英国紳士の溺愛

第３章 指輪編

６９話 完熟パックの副作用 前編 ※怒りのR18

　２時間ほどゼフィロスの夜会で情報取集をした後、２人はアーサーの部屋へと帰宅した。


　居間に入ると蘇芳は上着を脱ぎソファーの背に掛け、タイとボタンを外しながら夜会で知ったゴシップを話題にする。
　
　アーサーも上着を脱ぎ、蘇芳の話を聞きながら袖からサファイアのカフリンクスを器用に外し、テーブルの上にコロリと置く。


「Mr.クレベールはMr.シャイデマンを落とすことが出来たのですね？」

　蘇芳を落とす為に、アーサーをフランスまで呼びつけて罠にかけようとしたクレベールへの報復で…
　アーサーは強い酒を飲ませて、親友のシャイデマンを落せるか？　とクレベールを挑発し賭けをした。
　…その顛末である。

「ああ、だがその後２人は仲違いしたようだ‥　シャイデマンのクレベールへの恋煩いも、終わりを迎えたのだろう、コレで良かったのさ」

「本当に…"恋は盲目"　と言いますがMr.クレベールのドコが良いのか…　それにあの人、妻子持ちだと聞きました」

　クレベールのMr.オークリーへの態度がどうにも腹が立つ蘇芳。


「ゼフィロスの会員は社会的地位が高い者が多いから、表向きのパートナーも必要なのだよ」
「……」
　
　…アナタもいずれはそうするのですか？　と蘇芳の口から皮肉が飛び出しそうになるが…
　自分は表のパートナーになれないコトも十分理解しているから…　何とか言葉を飲み込んだ。

　蘇芳の落ち込みを感じ取り…
　アーサーは頬を撫でキスをすると、蘇芳のシャツのボタンを外しながら、きめ細かな肌を唇で撫で感触を楽しむ。

「こんな肌の持ち主がこの世にいるなんて…　今夜はひと際輝いて見える」

　上質なシルクのような肌の質感に、アーサーの口からため息が出る。


「ああ…　ソレは特製パ…」
「コレは何だ?!」
「え？」

　アーサーは乱暴に蘇芳のシャツを開き胸をさらす。


「コレは何だ、と聞いている！」

　ウットリとした雰囲気から一転し、イキナリ険悪なアーサーの態度に蘇芳は困惑した。


「誰に抱かれた?!」

「は？！」
　次のアーサーの言葉に蘇芳は、意味が分からずポカ～ンとする。

「蘇芳？！」

「アナタの言っている意味が分からない」
「誤魔化すな！　…コレはナンだ！！」

　さらされた胸の乳首をギュッと摘まむアーサー
「痛っ…！！」

　自分の乳首を見下ろして、蘇芳は初めてアーサーの言葉の意味に気付く。
「あっ…！」

「赤く腫れて…　まるで激しい情交の後にしか見えない…！　誰に抱かれた、蘇芳！！」

　熟したストロベリーのように、赤く腫れた乳首が、蘇芳自身にも淫らに見えた。

「ア、アナタと先週したきりです！」
「言い逃れは許さない…　服を全部脱いで身体を見せろ！！」

「・・・っ！！」
　怒りで頭に血が上り真っ赤になる蘇芳。

　対照的に、見る者を一瞬で凍らせそうな冷酷な瞳以外、表情を一切消すアーサー。


「信じられない！　ステファノに特製のパックをしてもらったばかりなのに…」
＜…ソレもあんなに恥ずかしい思いをして！　浮気を疑われるなんて！！＞

　表情は変わらないが、アーサーの右眉がピクンッと跳ね上がる。


「分かりました！！　ちゃんと見れば誤解だと分かります！」
＜…見たいなら見せてやる！＞
　恥じらいを忘れ、バサバサと乱暴に服を脱ぎ捨て、蘇芳は全裸になりアーサーを睨みつけた。


「………」
　アーサーはため息をつき、無言でソファに座る。

　全裸をさらしても、無言のアーサーに蘇芳の感情は沸点を超えた。


「信じられないなら…　触って下さい！」
＜…こんな屈辱的で悔しいコトがあるなんて！！！＞

　ソファの背もたれに手を突き身体を支え、座るアーサーに覆い被さり蘇芳は挑発する。

　舐めるようにアーサーは蘇芳の全身を眺めた。

　ゴツゴツした大きく分厚い手が、細い腰を掴みグイっと引き寄せるとゆっくり脇腹を撫で上げ、硬い指先で鎖骨をなぞり、掌で胸を覆う。

「はぁ…　んんんっ…　ふっ…　んんっ…」
＜ううっ…　もうっ！！　こんなに感じたくないのに、ステファノのパック効果あり過ぎだよ！！＞

　ステファノの完熟リーベンパックで敏感になった肌が、硬くカサついた、アーサーの掌で擦れ刺激を受けてカッ…　と身体が熱くなる。

「んっ…」
　特に夜会の時からずっと我慢していた、乳首のあたりはジクジクと疼き、ソコから熱が蘇芳の体中に回り…
　痛いほどギュッ…　と硬くなったペニスから、トロトロと淫密が溢れ太腿を濡らす。

　背もたれに突いた手を放し、蘇芳はソファにギシリッ…　と音を立ててヒザで乗りアーサーの広い肩を掴む。

　ヂュヂュ…　チュチュク…ッ…　チュチュッ…
　アーサーは目の前にさらされた、きめ細かな肌に夢中で吸い付いた。

「ああっ！　やぁっ…　アーサー！　ふうっ…　あああああ―――っ…！！！！」
　チュクチュク…ッ…チュチュ…　と浮気疑惑の発端になったストロベリーのように熟れた乳首にアーサーの唇が辿り着き、強く吸われ甘噛みされただけで蘇芳は叫び声をあげて、達してしまう。



　荒い息遣いで蘇芳はアーサーのヒザに腰を下ろし、潤んだ瞳で自分の精液で汚れた腹を見下ろす。

「ほら…　いつもより‥　いっぱい出た…よ？　ア‥　アナタの言う通り、辛くても我慢して‥　自慰をしなかったから…　コレでも信じられない？」

　アーサーが瞠目する。

　胸まで飛び散った白濁が重力に従いトロトロと、蘇芳の可愛いヘソを伝い、ポタポタとアーサーのスラックスを濡らした。


「……」
　無実を証明しようと頑張った、蘇芳の健気な姿にアーサーは困った顔をする。


「だから浮気は…」
「すまない…　可愛くてつい黙っていたが、君の無実はステファノのケアを受けたと聞いた時点で分かっていた」

「・・・っ？！！」

　蘇芳はパカリッ…　と口を開けてアーサーをマジマジと見る。



　怒りが引くと…
　今度は蘇芳を激しい羞恥心が襲った。

　全身真っ赤に染まり、感情が一気に破裂して、蘇芳の瞳から涙がボロボロと零れた。


「うわああああああああああああああ―――っ！！」


　泣き叫びながら蘇芳は、全裸で居間を逃げ出し寝室へ駆け込むと、バタンッ…　とドアを閉める。