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第三章 クラウディアの魔力
謁見。
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「今から此処へ現れるのは、魑魅魍魎の類だ。何を言われても動揺するな。魑魅魍魎の真意を読む練習だと思えばいい。」
凄いのが一杯来るって事ですね…
でも、私は人間観察だけは得意だよ。
表情筋や目線の動き、口角の上げ下げ、手で顔のどこを触るか。
人の心の動きを読むのは前世から得意だったよ。
一時期心理カウンセラーになろうかなと思ったりもしたんだから。
大学でも心理学の講義も取ってたし。
もっと深く学ぶぞって時にこの世界に転生してたから、学びたい欲求が消化不良だけど。
魑魅魍魎は相手したことないから分からないから心理学が通用するかなー。
魑魅魍魎って幼い頃から感情コントロールする事を英才教育されてるエリート達だもん。
まずは顔色を読む事から始めようかな。
クラウディアがそんな事を考えていると、最初の貴族の名が呼ばれて、入室を許可される。
皇帝であるシュヴァリエの横には、宰相のジオルド様が立ち、貴族に質問している。
ジオルド様は水色の髪に、アクアマリンの様な水色の瞳をしていて、一見女性的にも感じる麗しい見目をしているが、中身は腹黒ドSだという事が分かっている。
宰相職をしているだけあって、とてもとても腹黒く利の無い事には表情筋が死滅している。
シュヴァリエが不在中に何度か顔を合わせる機会があり、ジオルド様が微笑む時は、何か裏があるって事を学んだ。
貴族が話す内容は、領地の農作物がこの数年に渡り不作続き、今年は特に酷く領民が困っているらしい。
原因不明で土地が痩せて来ている。
土地が痩せた理由が分からないので、土魔法に長けた方に見て貰いアドバイスが欲しい。
他の貴族の領地でも似た様な事があるらしく、調査をしなければとの事だった。
(こういう話も書面ではなく直接報告に来たりするんだね。)
近々この貴族の領地と、他に数年不作だと見られる土地へも調査に行く事を決定した。
次から次へと貴族名があげられる。そして入退室を繰り返す。
主に領地に関する事や、新しく作ったその土地の特産品の献上だったりと、様々な話が聞けた。
いくつかある大きな商会の商人も何人か来た。
他国でも手広く商売をしている商人はいい情報屋でもあるらしく、自国に居ては知り得ない他国の詳細な情報を報告する商人達。
宰相の的確な質問は切れ味が鋭く、時折商人もタジタジになったりしている。
シュヴァリエもいくつか質問をし、頷いていた。
宰相がジャンルも問わず様々な質問をし、時に和ませて気を緩ませ、緩んだ所で冷たい声で脅して揺さぶる。
それに応える貴族や商人を、シュヴァリエがジッと観察しながら時折言葉を挟むって感じだ。
シュヴァリエも何だかんだとまだ幼い。
戦では圧倒的でも、交渉事に強いとは限らない。
宰相という先生の元、交渉したりされたりなどを実地で今学んでる最中なのかもしれない。
シュヴァリエは光沢のある珍しい布地を色違いで大量購入し、何点か宝石も購入していた。
「お前も何か欲しいものがあるなら言え。」と言われたけど、どうみたって物凄い金額であろう品々を前に、
庶民の金銭感覚の私は「いえ…また今度にします…お兄様」と断るだけで精一杯だ。
二十人程の貴族に会い話を訊いたりした所で、少し休憩が挟まれる。
いつもは四十人程こなしから休憩らしいのだが、今回は私の為に半分の人数で休憩を入れたみたいだ。
シュヴァリエの気遣いが嬉しい。
私の大好きな苺のスィーツをさりげなくお茶と一緒に出してくれるのも嬉しかった。
休憩を終えると、謁見が再開された。
30組ほどの謁見を終えた。
謁見に来た貴族や商人と会話をしていたのは、シュヴァリエと宰相であるジオルド様だったのにも関わらず、
ぐったりしてしまう情けない私…
ずっと薄い微笑みを浮かべ続けたせいか顔の表情筋が強張っている。
シュヴァリエなんて涼しい顔しているし…
いつもはもっと多い人数をこなすらしいから、皇族って大変なんだなって思った。
貴族は自分の領地運営だけど、皇族は国を運営しなきゃいけないんだもんね。
豊かで贅沢な暮らしの替わりに、国を正しく運営して行く義務と責任がある。
日本という国で平和ボケしてた私には、乙女ゲームの世界の癖して血生臭い事も普通にあるこの世界が時々怖い。
何かを忘れている気がするのよね…大事な事。
何だったっけと頭を悩ませていると、頭に手をポンと置かれた。
「疲れただろう。今日は頑張ったな。」
シュヴァリエに労われて、嬉しくなる。
「お兄様はいつもこの様な事を頑張っているのですね。勉強になります。お兄様もお疲れ様でした。」
「ああ。もう慣れた事だ。」
クラウディアの頭を撫で、そっと髪を梳きながらシュヴァリエは思い出したように告げる。
「――そういえば一週間後、隣国のソニエール王国から使節団が我が国へと来る。挨拶くらいはする事になるだろう。
緊張せずとも、今日の様な態度で微笑んでおくだけでいい。」
「はい、お兄様。」
ソニエール王国……乙女ゲームの舞台である王国から使節団が来る。
緊張しないでいるのは無理!
