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21、望まぬ再会

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「ふん~ふふん~♪」

「やけに上機嫌だね?」

「そりゃ、リフィルと契約できましたから\\」

「ーー!!、な、中々小っ恥ずかしい事を平然というな君は……\\」

今日も適当な依頼を受け、ギルドへの帰り道、鼻歌を歌うエクスに話しかけると、満面の笑みで小っ恥ずかしい事を言ってくる、赤面する私。

「おいおい、俺を忘れて二人の世界を作るなっての」

「………あ、いたんですかルーガスさん?」

「………さっきからずっといたっての」

「すいません、リフィルしか目に映らなかったもので………」

「………恋は盲目とはよく言ったもんだな」

「あ、アハハハハ」

隣にいたルーガスが私達に話しかけると、露骨にエクスの表情が曇る、今、ルーガスの存在に気付いたという反応に皮肉げな返答を返すルーガス………二人に挟まれてる私は愛想笑いしかできない。

適当に雑談しながら歩いていると、ギルドに到着した私達。

「依頼達成しましーーー」

「リフィル、やっと見つけたよ!!」

「ーーーッッッッッ!!」

達成証明の魔物の魔石と素材を提出するため、受付に寄った瞬間、聞き覚えがある声が私に届く………思考が凍りついた私は声のした方を呆然と眺める……そこには、私のトラウマ、ロゴミスが立っていた。

「お姉ちゃん久しぶりだね、元気してた?」

「ーーーーッッッッ??!!、シャ………リー……」

「いやぁ~久しぶりだね、リフィル、冒険者になったって聞いたけど、調子はどうだい?」

「ハッッーー……ハッッッーー………」

どうやらロゴミスだけではなかったようだ、中の良い姉妹のような調子で話しかけてくるシャーリー………まるで久しぶりに再会した旧友のような親しさで接してくるロゴミス………わけがわからなかった、なぜこんな親しげには話しかけられるのか、彼らの神経が信じられなかった、私を追い出した事を忘れているのか?…………彼の言葉が私の耳に響くたび、パーティーから追い出された記憶が蘇る。

婚約破棄をされた後、舌を蛇のように絡み付かせ、イチャつくロゴミスとシャーリーの記憶がフラッシュバックする、動悸が激しく、おさまらない……頭の中をグチャグチャにかき混ぜられ、思考がおぼつかない、自分がどこに立っているのかすら曖昧になっていく………浅い呼吸を繰り返すことしかできない私。

「……気分が優れないのかな?、まぁ奢るから、一緒にお茶でもーーー」

「………誰ですか貴方は、リフィルに気安く近寄らないでください」

私の様子を気遣うようなそぶりを見せながら近づこうとするロゴミス、私の様子がおかしいのを察したエクスがリフィルを守るように間に入る。

「ハッッーー……ハッッッーー……」

「落ち着けリフィル、俺がいるから………大丈夫だ、安心しろ……」

「ーーーぁ………」

エクスがロゴミスを遮ってくれても、私の狼狽はおさまらなかった……次の瞬間、モフっと、何か柔らかくて、温かいものが私を包み込んだ………。

………どうやら、ルーガスが私を抱きしめてくれているようだ………自然と呼吸が落ち着きを取り戻した………。

「………僕達、でしょ?」

「あれ?、そう言わなかったっけ?」

彼の言葉につっかかるエクス、さっきのお返しとばかりに舌を出してすっとボケるルーガス………私は彼を抱きしめ返した。

「………ウッッ………ウッッッ………」

「………よしよし」

………少し安心したのか、私は嗚咽を漏らしながら涙を零す………ルーガスは私を宥めるように、自分の胸を貸し、頭を撫でてくれる………そうして、私が落ち着くまで付き合ってくれる。

「ちょ、ちょっとずるいですよルーガスさん!!、変わってください!!!」

「待て待てエクティス、今変わったらリフィルが不安になるだろうが、そっちの男の対応をしてくれ」

「ぐ、ぐぬぬぬぬ」

……側から見たらイチャついてるようにしか見えない二人の様子を羨ましそうに眺めるエクティスは抗議するが、正論すぎるルーガスの言葉にうめき声を漏らすことしかできない。









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