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57話 副団長の仕事
しおりを挟む第二騎士団副団長の執務室で、どっさり積まれた面倒な書類仕事を、一件づつ丁寧に処理してゆくディアマンテ。
「こちらは王宮の監査へ届け… それと先日出した運営計画に関する意見書があるはずだから、それを受け取って、 …あと急がなくても良いが王立図書館で東部辺境のエルスノーズ地域の詳細な地図が無いか誰かに探させてくれ、遠征計画に必要なのだ」
「はい」
「午後から騎士団長の代理で市長に会わねばならない、同席し後でラーゴ王子に報告を頼む」
「騎士団本部でですか?」
「いや、市庁舎へ出向くつもりだ」
「分かりました」
騎士団長ラーゴ王子の補佐官に書類を渡し使いに出す。
いつものコトだが補佐官を使うのは、ほとんど副団長のディアマンテである。
補佐官と入れ替わりに、騎士団長のラーゴ王子が執務室へ入って来た。
「オイ、公爵! 暇だから調べてたら面白いコトが分かったぞ!!」
開口一番にコレである。
「…騎士団長殿、アナタが暇なのになぜ私のところに団長の仕事が大量に回って来るのですか?」
ものすごく渋い顔をするディアマンテ。
「ソレはお前が暇ではないかと気を利かしたのだ! 忙しいの好きだろう?」
「以前は、そうでしたが… 今は一瞬でも早く妻の元へ帰りたいのですが」
こんな軽口を言ってはいるが、有能なラーゴ王子は騎士団以外の仕事をいくつも抱えているから、ディアマンテはあまり強く言えないのだ。
その代わり大きな権限をディアマンテに与えてくれているから、困ったことはない。
「まぁまぁ! ヴェルメーリョ伯爵のコトだが、聞きたくないか?」
「聞きましょう!」
王子の言葉に顔色が変わるディアマンテ。
「現当主のドエンサは我々が入団する1年前まで、この第二騎士団に所属していたのだ」
「なんと…!」
流石に驚きを隠せないディアマンテに、ラーゴ王子はニヤニヤとイタズラっ子のように笑う。
「それも同僚への暴行で懲戒処分を受けての免職だ」
要するに素行不良でクビである。
「またずいぶん不名誉な…」
「確か記録ではドエンサとやらの、年齢は40前後だったから…」
ディアマンテはサッと立ち上がり扉に向かう、ラーゴ王子も後に続く。
「…オーヴォあたりが知っていそうだ!」
オーヴォとはドエンサと同年代で補給担当の頼れるベテラン騎士だ。
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