もしかしたら、年の近い王子が来たりとかするのだろうか――
もし逢えるとしたら、ゲームでは見る事のなかった攻略対象者の姿をじっくりと見るとしよう。
クラウディアは心の中でアレコレ想像してニンマリとした。
凄いのが一杯来るって事ですね…
でも、私は人間観察だけは得意だよ。
表情筋や目線の動き、口角の上げ下げ、手で顔のどこを触るか。
人の心の動きを読むのは前世から得意だったよ。
一時期心理カウンセラーになろうかなと思ったりもしたんだから。
大学でも心理学の講義も取ってたし。
もっと深く学ぶぞって時にこの世界に転生してたから、学びたい欲求が消化不良だけど。
魑魅魍魎は相手したことないから分からないから心理学が通用するかなー。
魑魅魍魎って幼い頃から感情コントロールする事を英才教育されてるエリート達だもん。
まずは顔色を読む事から始めようかな。
クラウディアがそんな事を考えていると、最初の貴族の名が呼ばれて、入室を許可される。
皇帝であるシュヴァリエの横には、宰相のジオルド様が立ち、貴族に質問している。
ジオルド様は水色の髪に、アクアマリンの様な水色の瞳をしていて、一見女性的にも感じる麗しい見目をしているが、中身は腹黒ドSだという事が分かっている。
宰相職をしているだけあって、とてもとても腹黒く利の無い事には表情筋が死滅している。
シュヴァリエが不在中に何度か顔を合わせる機会があり、ジオルド様が微笑む時は、何か裏があるって事を学んだ。
貴族が話す内容は、領地の農作物がこの数年に渡り不作続き、今年は特に酷く領民が困っているらしい。
原因不明で土地が痩せて来ている。
土地が痩せた理由が分からないので、土魔法に長けた方に見て貰いアドバイスが欲しい。
他の貴族の領地でも似た様な事があるらしく、調査をしなければとの事だった。
(こういう話も書面ではなく直接報告に来たりするんだね。)
近々この貴族の領地と、他に数年不作だと見られる土地へも調査に行く事を決定した。
次から次へと貴族名があげられる。そして入退室を繰り返す。
主に領地に関する事や、新しく作ったその土地の特産品の献上だったりと、様々な話が聞けた。
いくつかある大きな商会の商人も何人か来た。
他国でも手広く商売をしている商人はいい情報屋でもあるらしく、自国に居ては知り得ない他国の詳細な情報を報告する商人達。
宰相の的確な質問は切れ味が鋭く、時折商人もタジタジになったりしている。
シュヴァリエもいくつか質問をし、頷いていた。
宰相がジャンルも問わず様々な質問をし、時に和ませて気を緩ませ、緩んだ所で冷たい声で脅して揺さぶる。
それに応える貴族や商人を、シュヴァリエがジッと観察しながら時折言葉を挟むって感じだ。
シュヴァリエも何だかんだとまだ幼い。
戦では圧倒的でも、交渉事に強いとは限らない。
宰相という先生の元、交渉したりされたりなどを実地で今学んでる最中なのかもしれない。
シュヴァリエは光沢のある珍しい布地を色違いで大量購入し、何点か宝石も購入していた。
「お前も何か欲しいものがあるなら言え。」と言われたけど、どうみたって物凄い金額であろう品々を前に、
庶民の金銭感覚の私は「いえ…また今度にします…お兄様」と断るだけで精一杯だ。
二十人程の貴族に会い話を訊いたりした所で、少し休憩が挟まれる。
いつもは四十人程こなしから休憩らしいのだが、今回は私の為に半分の人数で休憩を入れたみたいだ。
シュヴァリエの気遣いが嬉しい。
私の大好きな苺のスィーツをさりげなくお茶と一緒に出してくれるのも嬉しかった。
休憩を終えると、謁見が再開された。
30組ほどの謁見を終えた。
謁見に来た貴族や商人と会話をしていたのは、シュヴァリエと宰相であるジオルド様だったのにも関わらず、
ぐったりしてしまう情けない私…
ずっと薄い微笑みを浮かべ続けたせいか顔の表情筋が強張っている。
シュヴァリエなんて涼しい顔しているし…
いつもはもっと多い人数をこなすらしいから、皇族って大変なんだなって思った。
貴族は自分の領地運営だけど、皇族は国を運営しなきゃいけないんだもんね。
豊かで贅沢な暮らしの替わりに、国を正しく運営して行く義務と責任がある。
日本という国で平和ボケしてた私には、乙女ゲームの世界の癖して血生臭い事も普通にあるこの世界が時々怖い。
何かを忘れている気がするのよね…大事な事。
何だったっけと頭を悩ませていると、頭に手をポンと置かれた。
「疲れただろう。今日は頑張ったな。」
シュヴァリエに労われて、嬉しくなる。
「お兄様はいつもこの様な事を頑張っているのですね。勉強になります。お兄様もお疲れ様でした。」
「ああ。もう慣れた事だ。」
クラウディアの頭を撫で、そっと髪を梳きながらシュヴァリエは思い出したように告げる。
「――そういえば一週間後、隣国のソニエール王国から使節団が我が国へと来る。挨拶くらいはする事になるだろう。
緊張せずとも、今日の様な態度で微笑んでおくだけでいい。」
「はい、お兄様。」
ソニエール王国……乙女ゲームの舞台である王国から使節団が来る。
緊張しないでいるのは無理!
もしかしたら、年の近い王子が来たりとかするのだろうか――
もし逢えるとしたら、ゲームでは見る事のなかった攻略対象者の姿をじっくりと見るとしよう。
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