愛欲人形

8話

　現場近くの公園で、昼食用にコンビニで買ったサンドイッチを、建樹が食べていると…

「また、建樹はそんだけか？　ほら卵食え！」

　同僚のオジサンたちが弁当のフタにドンドンおかずを置いてくれる。

「若いんだからもっと食わないとな～」

　親切で面倒見のいい同僚たちに感謝し、お礼を言ってありがたく貰う。

「わぁ！　頂きます！！」


　建樹の胸ポケットでスマホが鳴り、画面を見ると政行からだった。


　同僚たちから少し離れた場所に移動し、政行と話す。

《まだ抱かれてないのか？　追い出されるぞ》

　
「橘さん…　親切だし、話せば相談に乗ってくれると思うよ？」

《ソレよりも何か…　オーナーの興味ひくようなコトは無いのか？》


　昨夜の人形遊びを思い出し、建樹の頬が赤らむ。

『ミカエルを抱いて見せろ…　お前を抱きたくなるかも知れないぞ』



「…人形、人形とさせられた…　プレイだって…」
＜気持ち良くて夢中でしちゃったけど…＞

《なんだって？！》

「セックスドール…　超リアルな高性能のヤツ…　抱けって…」

《人形？》

「スゴク綺麗なんだ！　一体、数百万ぐらいスルらしいけどソレが4体もあるし！！」


「建樹―――ッ！　早く食わないと時間が無くなるぞ！！」

　同僚に呼ばれ、スマホを顔から離し返事をする。

「はぁ～い！！」

　再びスマホを耳に当て…
「政行さんゴメン、今は時間無いから！」

《一度会いに行く、オーナーの留守中が良い…　あの人苦手なんだ！》

「え？」
《いつなら良い？》

「ええ～と…　明後日の午後は？　僕も休みだし、橘さん毎日昼から出掛けるから…」

《オーナーにオレが行くの秘密にしろよ？》



「分かった」