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教え子の後始末(前)〜セルシュside〜
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陽射しの厳しい中、私ーセルシュ・ディ・ロッゼルは教会の大聖堂で祈りを捧げていた。
信仰心がある方では無いが、懇願に来ているのでそれなりに振る舞わなければならない。
本当なら昨日枢機卿に頼むつもりだったが、教え子のサウスリアナ様が枢機卿達に喧嘩を売ってしまったので、帰宅した後に首座主教様に手紙を出したのだ。
サウスリアナ様はよく言えば自分を持っている、悪く言えば頑固で状況判断が甘い。
記憶喪失なので淑女としてのマナーも忘れがちになるし、言葉遣いもかなり悪い。
·····いい所が無いな。
いや、努力家で飲み込みも早いし、情に流される単純、ではなく優しい部分もあるにはある。
なんにしろ見ていて飽きない令嬢だ。
始めは家庭教師などする気はなかったが、あのマセル公爵令嬢が記憶喪失になり、口外禁止でかなりの大金を積み依頼してきた。
自分の金で帝立学院に通わなければならなかったし、興味本位で引き受けた。
実際にあった時は美しいが平民の子のような所作で、何一つ知識がなかった。
左肩に重症の刺し傷があり、まだ完治していないので、ベッド上での授業となった。
普通貴族令嬢の私室に入るなど婚約者や親しい友人しか許されない。
ベッド上でやり取りするなど考えられないが、本人も邸の者もそんな事より知識や常識がない方が問題だと思っていた。
5才の子に教える様にしていたが一度で覚えるのでどんどん進めていった。
サウスリアナ様も危機感があったのか、肩の痛みを耐えて食らいついてきた。
そんな中、皇太子と馬鹿(キーク)が先触れもなくマセル家にやって来た。
帝国皇子が先触れを出さずに来るなど、普通は有り得ない。しかも刺した本人を連れて。
常識を犬にくれてやったのかと疑う行為だ。
私も同席し、サウスリアナ様には大人しくするよう釘を刺した。
皇太子と馬鹿は·····何しに来たのか分からなかった。
本来なら貴族牢に入っていなければならない馬鹿を、皇太子の側近で近衛騎士団長の嫡子だからと、自邸に謹慎という有り得ない処遇だった。
公爵は抗議し婚約の白紙も申し入れていたが、結論が出るまで全て保留になっていた。
サウスリアナ様の義兄も処刑を皇太子の口添えで平民に堕とすだけに留めたと聞いた。
マセル公爵は皇太子や皇室に対し不信感を持っていたが、内務大臣の職を辞す事はなかった。
皇室でなく帝国に仕えていると考えているからのようだ。
サウスリアナ様のマセル公爵の評価は、人に対しての感情が希薄だが本人は繊細で仕事しか出来ない、親に持つのは最悪だと言っていた。
まるで違う親の元で育ったような言い方だった。
持ち札の使い方も甘く無意識にか、相手の被害を最小限に抑えようとしている。
そして本人は無鉄砲だ。
目が離せない令嬢だ。
これ以上関わりあえば碌な事にならないと分かっているのに、つい手助けしてしまっている。
教会に来たのもサウスリアナ様の昨日の後始末もあるからだ。
祈りの姿勢でこれからどう話を持っていくか考えていると司祭に呼ばれる。
おそらく向こうも此方の出方を待っていたのだろうと少し憂鬱になり立ち上がった。
信仰心がある方では無いが、懇願に来ているのでそれなりに振る舞わなければならない。
本当なら昨日枢機卿に頼むつもりだったが、教え子のサウスリアナ様が枢機卿達に喧嘩を売ってしまったので、帰宅した後に首座主教様に手紙を出したのだ。
サウスリアナ様はよく言えば自分を持っている、悪く言えば頑固で状況判断が甘い。
記憶喪失なので淑女としてのマナーも忘れがちになるし、言葉遣いもかなり悪い。
·····いい所が無いな。
いや、努力家で飲み込みも早いし、情に流される単純、ではなく優しい部分もあるにはある。
なんにしろ見ていて飽きない令嬢だ。
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ベッド上でやり取りするなど考えられないが、本人も邸の者もそんな事より知識や常識がない方が問題だと思っていた。
5才の子に教える様にしていたが一度で覚えるのでどんどん進めていった。
サウスリアナ様も危機感があったのか、肩の痛みを耐えて食らいついてきた。
そんな中、皇太子と馬鹿(キーク)が先触れもなくマセル家にやって来た。
帝国皇子が先触れを出さずに来るなど、普通は有り得ない。しかも刺した本人を連れて。
常識を犬にくれてやったのかと疑う行為だ。
私も同席し、サウスリアナ様には大人しくするよう釘を刺した。
皇太子と馬鹿は·····何しに来たのか分からなかった。
本来なら貴族牢に入っていなければならない馬鹿を、皇太子の側近で近衛騎士団長の嫡子だからと、自邸に謹慎という有り得ない処遇だった。
公爵は抗議し婚約の白紙も申し入れていたが、結論が出るまで全て保留になっていた。
サウスリアナ様の義兄も処刑を皇太子の口添えで平民に堕とすだけに留めたと聞いた。
マセル公爵は皇太子や皇室に対し不信感を持っていたが、内務大臣の職を辞す事はなかった。
皇室でなく帝国に仕えていると考えているからのようだ。
サウスリアナ様のマセル公爵の評価は、人に対しての感情が希薄だが本人は繊細で仕事しか出来ない、親に持つのは最悪だと言っていた。
まるで違う親の元で育ったような言い方だった。
持ち札の使い方も甘く無意識にか、相手の被害を最小限に抑えようとしている。
そして本人は無鉄砲だ。
目が離せない令嬢だ。
これ以上関わりあえば碌な事にならないと分かっているのに、つい手助けしてしまっている。
教会に来たのもサウスリアナ様の昨日の後始末もあるからだ。
祈りの姿勢でこれからどう話を持っていくか考えていると司祭に呼ばれる。
おそらく向こうも此方の出方を待っていたのだろうと少し憂鬱になり立ち上がった。
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