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姫は一度起きたが、寝ぼけてたようだ。
若を侍従長と間違えている。
可愛らしいが監禁されたくなければ、黙ってこのまま寝てください!

若はボヤいていたが、布団を持ち上げ隣で寝ようとしている。

「若、何考えてるんですか!」

小声で止めたけど、何言ってるんだという顔をされた。

「ユリィが一緒に寝ようと誘ってきたんだぞ。」

貴方じゃなくて侍従長をですよ!
言いたいが言ったら姫の監禁まっしぐらだ。

仕方が無いので若が不埒な真似をしないように見張る。

此方を気にせず抱きしめて髪を撫でチュッチュしている。
魘されなくなったのはいいが、変態の餌食になっている。

「ユリィが起きたらすぐ出発するんだから仮眠をとったらどうだ。」

「ご心配なく。体力には自信がありますので。」

その隙に何をするかわからないんでね。
見張ってても気にせず抱きしめながら体を触りまくってるんですから。



姫が起きて記憶に再度蓋をしていたのには驚いた。
やはりスードに連れて行くのに不安が残る。
せめて侍従長が一緒ならば問題ないが·····

若の決意は当然変わる訳がなく、騎士団と内密に最後の打ち合わせをした。
できればアラミス側の襲撃があって欲しい。

姫の問題関係なくアラミスの力を削いでおかないとリグスタに未来はない。

アラミスが第二王女の王配になればハスターバルと王都の挟撃でリグスタは滅ぶ。

アラミスを王配から外すなら、襲撃を受けアラミス側の犯行にしないとならない。

若と姫が出てきて騎乗し、王城を出る。
王都を出て半日、やっと襲撃者と出会った。

こちらの三倍はいるが、若と姫さえ無事にスードに着けばいい。

だが姫はそう考えられないようだ。
剣をくれと言い出した。
何言ってるんです。剣なんて持ったことないでしょ。
貴女には常に間者が見張じゃなくて見守って何してたか全部知ってるんですよ。

「姫がせねばならぬのは、足手まといにならぬよう我等の指示に従う事だ。
そしてこの悔しさを覚えておかれよ。」

姫に傷が付いたら私が若に殺されるしね。
ちょっと発破もかけておこう。


これを後から後悔するとはこの時には思わなかった·····

近衛騎士団がすぐに駆けつけ軽傷者だけで済んだ。

騎士団のソマリ団長に襲撃者を任せたが去り際に姫を見ていた。
高嶺の花か。

それから5日の道のりで姫は頑張っていた。
頑張りすぎていた。
しかも何か考え込んでいる。

ちょっと待って下さい。
もしかして私が言ったの気にしてます?
嘘でしょ!今さら考えが変わったとか言わないでくださいよ!!


考えがもの凄く悪い方に変わっていた·····

姫の体調を気にして若が本邸に入る前に別邸に泊まると言った。
別邸前で解散したが姫は皆の目を気にしすぎていた。

スードの中には姫に対して好意的でないものもいる。
いつもならそれくらい分かりそうなものだが今の姫には大きく捉えてしまうのだろう。

嫌な予感がする·····

早朝、姫が散歩に出て行くのを若が追いかけた。
私や側近も隠れて後をおった。


姫がサクリファス聖国に行くと言い出した。
理由は役にたたないお荷物だから。

待ってください!
そこまで重く受け止めるなんて思ってなかったんです!!

「あちゃー、思いっきり地雷踏んじゃった。」
「姫って嬲られるのが好きなの?」
「自分から首輪を欲しがるとは変わった趣味だな。」

止めろ!理由を知られたら私が若に八つ裂きにされる!!

「なんか顔色悪くない?」
「悪くない!」
「今吐いた方が楽になるよ~」

ニヤニヤしながら言うな!

「あれ、なんかいい雰囲気になってるよ。」
「あ、キスしてる。」

良かったーー!!
命拾いできた!

「なんか長くない?」
「姫息できてんの?」
「されるがままだな」

若、ほどほどにしなさい。


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