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16話 デスチーノの事情 ※R18

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 暖かいデスチーノの唇と舌に攻められて、アディはまたもデスチーノよりも先に射精してしまった。


「だめっ!だめっ! デスチーノぉ…ああああっ―――っ…!!!」

「アディ…ッ!」

 ハァッ… ハァッ… ハァッ… ハァッ…
 熱い息を吐きながら、アディは真っ赤に染まった顔を両てのひらで隠した。

<あああ… どうしよう! また出ちゃったっ!! 今度こそ、デスチーノが先にイクまで、我慢すると誓ったのに!!>
 てのひらをずらして、デスチーノは落ち込むアディの額にキスを落とす。

 欲望でスミレ色の瞳を潤ませた、彫刻のようにハッキリとした造作のデスチーノの顔を見あげた。

「ごめんなさい… また僕は… ううっ…」
 弱々しくアディが謝ると…

「可愛かった… アディ! 私は気持ち良さそうな顔で、いかせるのが好きなんだ! だからそんなに情けない顔をするな、私はこの時間を満喫しているのだから」
 顔からアディの手を引きはががして、デスチーノはてのひらにキスを落とす。

「あ… デスチーノ… 僕はアナタが好きです、とても好きなのです!」
 気持が抑えられずに、アディはどうしても自分の思いを伝えずにはいられなくなった。

「アディ… 私は君の気持には答えられない」
 眉尻を下げて、デスチーノは困った顔をする。

「分かっています、デスチーノ… トルセールお義姉様に聞きましたから…  だから僕はあなたに愛を返して欲しいと、思っているわけではありません!」 

「トルセールが? 何をどう君は聞かされているのだ?」
 渋い顔をして、デスチーノは腕組みをした。

「あなたには病気で療養中の、愛する奥様がいると」

「そうだ… 心の病のせいで、幼い子供に戻ってしまい、夫の私の顔も覚えていない妻がいる」

「はい、あなたは優しい人だから、奥様があなたを忘れてしまっても… 今もずっと愛していると、お義姉様が話してくれましたから」

「・・・・・・」
 黙り込んでしまったデスチーノを慰めたくて、アディは身体を起して抱き締めた。

<初めて義姉様にデスチーノの奥様の話を聞いた時、あまりも可哀そうで僕は泣いてしまった… 奥様は僕と同じ男性のオメガで、身体が弱くどれだけ望んでも跡継ぎの子供ができず、心を病んでしまったのだと…>
 デスチーノの広い背中に腕を回して、アディは小さなてのひらで撫で続けた。

<優しいデスチーノは、相手が自分のことを忘れてしまっても、離婚して見捨てたりせず… いつか治る日を信じてずっと寄り添っていると>


 その話を義姉に聞き、アディは増々デスチーノが好きになってしまったのだ。







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