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71話 新婚夫婦の朝

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 3日目の初夜が明けた朝、デスチーノは珍しくアディと一緒に朝食をりながら相談を持ちかけた。

「早速だが明日の夜、オエスチ侯爵家の晩餐ばんさん会に招かれているが… 心の準備は出来ているか?」

「え? あああ~っ… すっかり忘れていました!」
<なんせ、3日間続いた"初夜"が、口に出せ無いほど激しくて… 結婚して以来僕は、デスチーノに抱かれているか、ベッドで眠っているかのどちらかだったから… 全然、余裕が無かったしなぁ…>

 思い出したとたん、ぽぽっ… と頬が赤くなり、熱を冷まそうとてのひらを頬に当てた。

「ふふふっ… まぁ、あまり緊張せずに、いつものようにアディは大らかにかまえていれば良いさ!」

「・・・・・・」
<どうしよう… 急に緊張して来たよ!>

 デスチーノにそう言われ… オエスチ侯爵家の晩餐会が、アディにとってはジェレンチ公爵夫人としての、社交界デビューの日だと気を引き締める。

 ティーカップのお茶を飲みほすと、デスチーノは席を立ちすばやくアディの唇にキスをした。


「今日は何をするのですか?」
 忙しいデスチーノと会えない分、アディはデスチーノがなぜ忙しいのかを知りたくて、仕事の予定をたずねるようにしたのだ。

「うん… 今日は王弟殿下に会いに行く予定だ」
 新妻が自分の仕事に興味を持ち、デスチーノはその日の予定をたずねられることを、密かに喜んでいた。

「王弟殿下ですか? なぜ?」

「近隣諸国との外交を受け持つ王弟殿下と、今日はようやく面会が出来るんだ」

「外交… コンプラ―ル男爵に誘拐された被害者たちのことで、会うのですね?」

「そうだ」

「王族に合わなければいけないなんて… 今日は肩がりそうな日になりそうですね?」
<うわあ~… 知ってはいたけど、デスチーノは本当にすごい人なんだなあぁ… また尊敬しちゃったよ!>

「今夜もまた、アディに解してもらうとしよう」
 指の背でアディの乳首を服の上からなでて、デスチーノは笑った。

「んんっ…?!」
 デスチーノに執拗しつように可愛がられ、わずかな刺激で簡単に感じてしまうようになった乳首を…
 つんっ… ととがらせ、アディはうめき声をもらした。

「行って来るよ!」
 オメガの一番の性感帯であるうなじに、チュッと音を立ててキスを落としキュッと甘噛みをしてから、デスチーノはアディから離れる。

「もう~っ! デスチーノ…たらっ! いけない人ですね?!」
<デスチーノがこんなにエッチな人だなんて、知らなかったよ! 別に嫌では無いけどさぁ…>


 赤い顔でドスケベ夫を、にらむ新妻。





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