1 / 6
1、プロローグ
しおりを挟む「なんて醜い姿なの………」
「ヴァーミリオン家の恥部だわ………」
「いくらなんでもできるからと言ってあの見た目ではな」
「すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、 すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません」
「謝れば済む問題ではないのよ!!」
「アウッッッーーー!!!??」
……目を瞑ると数年前の記憶が鮮明に浮かび上がる、走馬灯の様に頭を巡るそれは、蔑称と嘲笑から始まる、実の母に謝罪を嵐のようにぶつけるが、許されない、許されるわけがない、顔を殴られる。
「ヴァーミリオン家始まって以来ッッッーー、一番の神童が聞いてッッッーーあきれッッーーるわッッッーー!!」
「ごめッッッーーなさッッッいーーすいまッッッせんッッッーーガハッッ」
「ふざけないでよッッッーーー醜いッッッーーばけッッッものッッッーー!!」
「ガハッッーーゴフッッーースッッみッッまッッガハッッーー」
言葉で責められ、罵倒の言葉尻の最後は言葉だけでは済まず顔を殴られる、何度も……何度も何度も何度も何度も何度も、私は謝罪することすらできず、謝罪は短い悲鳴へと変換される……
今まで死ぬ気で頑張ってきた、ダンスの稽古、礼儀作法、勉学、ありとあらゆることで一番を取れるよう頑張ってきた、確かに辛かったが、苦ではなかった、結果を出せば母様や父上が褒めてくれた、なんでも好きなもの買ってくれたり、何処へでも連れってくれた、血反吐を吐いて、手足が折れようが、出来るまで頑張りさえすれば私は幸せになれる、ずっとずっと、幸せになれる………とそう思っていた。
ある日、妹のマーガレットが魔物が出る森へと遊び半分で出かけた、案の定、魔物に襲われる、私はマーガレットの不在に気づき、何とか彼女を見つけ、魔物の攻撃を自分の体を盾に妹を守りながら家へと帰った……だが、そこからが地獄の始まりだった、と言うのも血を主食とする吸血鬼竜という特殊な魔物の攻撃を食らったせいか、呪いにかかってしまった、白銀の髪に紅の瞳………悪魔めいた風貌に様変わりしてしまう………そして日常的に血を飲まなければならない身体………その瞬間世界は一変した、全員手のひらを返すように罵倒、嘲笑、蔑称………助けた妹にすら、私が言いつけを破って森へ行ったと嘘をつかれ、私の最後の希望は婚約者のアルフレッドだけだ、彼だけは態度をかえなかった、会いたい、早く彼に会いたい。
「ハァッッーーハァッッーーーハァッーー、あんたの顔を見てるとむかつくわ!!!、とっとと消えなさい!!」
「ッッッーーガハッッーーー??!!!!」
母は私を殴っても少しも機嫌は治らず、むしろイライラが増しているような気さえしてくる、トドメとして床に這いつくばっている私の腹に蹴りを入れてそのまま二階の窓から叩き落とされる、瞬時に受け身をとるも衝撃を吸収できるわけもなく、短い悲鳴をあげて、その場に蹲る。
「……………うぅぅぅぅぅッッッーーーー」
体というのは正直なもので母という脅威から遠かったと思ったら、気が抜けて涙が流れ始める………嗚咽を漏らしながら泣き続ける私。
「何をそんなに悲しんでいるのかな」
「ア、ーーアルフレッド!!、来てくれたのね……あれ?、マーガレット……何で一緒にいるの?」
「僕の新しい婚約者さ」
「ーーーえッッッッ?」
「いつ見てもまるで悪魔みたいに醜いね~」
「………え?、私……との……婚約……は?」
「そんなもの破棄に決まってるだろう」
「ダメです、アル様♡、こんな所でッッッ♡、化け物も見ておられます♡」
「見せつけてやればいいじゃないか、君は気持ちよくなることだけを考えていればいいんだよ……」
「…………そっか……ここが地獄か……」
アルフレッドとマーガレットの男女の愛し合いが目の前で始まる、ねっとりとした触れ合いを見せつけられ、私は真実にたどり着いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「頼む!!、私のパートナーになってくれ!!!」
「………イ・ヤ・だ」
