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10話 パダムの聖女 パダムside
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凶暴に暴れ回る村女の攻撃を掻い潜り、パダムが持ち出した水差しと洗面用の器をベッド脇のテーブルに置こうとするが…
「やれやれだ…」
3日前、パダムに八つ当たりをされ、テーブルは足が折れて窓際で引っくり返っていた。
仕方なく洗面用の器と水差しは床に置き、パダムの身の回りのモノを詰め込んだ、チェストから清潔な布を出す。
「いつもなら、私は疲れ果ててグッスリ眠っている時間なのだ… だから村女は私と会うとは思わなかったのだろう、ソレも自分が世話をする男がこのような禍々しい姿だとは露程も知らぬはずだ」
アイルに顔や髪が汚れていると教えられ、パダムは渋い顔でバサバサと白い粉を払い落とした。
「呪毒が夜に強まるから… 昨夜のように抵抗する為、昼間は眠って身体の力を貯えているのですね?」
「そうだ、日が暮れだす頃に目覚め、食事を摂っている」
白い粉を払いながら、自分の手を見てパダムは本当に感嘆を隠せなかった。
<瘴気が薄まっている… 身体から染み出す瘴気は日に日に濃くなり、昨日は自分の指さえ瘴気の分厚い膜に邪魔され、見えなくなっていたのに…>
「申し訳ありません、眠りの邪魔をしてしまって… スグに…」
「少し待て、アイル… 昨夜は君のおかげで眠れたから、今朝はすこぶる調子が良い」
アイルは慌てて肌着に腕を通し、服を頭から被ろうとするのをパダムが止め、椅子から抱き上げベッドの真ん中に寝かせる。
「パ… パダム様! ど… どうか夜までお待ちください! 子供が…っ!」
また抱くのか? と、パダムに抵抗を見せる、アイルの清らかな水色の瞳に、怯えの陰が差し…
怯えるアイルに、パダムの深紅の瞳が後悔で曇った。
<本当に純潔の乙女を相手に、私はとんでもないコトをしてしまった… 何の配慮も無く、欲望のままに、蹂躙したのだから、行為に怯えるのも当然だ>
呪毒に犯された身体だが、性の欲望で今も重い熱がパダムの腹の奥で燻っている…
<アイルはとても美しい… 容姿もだが、私を見つめる清らかな水色の瞳はいつも慈愛に満ちている>
王都にいて、着飾るコトにしか興味がない、貴婦人たちは、ほんの少しパダムが作法を外れた行いをしたダケで、下品だなんだと、クダラナイ話をキンキン声で捲し立てるのだ。
魔獣との戦いに一度も出たコトの無い、脆弱な貴族たちも同様だった。
怪我に苦しみ、呪毒で変貌したパダムを見て、叫び声を上げて気絶するような、ひ弱さもアイルにはない…
<若い騎士の中には、私に近寄るコトさえ出来ず、腰を抜かす奴までいたというのに>
パダムの顔に、一瞬意地悪な笑みを浮かぶ。
怪我をしてからずっと、何時、私が魔獣に変わるかとビクビク怯える者たちにずっと囲まれていたから、アイルのような存在はパダムに言わせれば、奇跡と言っても良い。
一番最悪の時に、最悪の姿を見ても怯まなかった、アイルが堪らなく欲しかった。
<このままアイルを本当の妻に出来れば良いのだが… 呪毒で変貌した私を、ただ一人受け入れた娘… 私を救った美しい聖女を>
パダムは水差しから洗面用の器に水を満たし、清潔な布を浸して水を軽く絞ると…
「勘違いするなアイル、私は君を清めたいのだ」
濡らした布を手にアイルの細い足を開くと、パダムは足の間に座った。
「パダム様!!?」
顔を真っ赤にして、サッと股間を隠すアリルに苦笑する。
「私たちは夫婦の契りを結んだのだろう?」
「は… はい…」
増々真っ赤になるアイルは可愛かった。
「ならば君を妻のように大切に扱う! そうするコトで絆が深まり… 治療に役立つと君は言わなかったか?」
「で… でも… パダム様…」
アイルの視線がうろうろと宙を泳ぎ出し…
「これは、初夜を迎えた夫の役目だ! 私に治癒や、浄化が使えれば良いのだが、出来ないから仕方ない… 今は耐えてくれ」
アイルの反応が可愛くて、パダムはニヤリと笑った。
「い… いえ… ソコまでパダム様…が… されなくても! 自分でしますから…」
恥ずかしさでアイルは足の先までピンクに染まってしまう。
「いや、ヤル! 何事もヤルからにはとことんヤルのが私の性分だ、ココは君にも付き合ってもらおう!」
