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第一章
36、第二王女(1)
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お姉様は1年の半分は公務で城に居なかった。
いつも忙しそうにされていて、余りお顔を見ることはなかったけれど、会えばいつも優しく笑って相手をしてくれた。
わたくしは賢くて優しいお姉様が大好きで、会えばお茶に誘ったりわたくしの宮に招待していたの。
いつもお姉様は少し困った顔をされていたけれど断られたことはなかった。
お仕事の邪魔をしているとわかっていたけど、休憩されることなく公務をされていたから、少しでも休んで欲しくて誘っていた。
お姉様は5才の時から凛星宮(りんせいきゅう)に移り後継者教育を受けられて、16才で王太女となられた。
わたくしは産まれたときから王妃宮で過ごし、12才で慣例に従って王女宮に移った。
淑女教育は受けたけれどそれ以外は好きなことをして過ごしなさいと、お父様やお母様が言っていたので孤児院に視察に行って子供達と遊んであげたり、お姉様の代わりにお茶会や夜会に出て貴族の流行や噂話を聞きお姉様に報告していた。
お姉様は「いつもありがとう」と喜んでくれてわたくしはお姉様が出来ない部分を補おうと思った。
わたくしが15才の時にお姉様の婚約者のイルヴァン様がハスターバル王国から戻られ、お姉様と一緒にお会いしたわ。
イルヴァン様は空色の髪に萌葱色の眼をした美しい方で一目で恋に落ちてしまった。
でもお姉様の婚約者だったからこの想いは伝えるつもりはなかったの。
それにわたくしには何人かの婚約者候補がいて、10才の時に護衛騎士に選んだランセルドも候補の一人だった。
ランセルドは先代国王の弟が婿入りしたアイシュバール公爵家の三男で、有力候補だった。
いつの間にか侍従の真似までしてたけれど、気にしなかった。
婚約者のイルヴァン様が王城に来られてもお姉様は忙しくてほとんど会えないようで、王族専用の庭園を散策されていた。
わたくしは少しでもお会いしたくて、イルヴァンが王城に来られたら、庭園を散策し偶然を装って話しかけた。
それだけで幸せだった。
お姉様からイルヴァン様をとるつもりなんてなかったわ。
だけど会うたびにどんどん好きになり、押さえられなくなって、イルヴァン様が
「貴女が婚約者なら良かった」
と悲しそうに言われた時に我慢できなくなった。
「わたくしも愛しています」
泣きながら告白したら、強く抱き締めてくれてお姉様に申し訳なく思いながらも幸せだった。
何度も庭園で逢瀬を繰り返し、侍女も何も言わなかったから許された様な気になっていった。
お父様からイルヴァン様と呼び出されたのはそれからすぐだった。
いつも忙しそうにされていて、余りお顔を見ることはなかったけれど、会えばいつも優しく笑って相手をしてくれた。
わたくしは賢くて優しいお姉様が大好きで、会えばお茶に誘ったりわたくしの宮に招待していたの。
いつもお姉様は少し困った顔をされていたけれど断られたことはなかった。
お仕事の邪魔をしているとわかっていたけど、休憩されることなく公務をされていたから、少しでも休んで欲しくて誘っていた。
お姉様は5才の時から凛星宮(りんせいきゅう)に移り後継者教育を受けられて、16才で王太女となられた。
わたくしは産まれたときから王妃宮で過ごし、12才で慣例に従って王女宮に移った。
淑女教育は受けたけれどそれ以外は好きなことをして過ごしなさいと、お父様やお母様が言っていたので孤児院に視察に行って子供達と遊んであげたり、お姉様の代わりにお茶会や夜会に出て貴族の流行や噂話を聞きお姉様に報告していた。
お姉様は「いつもありがとう」と喜んでくれてわたくしはお姉様が出来ない部分を補おうと思った。
わたくしが15才の時にお姉様の婚約者のイルヴァン様がハスターバル王国から戻られ、お姉様と一緒にお会いしたわ。
イルヴァン様は空色の髪に萌葱色の眼をした美しい方で一目で恋に落ちてしまった。
でもお姉様の婚約者だったからこの想いは伝えるつもりはなかったの。
それにわたくしには何人かの婚約者候補がいて、10才の時に護衛騎士に選んだランセルドも候補の一人だった。
ランセルドは先代国王の弟が婿入りしたアイシュバール公爵家の三男で、有力候補だった。
いつの間にか侍従の真似までしてたけれど、気にしなかった。
婚約者のイルヴァン様が王城に来られてもお姉様は忙しくてほとんど会えないようで、王族専用の庭園を散策されていた。
わたくしは少しでもお会いしたくて、イルヴァンが王城に来られたら、庭園を散策し偶然を装って話しかけた。
それだけで幸せだった。
お姉様からイルヴァン様をとるつもりなんてなかったわ。
だけど会うたびにどんどん好きになり、押さえられなくなって、イルヴァン様が
「貴女が婚約者なら良かった」
と悲しそうに言われた時に我慢できなくなった。
「わたくしも愛しています」
泣きながら告白したら、強く抱き締めてくれてお姉様に申し訳なく思いながらも幸せだった。
何度も庭園で逢瀬を繰り返し、侍女も何も言わなかったから許された様な気になっていった。
お父様からイルヴァン様と呼び出されたのはそれからすぐだった。
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