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60話 義父不在2

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 アーヴィの言う通り、義父不在のままで楽しく晩餐をすませると…

「なぁヴィー、王都のオエスチ侯爵邸で暮さないか?」

「え?」

「小さな家を借りようと思っていたが、やっぱりあの邸を祖父が管理していた時の姿に戻したいんだ」
 
 義母は複雑そうに苦笑いをしている。

「お祖父様の?」

 アーヴィの祖父は小さな別邸で暮している。
 この邸に耐えられないからだそうだ。


「オレが侯爵位を継いだ時、父上が騎士団の宿舎を出て、侯爵邸で暮せとウルサイから一応見に行ったんだ…」

 とても、とても、渋い顔をするアーヴィ。

「侯爵邸を?」


「玄関ホールに奴らが居たんだ」

「誰が?」


「スフィンクス」


 言ってる意味が一瞬、理解できずヴィトーリアは口をパカリと開けた。

「ソ… ソレは… つまり?」

「我が国の探検家がエジプトで新しいファラオのミイラを見つけた時、王都でエジプトブームが起きた時期があっただろう?」

「もしかして、お義父様は流行に乗って…?」


「金色なんだ… 侯爵邸」



「あああああ・・・・・ とても眩しそうだね」

 ヴィトーリアは気の毒そうにアーヴィを見る。


「今はオレが当主だから、オレが住んでさえいれば、父も勝手に改修出来ないだろうから」

「でも、私…そういうのは自信が無いのだけど?」

 家の模様替えは妻の仕事だ。


「ソコで母上にヴィトーリアを手伝ってもらえないかと思ってだな…」

 アーヴィが義母を見ると…


「私は嬉しいけれど…」

 義母は息子の新妻ヴィトーリアを気遣うように見つめる。


「お義母様とアーヴィがソレで良いのなら私は構いませんよ?」

 大らかな嫁は、大きく頷く。





 ヴィトーリアが眠そうにアクビを我慢しているのに気付き、アーヴィは晩餐後の楽しいおしゃべりを終え、先代侯爵夫人にお休みの挨拶をすると、2人は客間へと戻る。


 眠そうに服を脱ぐヴィトーリアを手伝いながら、アーヴィはポツポツと内緒話をした。


「父上は町の若い愛人の家に泊まっているんだ」

「ええ?!」
 ヴィトーリアの目は一気に覚める。

「兄弟たちがこの邸を出てからずっと、母は毎日1人きりで食事を摂っているのだろう」

「そんな…っ!! こんな大きな邸で1人なんて…」

「だから母上を、王都に連れ帰りたいんだ」

「ソレが良いよ!」

 力強く頷くヴィトーリアをアーヴィは抱きしめる。



「お前は良い妻だ! オレも良い夫になるからな、愛人は絶対に作らないぞ!!」

 ワインを飲み過ぎて、酔い始めているアーヴィ。


「ハイハイ! 是非、そうして下さい旦那様! 愛人なんか作ったら、ちょん切って、ブッ殺すけどね」

 ギュウギュウ抱きしめる夫の、広い背中に手を回し、トントンと叩いて宥める妻。


 酔いながらもヴィトーリアの小さな尻を、ムニュムニュと揉むアーヴィ。




<ああ… 今夜も朝まで激しくなりそう! 私、早死にするかも?> 





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