「ううううっ…」
真赤な顔をアイルは細い手で隠す。
「さぁアイル…身体を清めよう!」
「やれやれだ…」
3日前、パダムに八つ当たりをされ、テーブルは足が折れて窓際で引っくり返っていた。
仕方なく洗面用の器と水差しは床に置き、パダムの身の回りのモノを詰め込んだ、チェストから清潔な布を出す。
「いつもなら、私は疲れ果ててグッスリ眠っている時間なのだ… だから村女は私と会うとは思わなかったのだろう、ソレも自分が世話をする男がこのような禍々しい姿だとは露程も知らぬはずだ」
アイルに顔や髪が汚れていると教えられ、パダムは渋い顔でバサバサと白い粉を払い落とした。
「呪毒が夜に強まるから… 昨夜のように抵抗する為、昼間は眠って身体の力を貯えているのですね?」
「そうだ、日が暮れだす頃に目覚め、食事を摂っている」
白い粉を払いながら、自分の手を見てパダムは本当に感嘆を隠せなかった。
<瘴気が薄まっている… 身体から染み出す瘴気は日に日に濃くなり、昨日は自分の指さえ瘴気の分厚い膜に邪魔され、見えなくなっていたのに…>
「申し訳ありません、眠りの邪魔をしてしまって… スグに…」
「少し待て、アイル… 昨夜は君のおかげで眠れたから、今朝はすこぶる調子が良い」
アイルは慌てて肌着に腕を通し、服を頭から被ろうとするのをパダムが止め、椅子から抱き上げベッドの真ん中に寝かせる。
「パ… パダム様! ど… どうか夜までお待ちください! 子供が…っ!」
また抱くのか? と、パダムに抵抗を見せる、アイルの清らかな水色の瞳に、怯えの陰が差し…
怯えるアイルに、パダムの深紅の瞳が後悔で曇った。
<本当に純潔の乙女を相手に、私はとんでもないコトをしてしまった… 何の配慮も無く、欲望のままに、蹂躙したのだから、行為に怯えるのも当然だ>
呪毒に犯された身体だが、性の欲望で今も重い熱がパダムの腹の奥で燻っている…
<アイルはとても美しい… 容姿もだが、私を見つめる清らかな水色の瞳はいつも慈愛に満ちている>
王都にいて、着飾るコトにしか興味がない、貴婦人たちは、ほんの少しパダムが作法を外れた行いをしたダケで、下品だなんだと、クダラナイ話をキンキン声で捲し立てるのだ。
魔獣との戦いに一度も出たコトの無い、脆弱な貴族たちも同様だった。
怪我に苦しみ、呪毒で変貌したパダムを見て、叫び声を上げて気絶するような、ひ弱さもアイルにはない…
<若い騎士の中には、私に近寄るコトさえ出来ず、腰を抜かす奴までいたというのに>
パダムの顔に、一瞬意地悪な笑みを浮かぶ。
怪我をしてからずっと、何時、私が魔獣に変わるかとビクビク怯える者たちにずっと囲まれていたから、アイルのような存在はパダムに言わせれば、奇跡と言っても良い。
一番最悪の時に、最悪の姿を見ても怯まなかった、アイルが堪らなく欲しかった。
<このままアイルを本当の妻に出来れば良いのだが… 呪毒で変貌した私を、ただ一人受け入れた娘… 私を救った美しい聖女を>
パダムは水差しから洗面用の器に水を満たし、清潔な布を浸して水を軽く絞ると…
「勘違いするなアイル、私は君を清めたいのだ」
濡らした布を手にアイルの細い足を開くと、パダムは足の間に座った。
「パダム様!!?」
顔を真っ赤にして、サッと股間を隠すアリルに苦笑する。
「私たちは夫婦の契りを結んだのだろう?」
「は… はい…」
増々真っ赤になるアイルは可愛かった。
「ならば君を妻のように大切に扱う! そうするコトで絆が深まり… 治療に役立つと君は言わなかったか?」
「で… でも… パダム様…」
アイルの視線がうろうろと宙を泳ぎ出し…
「これは、初夜を迎えた夫の役目だ! 私に治癒や、浄化が使えれば良いのだが、出来ないから仕方ない… 今は耐えてくれ」
アイルの反応が可愛くて、パダムはニヤリと笑った。
「い… いえ… ソコまでパダム様…が… されなくても! 自分でしますから…」
恥ずかしさでアイルは足の先までピンクに染まってしまう。
「いや、ヤル! 何事もヤルからにはとことんヤルのが私の性分だ、ココは君にも付き合ってもらおう!」
「ううううっ…」
真赤な顔をアイルは細い手で隠す。
「さぁアイル…身体を清めよう!」
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