分かりやすく言えばペンギンの獣人の青年、射手ルフは疲れた様子で呟く。

「いや、近接職だからと一括りにされると困るな、俺も疲れてはしゃぐ元気もない」

熊人族の青年、格闘家のルードはルフに返答しながらその場に座り込む。

「宴だーーーーーー!!!!」

竜人族の青年、竜騎士ハルは高らかに叫ぶ。

「…………勝ててよかった」

兎人族の青年、暗殺者スレイは静かに呟く。

「これで世界が平和になる」

狼人族の青年、狂戦士のルプスは穏やかに呟く。


世界を渡り歩き、聖なる力を持った貴族、聖女の一族が封印していた七罪武具を使うに相応しい戦士達を見つけ出し、魔王を倒すのは容易ではなかった……毒を以て毒を制するとは正にこの事、本来ならばこれは妹の役目だった、しかし泣いて嫌がる妹を見かねて私は身代わりになった、婚約者もいるし、そんな危ない旅なんぞ行きたいわけがない、だが、誰かがやらなければならない事だ、誰もやらなければ世界は終わる、私は吹っ切れて血反吐を吐きながら各地を駆けずり回り、屈強な戦士達を集め、なんとか目的を果たしたのだ、それに各国から大金も支給されているはずなので一生お金に困ることはないだろう。

「どうする?、とりあえずどこかで祝勝会でもするか?」

「いえ、私は先に家に帰ります、イオスも首を長くして待っているでしょうし」

「………そっか…」

アレスは祝勝会に誘ってくれるが、申し訳なく思いつつ断る私。

「アレス~そんな分かりやすくしょんぼりするなよ、分かりやすぎだろ~」

「なッッッ!!、お、俺は別に、仲間が少なかったら誰だって寂しいだろ!!!」

「ま、そういう事にしといてやるか」

ハルはアレスを茶化す。

「それでは皆さんも気をつけて帰ってください、『転移、グランポート』」

私は転移アイテムで自宅へと転移する。


ーーーーーーーーーーーー

「ふぅ……疲れた……もう今日は寝たーーーー」

「んッッ♡\\\\、今日も気持ちよかったわイオス……」

「俺の方こそすぐに満足してしまったよ………エミリー」

疲れが溜まっていたのですぐに寝るため、自宅の寝室へ転移したら、婚約者のイオスと妹のエミリーが私のベットで男女の営みをしていた。

「な、何を……しているのですか……イオス……エミリー……」

「「えッッッ!!??、な、マリア???!!」」

震えながら呟いた私の声は部屋に響き、二人は私の存在に気がつき、慌て始める。

「ーーーち、違うんだ、マリア!!」

「………」

「そ、そうよお姉ちゃん、誤解しないで!!!」

「………」

取り敢えず、ゆっくり話すにも裸では気が散るので、風呂に入って体を清めてもらう、その後、リビングに座る私達、苦しい言い訳をしだす二人。

「………高位の聖職者は神から嘘を見抜く『審眼』の奇跡を与えられます………今回の旅で手に入れました………貴方達は嘘をついています……」

「「ッッッッッッ!!??」」

立ち上る怒りをなんとか抑え込み、あくまでも理性的に返答をする私、その返答に絶句する二人。

「ーーーはぁ………間抜けのお姉ちゃんなら騙せると思ったのにな~」

「全く、小賢しい……」

「それが貴方達の本音ですか」

『審眼』で見ているが嘘をついてる様子はない、最後まで信じたかったが、これが彼らの本音のようだ。

「マリア、君との婚約は破棄させてもらう、何故なら七罪武具なんて穢らわしいものを管理していた魔女なんか信用できないし、一族の族長、聖女の称号もエミリーが受け継ぐらしいからね」

「ごめんね~お姉ちゃん~イオスさんと一族の族長の座とイオスさんの両方取っちゃって~」

「じゃあさっきの続きをしようか……」

「やん、えっち~♡♡」

「「んんっっ……」」

「ーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」

婚約破棄をしたイオスは私の目の前で、私の家のベットで、エミリーと口づけをかわす、瞬間、私は部屋を飛び出した、そのまま蹴破るように玄関を飛び出す。

全速力で走る、大通りに出たが彼女は止まらず走り続ける、人にぶつかったり、全身の筋肉は痛みを訴え、肺は酸素をもっとよこせと暴れていた、それを全て無視して走る、全身全霊で走り続ける、それでも無限に走れはずもなく限界が来て速度を緩めて適当な壁に寄りかかる。

「……ハハ……」

力無く笑う私、必死に頑張って頑張って頑張って、行き着いた果てがこの地獄なら……もう笑うしかないだろう、そんな自分を嘲笑うか如く、雨まで降ってくる始末。

「お、おい何してんだマリア!!」

「………ア……レス?」

いつの間にかずぶ濡れになっている私、数分程度だったかもしれないし、数時間突っ立っていたかもしれない、時間感覚すら朧げの中、苦楽を共にした仲間、剣士アレスに声をかけられる。





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