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71話 手合わせ

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 普段は殺風景な印象のある第二騎士団の練兵場が、今日は王室主催の舞踏会並みに賑わっていた。


 オウロ公爵家の舞踏会に出席した客たちが、その夜見た公爵とヴェルメーリョ伯爵とのやり取りを社交界中に触れ回った結果だ。



「お祭り騒ぎになっていますね…」

 苦笑いをしながらフロルはディアマンテを見上げると、腕組みをしたまま渋い顔で頷く。

「社交シーズンも終わりだから、みんな暇なのだろうな… 領地に帰ればよいのに!」


「まぁ仕方ないよね、あんなに派手にやり合ったらみんな興味持って当然だよ」

 クリステルはのんびりと背伸びをする。

「お前… 王女殿下についてなくて良いのか?」

「だってお兄様、その王女殿下が行って来いというから」

 チラリとクリステルが見た視線の先には… 赤い絨毯が敷かれて、椅子を綺麗にならべた王族専用の観覧席まで用意してある。

「ラーゴ王子め!!」

 ラーゴ王子がにしてしまった張本人だ。
 
 

「でもまぁ、これで何人かの騎士が婿入りでも出来れば幸いではありませんか」

 未婚のオメガたちが瞳をキラキラさせて、騎士たちと話をしているのを横目で見るフロル。

「それもそうだな」
 
「ついでに第一、第三騎士団の騎士を数人呼んで交流試合をやるんでしょう? 私も出たかったなぁ~!」

 羨ましそうに愚痴を言いながらクリステルは、近くにいた第一騎士団の騎士たちをチラリと見る。

「なぜ、近衛騎士団は出ないのですか?」

 フロルが素朴な質問を投げかける。

「近衛騎士は少し特殊なんだ、護衛に特化した技術を持っているから、それは秘密にしておいた方が何かと都合が良いんだよ」

「ふううううぅ~んん」

 ディアマンテの説明を聞きながら、フロルはニヒャヒャと笑うクリステルを見る。

「それにしても、私とヴェルメーリョ伯爵の手合わせが一番最後というのが、納得できないな!」

 ディアマンテがブスッとする。

「一番、面白く無さそうだから最後にしたのではないの?」

 辛辣なクリステル。

「ラーゴ王子ならやりそうだ」

 



 フロルは慰めるようにディアマンテの逞しい腕をトントンとたたく。




  







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