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ルーガス有給編

65、Eveとルーガス1

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「にしてもさ、きみたち天使と悪魔の力って私に渡すと貴方達が弱体化しちゃうから受け取り辛いんだよな~」

「す、すみません……」

「まぁ、帰ってきたら面倒くさい家事全般終わってるのは便利だから良いけどさ~」

家に帰った後、賑やかすぎる夕飯を食った後、皿を洗う私。

「満腹満腹」

………レクスもなぜか私の家にいる、いやまぁ、婚約者?、側室候補?、な訳だから別にいても良いとは思うけど………。

「食い終わったなら自分の皿は自分で洗ってよね、レクス」

「なぜ王たる我が皿洗いなどせねばならん」

「………実は私、家庭的な男が好きなんだよね~」

「任せておけ!!、何なら洗い場に出ているすべての皿を洗ってやろう!!」

「わぁ~、カッコいい~」

食ったあと寝転がるレクスに自分の皿ぐらい洗えというが、予想通りの返答が返ってきたので、対レクス最強の切り札を出す、すなわち「~な男が好きなんだよね~」だ、大体これを言っておけばレクスはいう事を聞く。

「うん?、誰か来たみたい、ちょっと出てくるわ」

呼び鈴が鳴ったので玄関へと移動する私。

「よ、よう」

「あれ?、ルーガス?、どうしたの」

「あ、いや、その…………」

「よくわかんないけど、なんか話あるならここじゃ何だし、上がる?」

「……中に人はいるか?」

「居候がひーふーみー……たくさんいるね」

「それなら、ちょっと外に付き合ってくれないか?、二人きりでしたい話なんだ」

「おけ、みんな、私外出るから後の片付けお願いね~」

適当に居候達に指示を飛ばした後、ルーガスについていく私。

「……それで、何の用なの?」

「昼間、相談した俺の好きな相手の事だ」

「え?、何々、進展あったの??!!」

「………これから進展するかもしれない」

「へぇ~♪やるじゃん、今度は何を相談したいの?、私に出来る事なら手伝うよ」

「………これ、お前に返す」

「へ?」

彼の恋が進展しそうと報告され、胸が熱くなる私、乙女と化した私にルーガスは自身の首から認識票を外し、私に投げる、不意に投げられたので反応しきれず落としそうになるが、なんとかキャッチする。

「か、返す?」

「……よく見てくれ」

よくわからないが、ルーガスの言う通り、渡された認識票を注意深く観察する私………。

「あ、この頭文字って、Iじゃないの?、なんか横線入ってるけど……」

「ああ、おそらくEが擦れたんだろうな」

「それに何だか………昼間見るより前に、これを見覚えがある気がする……ね……」

「…その認識票はお前のだ」

「え?、て、てことは……」

「………俺が好きなのは『Eve』、お前だ」

「へ?」

私はあまりの事実に間抜けな顔と声を晒す。

「な、何で私なんか……」

「アンタが俺の、いや、俺達の命を救ってくれた、たった一人で俺達の退路を確保してくれた、あん時から俺はアンタが好きだったと思う………惚れない方がおかしいだろ」

「え、で、でもほら、ルフ様と付き合ってるんじゃないの?」

「だから何度も言ってるだろ、ルフとは何にもないって」

「え、えー、まじか~」

「……王子様と別れて俺と付き合えなんて図々しい事を言うつもりは無い…………気持ちを伝えたかっただけだ……じゃあな」

「待って!!」

「……何だよ、フった男に期待を持たせるのはやめた方がいいぜ、それとも俺と付き合ってくれるってのか?」

「えっと君だけと付き合うってのは無理だね」

「だろ、だからーーー」

「でも、側室なら空いてるけど、どうする?」

「…………へ?」

私を好きだと言ってくれるルーガスにダメもとで提案してみる、側室ならどうと聞いてみる、するとルーガスは口を大きく開けて、ポカンと間抜け面を晒す。


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