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71話 レガロ伯爵夫妻
しおりを挟む2人で仲良く寝坊して、昼近くに黒騎士団の本部へつくとアスカルは、ふぅあぁぁ~… と大あくびをしながらグランデの腕につかまり、とぼとぼとアユダル専用の治療室へと向かう。
「眠そうだな…? 避妊の魔法を解くのは、延期しても良かったのに…」
グランデがすまなそうに、アスカルの歩幅に合せてゆっくりと歩く。
「“思い立ったら吉日” と言うでしょう? だから僕は、今日が良いのです!」
寝不足でしょぼしょぼする目を指先でこすり、顔を上げるとアスカルはにこりとグランデに微笑みかける。
「そうか…? オレもそろそろ、新婚気分から抜け出さないといけないな… これではいつかお前に、暴君と言われそうだ」
反省しながらグランデは苦笑いを浮かべた。
「いいえ、グランデ様! 僕は本当に、素敵な旦那様と結婚出来て、幸せ者です… と言うでしょうね!」
夜明け近くに帰宅したグランデと、5日ぶりの熱烈な情交を満喫したアスカルは、睡眠時間を犠牲にしただけの価値はじゅうぶんあったと… 幸せそうにグランデの腕をなでた。
イチャイチャと仲睦まじい姿で、治療室へ向かうレガロ伯爵夫妻とすれ違った黒騎士たちが…
上司である騎士団長のグランデに挨拶もせず、チッ…! と忌々し気に舌を鳴らし、無礼な態度で歩き去る。
ハッ… と息をのみアスカルは振り返り、淡い藤色の瞳をギラギラと光らせながら、無礼な騎士たちの後ろ姿をにらみつけた。
「グランデ様、あの躾の悪い無礼な騎士たちの、名前を教えて下さい!」
「あいつらの名前?」
グランデも振り返り、アスカルがにらみつける、黒騎士たちの背中を見た。
「はい!」
「エキボカル公爵に、公爵の従者ウモ… セルビシオ伯爵、デポシシオン子爵だ」
「・・・・・・」
<エキボカル公爵、公爵の従者ウモ、セルビシオ伯爵、デポシシオン子爵… 確か、エキボカル公爵は… この前もグランデ様の陰口をたたいていた卑怯者だ!>
ブツブツとつぶやきながら、アスカルは無礼な騎士たちの名前を記憶する。
黙ったまま激怒する、アスカルの細い腰を引きよせ、グランデは素早く額にチュッ… とキスを落として穏やかに微笑んだ。
「なぁアスカル… あんな奴らのことは、お前が気にする価値はないぞ?」
「ええ、グランデ様… 僕は気にはしません… ただですね…」
アスカルはグランデと向かい合い、分厚い胸に手を置き、ジッ… と見上げた。
「んん… なんだ?」
「奴らの名前を付けた呪い人形を作り、毎晩1本ずつ頭の毛を引っこ抜いてやろうかと思っているだけです… ついでに性器は丸出しにして、つぶれるまで毎日踏むつもりです!」
パカリッ… と口を開いて、グランデはしばらくの間、呆然とアスカルを見下ろした後…
「アスカル―――ッ!! お前は何て可愛い妻なんだぁ!!」
大きな身体をのけ反らして、グランデはゲラゲラと爆笑した。
部下たちの健康状態についてアユダルに用があり、治療室から出て来たグランデの腹心の部下たち、バハルとコスタ、エンチュフェは…
レガロ伯爵夫妻の会話を偶然聞き、首を捻る。
「奥方様の話を聞いて… 何が可愛いかったのか、オレには理解できなかったが? お前たちは、わかるか?」
「いや…」
「わからん」
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