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第一章
12、実家(王城)のほうが居心地が悪い
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ハルシュ地方の視察が思いの外長引き、王城に帰ってみれば政務が山積みになっていた。
ユーリアシェは一息つく間も無く政務を処理し仕事して食べて寝るだけ(平均睡眠3時間)の日々を送っていた。
ハルシュでの1ヶ月は証拠集めや、街道整備等の交渉や調整など忙しかったが、騎士団や文官達との仲は縮まり協力して事にあたり、本来なら2ヶ月以上かかるところを1ヶ月で片付けることが出来た。
時間が短縮出来た要因にイグルスの協力も大きい。
『いつか』の為にベーシュ子爵の悪事の証拠を集め虎視眈々と狙っていたのだ。
ユーリアシェは置物のように隅で控えている男を見て背筋が寒くなった。
ベージュ一族は横領等の罪で身分を剥奪領主のイリガー・ドゥ・ベーシュは処刑。
奥方は強制労働を科され子供達は孤児院で育てられることになった。
騎士団長だったエグル・ドゥ・ベーシュと文官長のデグス・ドゥ・ラニバは奴隷として奴隷商に売られた。
その他の者達も罪に見合った処罰が課せられた。
別れの日には騎士団や文官、領民が大勢集まり見送りに来てくれた。
イグルスなど目に涙をためて何度も感謝の言葉を告げてくれた。
* * * * * * * * * * *
前世はチェーン店のカフェ店員だったので定時退社で今よりもよっぽどホワイトだったなぁと、18歳でしみじみ思い出を振り返っている。
ユーリアシェになってから毎日仕事漬けで休日等なく、合間に親交を深める目的の婚約者とのお茶会。
なのに妹がいて婚約者は妹と親交を深めて、ユーリアシェは空気扱いだ。
そして周りの侍女や護衛騎士達はそんな2人を温かく見守っている。
(なんで私の貴重な時間を略奪女と浮気男につかわにゃならんのじゃ!!)
「お姉様、聞いておられます?」
頬を膨らませリーシェが腕を揺すってくる。
今は彼女の機嫌を損ねる訳にいかないので、嫌悪感を我慢して笑顔で対応する。
「ええ、聞いてるわ」
「お姉様がハルシュ地方に行かれて予定よりかなり遅くなっていたのでとても心配だったのです。」
瞳を潤わせながら姉を案じる妹。
(っていう自分に酔ってんだろうな~)
困ったような顔をしながら、ハンカチを渡すユーリアシェ。
心の声が聞こえたら周りが卒倒すること間違いなしの事を考えていても表には決して出さない。
中身の無いお茶会もやっと終わり、執務に戻ろうと廊下を一人で歩いていると、件の婚約者から不躾に声をかけられる。
「ユーリアシェ、忙しそうだね。」
内心舌打ちしながら振り返り笑顔で答える。
「そうですね。ハルシュ地方での視察が長引いたので政務が溜まっていますの。」
「ああ、ハルシュでは大活躍だったそうじゃないか。
婚約者としては誇りに思うが君を愛する者としては体が心配だよ。」
「・・・」
こちらを労るように微笑む婚約者を見て扇を広げ顔を隠す。
端からは照れているように見えるが、呆気にとられた顔を隠す為に扇を開いたのだ。
(こいつマジで言ってんの!?こっちが溜まった政務をしてる時に1度も伺いに来ず、リーシェとキャッキャウフフしといて?吃驚だわ!)
婚約者の面の皮の厚さにある意味感心していると妹の侍従兼護衛がユーリアシェにハンカチを返しに来たと告げる。
普通なら王族が話している最中に割って入るのは不敬だが、侍従兼護衛は全く気にもしていない。
これが王城のユーリアシェの扱いだったと、ハルシュでの生活が恋しくなった。
ユーリアシェは一息つく間も無く政務を処理し仕事して食べて寝るだけ(平均睡眠3時間)の日々を送っていた。
ハルシュでの1ヶ月は証拠集めや、街道整備等の交渉や調整など忙しかったが、騎士団や文官達との仲は縮まり協力して事にあたり、本来なら2ヶ月以上かかるところを1ヶ月で片付けることが出来た。
時間が短縮出来た要因にイグルスの協力も大きい。
『いつか』の為にベーシュ子爵の悪事の証拠を集め虎視眈々と狙っていたのだ。
ユーリアシェは置物のように隅で控えている男を見て背筋が寒くなった。
ベージュ一族は横領等の罪で身分を剥奪領主のイリガー・ドゥ・ベーシュは処刑。
奥方は強制労働を科され子供達は孤児院で育てられることになった。
騎士団長だったエグル・ドゥ・ベーシュと文官長のデグス・ドゥ・ラニバは奴隷として奴隷商に売られた。
その他の者達も罪に見合った処罰が課せられた。
別れの日には騎士団や文官、領民が大勢集まり見送りに来てくれた。
イグルスなど目に涙をためて何度も感謝の言葉を告げてくれた。
* * * * * * * * * * *
前世はチェーン店のカフェ店員だったので定時退社で今よりもよっぽどホワイトだったなぁと、18歳でしみじみ思い出を振り返っている。
ユーリアシェになってから毎日仕事漬けで休日等なく、合間に親交を深める目的の婚約者とのお茶会。
なのに妹がいて婚約者は妹と親交を深めて、ユーリアシェは空気扱いだ。
そして周りの侍女や護衛騎士達はそんな2人を温かく見守っている。
(なんで私の貴重な時間を略奪女と浮気男につかわにゃならんのじゃ!!)
「お姉様、聞いておられます?」
頬を膨らませリーシェが腕を揺すってくる。
今は彼女の機嫌を損ねる訳にいかないので、嫌悪感を我慢して笑顔で対応する。
「ええ、聞いてるわ」
「お姉様がハルシュ地方に行かれて予定よりかなり遅くなっていたのでとても心配だったのです。」
瞳を潤わせながら姉を案じる妹。
(っていう自分に酔ってんだろうな~)
困ったような顔をしながら、ハンカチを渡すユーリアシェ。
心の声が聞こえたら周りが卒倒すること間違いなしの事を考えていても表には決して出さない。
中身の無いお茶会もやっと終わり、執務に戻ろうと廊下を一人で歩いていると、件の婚約者から不躾に声をかけられる。
「ユーリアシェ、忙しそうだね。」
内心舌打ちしながら振り返り笑顔で答える。
「そうですね。ハルシュ地方での視察が長引いたので政務が溜まっていますの。」
「ああ、ハルシュでは大活躍だったそうじゃないか。
婚約者としては誇りに思うが君を愛する者としては体が心配だよ。」
「・・・」
こちらを労るように微笑む婚約者を見て扇を広げ顔を隠す。
端からは照れているように見えるが、呆気にとられた顔を隠す為に扇を開いたのだ。
(こいつマジで言ってんの!?こっちが溜まった政務をしてる時に1度も伺いに来ず、リーシェとキャッキャウフフしといて?吃驚だわ!)
婚約者の面の皮の厚さにある意味感心していると妹の侍従兼護衛がユーリアシェにハンカチを返しに来たと告げる。
普通なら王族が話している最中に割って入るのは不敬だが、侍従兼護衛は全く気にもしていない。
これが王城のユーリアシェの扱いだったと、ハルシュでの生活が恋しくなった。
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