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15、騎士団長クレア・シルバーと副団長のエクティス・ドライガ

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「え、えっと……それで、私なんかに何の御用ですか?」

「…………そう固くならなくて良い、ただ盗賊団の件について一言、お礼を言いたかっただけだ」

「ああ、なるほど……」

ギルドの応接室で待っていたのは騎士団長クレア・シルバー、白銀の鎧を身に纏った見目麗しい女騎士との面談………隣には虎人族の青年騎士が顔を伏して座っていている、付き人か何かだろうか?、猫科特有のちょっと愛らしい顔をしている…………まぁそこまで気にしなくて良いだろう、問題は団長の方だ、私は短刀直入に本題を聞くと、どうやら、ただ盗賊団を退治したお礼をしたかっただけらしい、ホッと息を吐いて安心した。

「本来であれば私達騎士団がやらねばならぬ事を片付けてくれて、面目次第もない、報酬も用意させている」

「い、いえいえ、報酬なんてとんでもない、騎士団長様が直々にお礼に来てくださるだけで十分です、商人さんの娘さんを取り返しにいったら、そのまま成り行きでそういう形になっちゃっただけだし………ねぇルーガス?」

「グスッッッ………そうだな」

(………まだ泣いてる)

「なるほど………エクスが入れ込むわけだーーームグッッッ??!!」

「ナナナな、何を言ってるんですかクレア団長!!\\\\\」

「ハハハ、過剰な反応は図星と取られてしまうぞ」

「ーーーッッッッ!!!\\\\\\」

「?」


クレアが何かを呟くが、途中で耳まで顔を真っ赤にした隣の青年騎士に口を押さえられたので、よく聞こえなかった私は疑問符を浮かべる。

「まぁこちらもメンツがある………少ないが、これだけでも、受け取ってくれ」

「………………わかりました」


…………あんまり突っぱねすぎても、あちらの立場がないだろう、ここら辺がお互いの落とし所と判断、私は差し出された袋を受け取る……少ないとか言ってるが、今しがた貰った袋には銀貨より価値の高い、金貨が何枚も入っていた……。

「さてと、お礼もすんだし………ほら、エクス、いつまで黙ってるんだ?、挨拶ぐらいしといたらどうだ?」

「で、でも………その………」

「………何にもないならここでお開きにしても良いってことかな?」

「ーーー!!!………わかりました………ひ、久しぶりです、ぼ、僕のこと………覚えていますか?、リフィルさん」

「?…………ごめん、わかんない………」

「おやおや」

「そ、そんなッッッ!!!、忘れちゃったんですか?」

「そんなこと言われても………君みたいなカッコかわいい子記憶にないんだよなぁー」

「へ?、カッコかわいい?\\\」

「うん」

突如、クレア団長の付き人らしき人が私と面識があるようだが、とんと記憶にない、ここまでカッコ良さと可愛さのバランスが良い獣人は嫌でも覚えていると思うのだが………。

「……エクティス・ドライガという名前に覚えはあるか?」

「え?、なんでクレアさんが彼のこと知ってるんですか?、あ、もしかして今騎士団に所属しているんですか?、そういえば騎士になるって言ってたしなぁ~」

『烈風のシュラウド』との戦いの時、逃げ遅れていた獣人の男の子の名前だ、どうしてクレア団長の口から出てくるのだろう?。

「………ぼ、僕がエクティスなんです………\\\\\」

「へ?、ま、待ってよ、だってその子、あったのが8歳くらいで今多分、12歳ぐらいのはずだよ……身長からして、貴方、少なく見積もっても15か16くらいでしょ??!!」

「グスッッ、獣人は……十分な食事をとっていれば、体が急成長することはザラだ、3、4歳ぐらいのズレだったら十分有り得る」

「あ、ああ……そうなんだ……」


横から泣いてるルーガスが補足を入れてくれる………そうか、私は獣人に近い存在の竜人だが、十分な食事は取れてなかったため、成長速度が常人と同じだったのだろう………気付くのが遅れてしまった。

「え、えーーと、ひ、久しぶりだねエクティス、ごめん忘れてて……」

「あ、は、はい\\\、お、思い出してくれたなら大丈夫です」

どんな理由があろうと忘れていたのは事実なので、謝罪をする私、しかし、思いのほか気にしてない様子だ、むしろやっと思い出してもらえて嬉しそうですらある。


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