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第10章 その赤い糸は、絡まりにご注意ください
11.5
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私はどうやら、美しいらしい。
何もせずとも、人間のオス達は何かを私に持ってくる。
欲しいものがその中にない時は、ちょっと見つめてみせればして欲しいように動く。
人間は、テイムだなんて言って私を自分のものにするが、そんなことはどうでも良かった。
どちらが主人かなんて、関係ない。
たとえ私が奴隷で、人間が主人でも、私がお願いすれば、主人は動く。
ある時から主人になった人間は、お金欲しさに私の肉を売ると言い出した。
キラキラとした宝石が山のように欲しい、と言ったが、どうやら私のその願いを叶えるためには、山のようなお金が必要だったらしい。
特別、宝石が欲しいわけではなく、ただなんとなく、山のようにと言ったらどれくらい持ってきてくれるのか気になっただけなのに。
どうしたものか、とエレーナは考える。
もちろん、自身の肉を売らせるつもりはない。
そろそろ別の主人を探す頃合いか、と思ったところで、きらきらした二つの目玉と視線がかち合った。
「……う、わ」
その目玉の持ち主は、私の姿を目にするやいなや、ノートを開いて一心不乱にペンを走らせている。
ああ、絵か。
そういえば、たまに私のことを絵に描いて残したがる主人もいたなと過去のことを思い出しつつ、けれど大人しくモデルになってやる義理はない。
エレーナはぱしゃん、と小さな水音を立てて水中の中へと潜った。
地上から、「ああああっ! そんな、待ってくれー!」という嘆きが追いかけてくる。
面倒だから、しばらく水中でじっくり考えごとをしていよう、とエレーナは水底で目を瞑る。
次にエレーナが水面に浮上したのは、随分と時間が経ってから。
真上にあった太陽が沈み、星が輝く時間だったが、そこにはまだあのきらきらお目目の人間がいた。
「あっ! やっと出てきた! ね、お願い! 自分に君の絵を描かせてくれないかいっ!?」
エレーナは目をぱちくりと瞬かせる。
そのへんてこりんな人間は、魅了なんてかけていないのに、それから毎日、毎日、エレーナのもとを訪れた。
じりじりと焼けるような暑い日も。
保温魔法を周囲にかけていないとプールも凍るような寒い日も。
きらきらとした目でじっとエレーナを見つめる。
きらきらとした目で、じっとエレーナは見つめられていた。
何もせずとも、人間のオス達は何かを私に持ってくる。
欲しいものがその中にない時は、ちょっと見つめてみせればして欲しいように動く。
人間は、テイムだなんて言って私を自分のものにするが、そんなことはどうでも良かった。
どちらが主人かなんて、関係ない。
たとえ私が奴隷で、人間が主人でも、私がお願いすれば、主人は動く。
ある時から主人になった人間は、お金欲しさに私の肉を売ると言い出した。
キラキラとした宝石が山のように欲しい、と言ったが、どうやら私のその願いを叶えるためには、山のようなお金が必要だったらしい。
特別、宝石が欲しいわけではなく、ただなんとなく、山のようにと言ったらどれくらい持ってきてくれるのか気になっただけなのに。
どうしたものか、とエレーナは考える。
もちろん、自身の肉を売らせるつもりはない。
そろそろ別の主人を探す頃合いか、と思ったところで、きらきらした二つの目玉と視線がかち合った。
「……う、わ」
その目玉の持ち主は、私の姿を目にするやいなや、ノートを開いて一心不乱にペンを走らせている。
ああ、絵か。
そういえば、たまに私のことを絵に描いて残したがる主人もいたなと過去のことを思い出しつつ、けれど大人しくモデルになってやる義理はない。
エレーナはぱしゃん、と小さな水音を立てて水中の中へと潜った。
地上から、「ああああっ! そんな、待ってくれー!」という嘆きが追いかけてくる。
面倒だから、しばらく水中でじっくり考えごとをしていよう、とエレーナは水底で目を瞑る。
次にエレーナが水面に浮上したのは、随分と時間が経ってから。
真上にあった太陽が沈み、星が輝く時間だったが、そこにはまだあのきらきらお目目の人間がいた。
「あっ! やっと出てきた! ね、お願い! 自分に君の絵を描かせてくれないかいっ!?」
エレーナは目をぱちくりと瞬かせる。
そのへんてこりんな人間は、魅了なんてかけていないのに、それから毎日、毎日、エレーナのもとを訪れた。
じりじりと焼けるような暑い日も。
保温魔法を周囲にかけていないとプールも凍るような寒い日も。
きらきらとした目でじっとエレーナを見つめる。
きらきらとした目で、じっとエレーナは見つめられていた。
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