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第10章 その赤い糸は、絡まりにご注意ください
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ワイワイ、ガヤガヤと、真っ昼間から騒がしくも陽気な声で満ちているのは、ルルビ村で1番大きい酒場。
そのカウンター席で、美味しいごはんと美味しいお酒を楽しんでいた硝子職人のゴドーが、そういえば、とカウンター内の女将へ話しかける。
「さっき預かり処さんの前を通ってきたんだけどよぉ、なんでも、今あそこには絶世の美女がいるらしいぜえ」
「へえ? そうなのかい?」
「ラーハルトと、知らねえ顔の兄ちゃんが、エレ……なんとかって女を巡って口論しとったわ」
「でも、あそこは従魔の保護施設だろう?」
「そうだっけか?」
「ゴドーさん、あんたねぇ……昼間っから、ちょっと飲み過ぎじゃないのかい? 何か聞き間違えたんだろう」
「うーん、やっぱモデーナとかって名前だったか……」
「もういいから、水飲みな」
だっはっは、と赤い顔で笑うゴドーに、女将はなみなみ水が入ったコップを渡すとため息を吐く。
女将が「まったく……」とボヤいていると、ふとゴドーの隣の席に誰かが座った。
「おや、いらっしゃい。何にする?」
「こんにちは。ビールをお願いします」
「はいよ」
すらりとした長身の身なりの良いその男は、女将が注文の準備にカウンター奥へ入るのを見送ると、隣でべろべろになりかけているゴドーへ話しかける。
「旦那。あなたが見聞きした絶世の美女について、他にも何か知っているかな?」
「あー? 誰だ、あんちゃん」
「いや、なに。ただの通りすがりさ。ただ、絶世の美女に興味があってね」
「分かるっ! 絶世の美女と聞いたら、黙っちゃいられねえよな!」
「エレなんとかって名前だって?」
「そうそう、えーっと……」
「それって、エレーナ、じゃないか?」
「んー? ……そうそう! 確かそう言ってたな!」
男はにや、と口角を釣り上げる。
「それで、それはどこで聞いたんだい?」
「だぁから、預かり処だよ。預かり処!」
「預かり処?」
「知らねえのか? 村はずれで、ツバキちゃんとラーハルトがやってる、従魔の保護施設だよ」
「なるほど……」
男はゴドーの肩をぽんぽん、と叩くと、ビールはお礼に受け取ってくれ、と言い残して酒場を出て行った。
そのカウンター席で、美味しいごはんと美味しいお酒を楽しんでいた硝子職人のゴドーが、そういえば、とカウンター内の女将へ話しかける。
「さっき預かり処さんの前を通ってきたんだけどよぉ、なんでも、今あそこには絶世の美女がいるらしいぜえ」
「へえ? そうなのかい?」
「ラーハルトと、知らねえ顔の兄ちゃんが、エレ……なんとかって女を巡って口論しとったわ」
「でも、あそこは従魔の保護施設だろう?」
「そうだっけか?」
「ゴドーさん、あんたねぇ……昼間っから、ちょっと飲み過ぎじゃないのかい? 何か聞き間違えたんだろう」
「うーん、やっぱモデーナとかって名前だったか……」
「もういいから、水飲みな」
だっはっは、と赤い顔で笑うゴドーに、女将はなみなみ水が入ったコップを渡すとため息を吐く。
女将が「まったく……」とボヤいていると、ふとゴドーの隣の席に誰かが座った。
「おや、いらっしゃい。何にする?」
「こんにちは。ビールをお願いします」
「はいよ」
すらりとした長身の身なりの良いその男は、女将が注文の準備にカウンター奥へ入るのを見送ると、隣でべろべろになりかけているゴドーへ話しかける。
「旦那。あなたが見聞きした絶世の美女について、他にも何か知っているかな?」
「あー? 誰だ、あんちゃん」
「いや、なに。ただの通りすがりさ。ただ、絶世の美女に興味があってね」
「分かるっ! 絶世の美女と聞いたら、黙っちゃいられねえよな!」
「エレなんとかって名前だって?」
「そうそう、えーっと……」
「それって、エレーナ、じゃないか?」
「んー? ……そうそう! 確かそう言ってたな!」
男はにや、と口角を釣り上げる。
「それで、それはどこで聞いたんだい?」
「だぁから、預かり処だよ。預かり処!」
「預かり処?」
「知らねえのか? 村はずれで、ツバキちゃんとラーハルトがやってる、従魔の保護施設だよ」
「なるほど……」
男はゴドーの肩をぽんぽん、と叩くと、ビールはお礼に受け取ってくれ、と言い残して酒場を出て行った。
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