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第12章 嵐は東の彼方からくる
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冒険者ギルドへ戻ってきたツバキ達は、ジョゼフィーヌにかけられている従魔術を確認してからアリオスの元へと連れて行った。
アリオスの怪我は本当に大事ないらしく、帰宅しても構わないとの診断が下された。
が、何故かアリオス含め、ツバキ達は冒険者ギルドの救護室からまた別の一室へと移動させられてきていた。
「……えーと」
まあ座ってと勧められソファに腰掛けたツバキ達の目の前には、冒険者ギルドのスタッフ。と、それとはまた別の制服を着ている人物。
「お疲れのところにすみません。私は首都の従魔術師協会から派遣されてきました、ガリアと申します」
「はあ、私はツバキです。こっちが弟子のラーハルトと、うちから従魔を譲渡したアリオスです」
「うち?」
「あ、私達はこの村の外れで訳ありの従魔の保護と、新しい主人へ縁を繋ぐ活動をしていて」
はてなを浮かべた従魔術師協会のスタッフ──ガリアは、ツバキの返答を聞いて「ああ」と頷く。
「貴女が、あの」
「え?」
「貴女方の預かり処の話は、首都の従魔術師協会でも話題になっていますよ」
「えっ、なんで」
「なんでも、あの5長老の1人であるサイラス様が手も足も出なかった不死鳥を指1本で服従させたとか、屈強なグレートウルフを尻に敷いているとか、はたまた恐ろしい精神攻撃を操る凶悪なドライアドを腕っぷしだけで抑えているとか」
「……は?」
ガリアの口から次々と出てくるあり得ない話に、ツバキもラーハルトもぽかんと口を開ける。
「な、なんの話!? いや、微妙に丸っきり嘘じゃないけど……」
「魔物の種類だけね!? ねっ!? ツバキ師匠!」
反論しつつも、一部内容を認めているようなツバキの言葉に、冒険者ギルドスタッフの「なんだコイツ。やべえ奴か?」という表情を読み取ったラーハルトがすかさずフォローに入る。
「サイラス……あのクソ糸目野郎……どういうつもりで、あることないこと吹聴してるわけ……!?」
「まっ、まあまあ、まあまあまあまあ」
一体どういうつもりでサイラスが盛りに盛った預かり処の話を広めているのかは不明だが、このままでは横道に逸れたまま一向に話しが進まない、とラーハルトは軌道修正を図る。
「とっ、ところで、どうして従魔術師協会の方が冒険者ギルドに来られたんですかっ!?」
「あ、ああ。それは、冒険者ギルドに従魔が絡んだ不審人物の情報が寄せられたと聞いてね」
「え? もしかして、それって俺がアリオスさんに聞いて報告したやつですか?」
「ああ、そうだよ」
「でも……報告したのって、ついさっきですよ。首都の従魔術師協会の方が、こんな田舎の村まですぐに来られるんですか?」
訝しむラーハルトに、ガリアはああ、それはね、と答える。
「実は、ちょうどこちらの村に向かって、少し前にすでに出発していたんだ。偶然タイミングが合ったようだね」
「この村に? 首都の従魔かわざわざ来るような所じゃないと思いますけど……」
「いやいや、まさしく君達、預かり処さんに用があったんだ」
アリオスの怪我は本当に大事ないらしく、帰宅しても構わないとの診断が下された。
が、何故かアリオス含め、ツバキ達は冒険者ギルドの救護室からまた別の一室へと移動させられてきていた。
「……えーと」
まあ座ってと勧められソファに腰掛けたツバキ達の目の前には、冒険者ギルドのスタッフ。と、それとはまた別の制服を着ている人物。
「お疲れのところにすみません。私は首都の従魔術師協会から派遣されてきました、ガリアと申します」
「はあ、私はツバキです。こっちが弟子のラーハルトと、うちから従魔を譲渡したアリオスです」
「うち?」
「あ、私達はこの村の外れで訳ありの従魔の保護と、新しい主人へ縁を繋ぐ活動をしていて」
はてなを浮かべた従魔術師協会のスタッフ──ガリアは、ツバキの返答を聞いて「ああ」と頷く。
「貴女が、あの」
「え?」
「貴女方の預かり処の話は、首都の従魔術師協会でも話題になっていますよ」
「えっ、なんで」
「なんでも、あの5長老の1人であるサイラス様が手も足も出なかった不死鳥を指1本で服従させたとか、屈強なグレートウルフを尻に敷いているとか、はたまた恐ろしい精神攻撃を操る凶悪なドライアドを腕っぷしだけで抑えているとか」
「……は?」
ガリアの口から次々と出てくるあり得ない話に、ツバキもラーハルトもぽかんと口を開ける。
「な、なんの話!? いや、微妙に丸っきり嘘じゃないけど……」
「魔物の種類だけね!? ねっ!? ツバキ師匠!」
反論しつつも、一部内容を認めているようなツバキの言葉に、冒険者ギルドスタッフの「なんだコイツ。やべえ奴か?」という表情を読み取ったラーハルトがすかさずフォローに入る。
「サイラス……あのクソ糸目野郎……どういうつもりで、あることないこと吹聴してるわけ……!?」
「まっ、まあまあ、まあまあまあまあ」
一体どういうつもりでサイラスが盛りに盛った預かり処の話を広めているのかは不明だが、このままでは横道に逸れたまま一向に話しが進まない、とラーハルトは軌道修正を図る。
「とっ、ところで、どうして従魔術師協会の方が冒険者ギルドに来られたんですかっ!?」
「あ、ああ。それは、冒険者ギルドに従魔が絡んだ不審人物の情報が寄せられたと聞いてね」
「え? もしかして、それって俺がアリオスさんに聞いて報告したやつですか?」
「ああ、そうだよ」
「でも……報告したのって、ついさっきですよ。首都の従魔術師協会の方が、こんな田舎の村まですぐに来られるんですか?」
訝しむラーハルトに、ガリアはああ、それはね、と答える。
「実は、ちょうどこちらの村に向かって、少し前にすでに出発していたんだ。偶然タイミングが合ったようだね」
「この村に? 首都の従魔かわざわざ来るような所じゃないと思いますけど……」
「いやいや、まさしく君達、預かり処さんに用があったんだ」
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