「なぜだ!!、代々、高名なドラゴンテイマーを輩出している我がジャガーノート家の私と契約すれば、こんなゴミ山に住む必要は無いんだぞ!!、竜種の中でも希少種中の希少種、変異中の変異種、この大陸の中でも最強の一角、吸血鬼と竜種のハーフである攻防貴女の力が加われば我がジャガーノート家はさらなる繁栄をーーー」
「ーーー私、貴族嫌いなんだよね、それに、レディーの住処を批判するなんて品性下劣としか言いようがないし」
「な、何だと??!!ぐぬぬ、もう良い」
「けーれけーれ」
………利用価値の無い私は家を追い出された……そして各地を放浪する中、何とか呪いを制御する事に成功し、吸血鬼龍の力を何とか自分の力にした、今は田舎の町外れにある、ゴミ山に住んでいる、この身体はどうやら血を主食とするらしく、魔物を狩って血を吸っていると村人から魔物退治の依頼を頼まれるようになる、私からすれば食事と金の両方を調達でき、一石二鳥なのでこれ幸いと受ける………金を得ているのになぜ屑鉄や魔道具が散乱するゴミ山にいるのかは、実は共同生活を送っている亜人が鉄や魔道具を主食としている為、まぁぶっちゃけ節約にもなるし、一緒にこのゴミ山で生活していると、そういうわけだ
…………と、順風満帆、悠々自適なニート生活を邪魔する存在がいた、それは私の話を聞きつけた、テイマー関連の奴らだ、特に貴族、何でも、契約した動物や獣人によって自分の価値が決まるビーストテイマー系の奴らにとって竜種はかなり貴重な存在らしい、竜種と契約できたら将来は約束されたモノらしい、さらに私の場合は吸血鬼竜という特殊な竜種の力をものにしいるため、喉から手が出るほど契約したいらしい、こういうしつこい勧誘に見舞われている、だがまぁあいつらはプライドが異様に高い、適当な対応をしてやれば怒ってすぐにどっか行ってしまう。
「ったく、もう二度と貴族の男なんか信用するかってんだよバーカ」
………貴族なんてのはお家繁栄とやらのために人を傷つける嘘を平気でつける鬼畜な奴ら………私は二度と貴族は信用しない。
「また男を泣かせたのか、流石『鉄血』のリフィル、触れるもの全てを傷つける罪な女だ」
「………ハルバート、私の事、反抗期の子供みたいに言うのやめてくれる?」
「まぁそんな事はどうでもいい、さぁリフィル、俺と契約してくれ、そんで一緒にグランフィリア学院の頂点を目指そう!!!」
「嫌だって言ってるでしょ、貴族の男は嫌いだって言ってんの」
「俺は王族だが?」
「似たよーなもんでしょうが、大体、王族なら私なんかに頼まずとも、相手はよりどりみどりでしょうに、何でわざわざ田舎のゴミ山に住み着いている醜い化け物なんかにーーーー」
………私の取りつく島がない態度に大抵の男は一、二回で諦めるが………グランフィリア学院の入学前の春休み、パートナーを探していた彼、成り行きで助けたこの男、ハルバート・ペンドラゴンは数週間ずっと粘着してくる、彼はペンドラゴン帝国の第四王子、王族だ………この国で竜種や竜人種がなぜ重宝されるのか、理由はこの帝国のトップが代々、竜や竜人種と契約し、力を発揮する竜騎士の一族だからというのも理由の一端だ。
「醜い?、何を言っている、お前以上に美しい竜人を俺は知らんぞ?」
「ーーーー??!!!\\\\\\\」
………これだ、この男はサラッと歯の浮くような口説き文句を平然と言ってくる………私は騙されない!!。
「なぁ~頼むよ~お前に一目惚れしたんだよ~」
「あーうるさいうるさい\\\\\、耳障りの良い言葉を囁くな、私は今の生活に満足しているんだ、何でわざわざ契約なんかしないといけないんだ、私は死ぬまでこのゴミ山で生きる」
「………わかった」
「漸くわかったか」
「…………君は死ぬまでこのゴミ山で生きるんだね?」
「?、そうだよ、私は死ぬまでこのゴミ山で生きる、何度も同じ事言わせないでよ」
「そうか………わかった……………また明日」
「…………諦めないんだ………まぁいいや、アンタは無理強いはしないし、くる相手の中ではまだ会話になるから暇潰しに丁度良い」
…………この時のハルバートの言葉をちゃんと聞いておけば良かったと後悔するも、後の祭りだ。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
魔力無しの聖女に何の御用ですか?〜義妹達に国を追い出されて婚約者にも見捨てられる戻ってこい?自由気ままな生活が気に入ったので断固拒否します〜
まつおいおり
恋愛
毎日毎日、国のトラブル解決に追われるミレイ・ノーザン、水の魔法を失敗して道を浸水させてしまったのを何とかして欲しいとか、火の魔道具が暴走して火事を消火してほしいとか、このガルシア国はほぼ全ての事柄に魔法や魔道具を使っている、そっちの方が効率的だからだ、しかしだからこそそういった魔力の揉め事が後を絶たない………彼女は八光聖女の一人、退魔の剣の振るい手、この剣はあらゆる魔力を吸収し、霧散させる、………なので義妹達にあらゆる国の魔力トラブル処理を任せられていた、ある日、彼女は八光聖女をクビにされ、さらに婚約者も取られ、トドメに国外追放………あてもなく彷徨う、ひょんなことからハルバートという男に助けられ、何でも屋『ブレーメンズ』に所属、舞い込む依頼、忙しくもやり甲斐のある日々………一方、義妹達はガルシア国の魔力トラブルを処理が上手く出来ず、今更私を連れ戻そうとするが、はいそうですかと聞くわけがない。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
鉄臭い義手女になんの御用ですか?〜妹に婚約者を取られ、居場所も失った、戻ってこい?、自由気ままな今の生活が気に入ってるのでお断り〜
まつおいおり
恋愛
ペンドラゴン家には主家と分家が存在し、リフィルは魔力が低かった為、分家に属していた、分家に属する人間は貴族とは名ばかりで、マトモな食事すら回ってこず、殆どがゴミ山を漁ってなんとかその日を生きながらえていた……そして分家の中にも序列が存在し、新参者の者のリフィルに回ってくるのは食べれる物は何もなかった……最初は飢えを耐えるために齧るだけだったが……リフィルはどうせ飢え死ぬならと覚悟を決めて鉄屑やジャンク品を食べ始める、竜人の胃袋と体は思った以上に頑丈、奇しくも生き残ることに成功………しかしその偏食のせいか、竜人族の中でも変異中の変異種、機竜人になってしまう、主人公リフィル・ペンドラゴン、妹のシャーリー・ペンドラゴンと一緒に、魔王を倒すための旅に出ることになる……力ある者の責務として、ペンドラゴン家からは代々、勇者パーティーへと主家と分家から一人ずつ参加しなければならない……魔王を倒す為の旅をして数年経ったある日、リフィルは勇者パーティーから追放、ついでにいつのまにかシャーリーと出来ていたのか、将来を誓い合ったはずのロゴミスには婚約破棄までされてしまう………いつまでも膝を抱えているわけにはいかない、これからは魔王を倒すためとか、世界を救うとか、そんな大きな事は目指さず、自由に気ままに生きてみようと思い、冒険者になる事を決意する………一方、勇者パーティーは気づかなかった、今まで旅をしてこれたのはリフィルの力が大きい事に………ひょんな事から契約した魔力はかなりあるが、うまく扱えない人狼の青年ルーガスと魔力が少ないが実力はあるリフィルのコンビを中心に、いつの間にか集まってくる愉快な仲間達との絆を育む物語
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
ヤンデレ悪役令嬢の前世は喪女でした。反省して婚約者へのストーキングを止めたら何故か向こうから近寄ってきます。
砂礫レキ
恋愛
伯爵令嬢リコリスは嫌われていると知りながら婚約者であるルシウスに常日頃からしつこく付き纏っていた。
ある日我慢の限界が来たルシウスに突き飛ばされリコリスは後頭部を強打する。
その結果自分の前世が20代後半喪女の乙女ゲーマーだったことと、
この世界が女性向け恋愛ゲーム『花ざかりスクールライフ』に酷似していることに気づく。
顔がほぼ見えない長い髪、血走った赤い目と青紫の唇で婚約者に執着する黒衣の悪役令嬢。
前世の記憶が戻ったことで自らのストーカー行為を反省した彼女は婚約解消と不気味過ぎる外見のイメージチェンジを決心するが……?
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる