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第二章 皇帝はシスターコンプレックス。
閑話 護衛騎士達との顔合わせ。
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未だ何の仕事も回されて来ないので、初めて執務室で過ごすクラウディア。
そこに用意されてある優美な曲線を描く女の子らしい執務机と椅子を眺める。
つつーっと指で曲線を撫でて、クラウディアは自分専用の椅子に座った。
「この家具って元々月の宮専用家具?何だか綺麗で可愛い。」
「いえ、こちらは――――シュヴァリエ様が選ばれました。」
「……そう。お兄様忙しいのにマメですよね…嬉しいけど複雑。」
シュヴァリエは自分がして欲しかった事を私にしてたりするのかもと、ふと思った。
私が食べる食事の管理や、こうやって机や椅子など私が好きそうなのを選んで用意してくれたりとか。
自分が得られなかった気遣いや愛情を私に与える事で、過去の自分を慰めてたりとかするのかな。
慰められてくれてるといいな。
――――あ、そういえばシュヴァリエの誕生日、明日だわ。
今年は血生臭い事があったから、何もしないと言ってたけど…
プレゼントくらいならしたいと思った。
高価なモノじゃなくて、心が籠もってると分かって胸がポカポカする様なモノがいいな。
そうなると、手作りとかかなー。
皇子に手作りとか微妙だけど、家族愛に飢えたシュヴァリエなら喜ぶだろう。
…たぶん。
ハンカチに刺繍とか一般的なんじゃないかなとは思ったけど、アンナがダメっていうだろうし。
でもすぐ出来て心が籠もってる様に感じる代物って、ハンドメイドだよね?
やっぱり刺繍が手っ取り早い。…大掛かりじゃなくていいから、名前の頭文字だけとか…させてくれないかな。
後でお願いしてみよう。ズルイけど最終手段は泣き落とし付きで…
よし、そうと分かればサクサクと顔合わせを終わらせて、
シュヴァリエに刺繍した物を渡すのだから、素材は上質な布にしたい。
アンナから許可貰えたらすぐ持ってきて貰おう。
執務机は素敵だけど、私には仕事がないので机の上には何も置かれていない。
―――暇よね…本当に…。
「アンナ、後でお話したいことがあるのだけど、いい?」
「承知しましたわ。姫様。」
アンナが頭に???を浮かべてたまま頷く。
――――コンコン。
その時、ノックが鳴り、扉前に居たアンナが問いかけた。
護衛騎士の方達だったらしく、アンナが扉を開いた。
ノックが鳴ったという事は、シュヴァリエではないね。と思いながら、扉が開くのを見ていた。
凛々しい美丈夫といった感じのカルヴィンさんが扉前に立っている。
そのままカルヴィンさんが一礼をして一番先に入室し、その後に他の騎士達が一礼しながらぞろぞろと続く。
皆礼儀正しく「失礼致します」と一声発しながら入って来た。
入る騎士の全身を確認して、ゴリマッチョは居ないな…と思う。
近衛騎士団にゴリマッチョは確認出来てなかったけど、なんとなく。
筋肉だるまみたいなゴリマッチョは、チビの5才児より、シュヴァリエが似合う。
皇帝になるシュヴァリエを護衛するのが、躍動する筋肉の使い道がありそうだ。
何となくシュヴァリエの方がいっぱい命狙われそうなイメージだから、戦闘も多そうだもの。
最強シュヴァリエに護衛が居るかどうかはわからないけどね。
「近衛騎士団副団長カルヴィン・エックハルトと申します。
本日は姫様付きの護衛を私を含め10名紹介に上がりました。
今からそれぞれの名を告げ、騎士の誓いを立てたいと存じますが、宜しいですか?」
カルヴィンさんも私付きの護衛になったんだね。
副団長という素晴らしい肩書を持ってる上に、忙しいよね?普通に。
護衛とか付いて業務滞らないの?それに、そんな凄い人の護衛って私でいのだろうか…
カルヴィンさんは細マッチョで素敵ワイルドイケメンだけども。
ちょっと恐縮してしまいながら、是と頷いた。
アンナが「姫様こちらへ。」と護衛騎士の方達がズラリと並ぶところへ連れて行かれる。
チビの私には皆巨人の様です……
首を精一杯後ろへ倒しながら、背の高い騎士達を見上げる。
それからカルヴィンさんを見た。
私の視線を受け止めたカルヴィンさんは頷き、
「有難うございます。では――――左から、姫様に名を告げよ。」
カルヴィンさんの良く通る声で促され、一番左の人がハッ!と返事をする。
(あれ…?この人、セクシー腹筋チラ見せイケメンの人じゃないの!?)
バッとアンナを見ると、アンナがいい笑顔で頷いた。
「この度、近衛騎士団から配属されました“エリアス・ラシュレー”と申します。
姫様の護衛の任につかせて戴く事になりました。
姫様とヴァイデンライヒ帝国に忠誠を誓います。」
そう言うとエリアスさんが跪き、帯剣していた剣を引き抜いて両手で私に渡す。
――――えーっとこうだっけ…
剣に指先でちょんと触れ、エリアスさんの肩に触れる。
そしてエリアスさんの額に…キスを…あわわわわ、無理無理!羞恥に悶えた。
あ、そもそも届かないや、背伸びしても。
それに気付いたエリアスさんが頭を低くする。
――――やっぱりしなきゃダメですよねー…悶絶死しそう。
忠誠に祝福のキスだなんて誰が考えたんだ。
ただの羞恥プレイではないですか…
ギクシャクとしながら背を伸ばし、激しく鳴る胸を片手でギュッと抑える。
それでも勝手に赤くなる頬を感じながら、全身をプルプル震えさせて、エリアスの額にそっと触れるだけのキスをする。
火傷でもした様に飛び跳ね、ズサササッと後ずさり距離を取ったクラウディア。
エリアスは可愛い小動物を愛でる様に目を細め微笑む。
――――これ、後何人にするのおおおおぉぉぅぅ
胸中で絶叫しながら、イケメンは触れるでは無く見つめるだけが一番だと痛感した。
バーミリオンレッドの髪色のオーガスト・イエーリス。
パワータイプの様で引き締まった身体でスピードはあるが、体格差のある相手にも押し負けてなかった。
チャコールグレイのサラサラした髪に冷たい切れ長の目が印象的なカーティス・マイヤー。
俊敏性に長けて手数で勝負するタイプ。
三人娘のバーバラがやけに食いついていた騎士だ。
プルシャンブルーの髪色の騎士、アロイス・フィヨン。
エリアスに勝負で負けた相手だったはず。
真面目で型通りの戦い方の為、変則的なタイプには弱い。
しかし、職務には忠実で忠誠心も高いのでそこが見込まれた。
ミントグリーンの髪色の、カミル・セリュリエ、中性的な美少年タイプ。
この中で一番年若い。真っ直ぐな髪を肩で切り揃えている。
クラウディアが幼いので若い少年が選ばれたと思われがちだが、
剣も魔法も上手く使いこなす万能型で、伸びしろがある事を見込まれた。
ターコイズグリーンの髪色のクライド・イステル。穏やかな印象を与える見た目とは真逆の鬼畜タイプ。
徹底的に叩く事をモットーとしている。
サフランイエローの髪をポニーテールにしている明るい印象を与える騎士、イェルク・ガリマール。
爽やかで好青年な美形イケメンに見えるのは見た目だけ。
敵認定すると容赦の無さは冷酷非道で、時々やり過ぎない様に注意を受ける。
クライドとイェルクは共に、暗部にも所属しており、いつもは私の影として護衛をするようだ。
今回は、顔見せの為に現れただけで、通常は接触は緊急時以外はしないとのこと。
イェルクは終始人懐っこい笑顔だったので、暗部に所属してると聞いた時はびっくりした。
暗部って影は勿論だけど、暗い部分を担う組織だよね?暗殺業とか破壊工作みたいな…
光が強ければそれだけ闇も強い的な奴?イェルクは怒らせない様にしよう。
カーマインレッドの燃える様な赤い髪色を持つ、ランベルト・コルトー。
10組目の大トリを務めた騎士の1人で、実力は近衛騎士団の中でも折り紙付き。
通常時によく同伴させるのはこのランベルトと、もう1人の10組目の騎士になる。
エメラルドグリーンの髪色を持つ、ウルリヒ・クラルティ。10組目の大トリの1人。
剣を交えて戦うというより、参謀タイプ。
計算しつくした戦い方で相手を翻弄させるのが得意。
いざっていう時に、次にピンチを打開出来るかを瞬時に判断し的確なアドバイスが出来る。
困った時のウルリヒといった風である。
「――――以上9名。そして最後に、近衛騎士団副団長カルヴィン・エックハルトと申します。
姫様付き護衛騎士として選ばれた事、大変光栄に思っています。
私は副団長も兼任している為、常にお側に居られる事は少ないですが、騎士10名で全力で守ります。
姫様と、ヴァイデンライヒ帝国に忠誠を誓います。」
カルヴィンさんのクロムイエローの髪がキラキラしていた。
捧げられた剣に触れ、カルヴィンさんの額にそっとキスをする。
精神に作用された身体はぐったりなのに、思考は冴え渡っている。
「皆さんの忠誠に有り難くお受けします。その忠誠に恥じぬ皇女となる様努めます。これから宜しくお願いします。」
アンナに仕込まれた台詞を5才児のお澄まし顔で述べた。
――――アンナに事前に注意を受けていた。
「時々仰られる、お巫山戯はダメですよ。姫様が幼いので略式になった忠誠の儀とはいえ、とても大事な場ですからね。」
「騎士の忠誠とは、貴方に命を預けますと同義なのです。姫様の御身の為に、身命を賭して守り戦いますと誓う儀なのですから。」
怖いくらい目が真剣だったアンナ…
――――あれは巫山戯てたのではなく、5才児としてあるべき姿と思ってたんだけどな…
実際、クラウディアは私の記憶が戻るまでは、あんな話し方だったよね…?
そして、覚えたての拙いカーテシーを騎士達に披露し、締めくくった。
もうイケメンお腹いっぱいのクラウディアである。
しっかりと終えた私を見て、アンナが聖母の微笑みで喜んでくれたのでホッとした。
頑張ったご褒美?に、シュヴァリエの誕生日プレゼントの刺繍の件はオッケーが出た。
嬉しい!
素敵な布地をアンナが用意してくれるとの事、頑張ってチクチクするぞー!
そこに用意されてある優美な曲線を描く女の子らしい執務机と椅子を眺める。
つつーっと指で曲線を撫でて、クラウディアは自分専用の椅子に座った。
「この家具って元々月の宮専用家具?何だか綺麗で可愛い。」
「いえ、こちらは――――シュヴァリエ様が選ばれました。」
「……そう。お兄様忙しいのにマメですよね…嬉しいけど複雑。」
シュヴァリエは自分がして欲しかった事を私にしてたりするのかもと、ふと思った。
私が食べる食事の管理や、こうやって机や椅子など私が好きそうなのを選んで用意してくれたりとか。
自分が得られなかった気遣いや愛情を私に与える事で、過去の自分を慰めてたりとかするのかな。
慰められてくれてるといいな。
――――あ、そういえばシュヴァリエの誕生日、明日だわ。
今年は血生臭い事があったから、何もしないと言ってたけど…
プレゼントくらいならしたいと思った。
高価なモノじゃなくて、心が籠もってると分かって胸がポカポカする様なモノがいいな。
そうなると、手作りとかかなー。
皇子に手作りとか微妙だけど、家族愛に飢えたシュヴァリエなら喜ぶだろう。
…たぶん。
ハンカチに刺繍とか一般的なんじゃないかなとは思ったけど、アンナがダメっていうだろうし。
でもすぐ出来て心が籠もってる様に感じる代物って、ハンドメイドだよね?
やっぱり刺繍が手っ取り早い。…大掛かりじゃなくていいから、名前の頭文字だけとか…させてくれないかな。
後でお願いしてみよう。ズルイけど最終手段は泣き落とし付きで…
よし、そうと分かればサクサクと顔合わせを終わらせて、
シュヴァリエに刺繍した物を渡すのだから、素材は上質な布にしたい。
アンナから許可貰えたらすぐ持ってきて貰おう。
執務机は素敵だけど、私には仕事がないので机の上には何も置かれていない。
―――暇よね…本当に…。
「アンナ、後でお話したいことがあるのだけど、いい?」
「承知しましたわ。姫様。」
アンナが頭に???を浮かべてたまま頷く。
――――コンコン。
その時、ノックが鳴り、扉前に居たアンナが問いかけた。
護衛騎士の方達だったらしく、アンナが扉を開いた。
ノックが鳴ったという事は、シュヴァリエではないね。と思いながら、扉が開くのを見ていた。
凛々しい美丈夫といった感じのカルヴィンさんが扉前に立っている。
そのままカルヴィンさんが一礼をして一番先に入室し、その後に他の騎士達が一礼しながらぞろぞろと続く。
皆礼儀正しく「失礼致します」と一声発しながら入って来た。
入る騎士の全身を確認して、ゴリマッチョは居ないな…と思う。
近衛騎士団にゴリマッチョは確認出来てなかったけど、なんとなく。
筋肉だるまみたいなゴリマッチョは、チビの5才児より、シュヴァリエが似合う。
皇帝になるシュヴァリエを護衛するのが、躍動する筋肉の使い道がありそうだ。
何となくシュヴァリエの方がいっぱい命狙われそうなイメージだから、戦闘も多そうだもの。
最強シュヴァリエに護衛が居るかどうかはわからないけどね。
「近衛騎士団副団長カルヴィン・エックハルトと申します。
本日は姫様付きの護衛を私を含め10名紹介に上がりました。
今からそれぞれの名を告げ、騎士の誓いを立てたいと存じますが、宜しいですか?」
カルヴィンさんも私付きの護衛になったんだね。
副団長という素晴らしい肩書を持ってる上に、忙しいよね?普通に。
護衛とか付いて業務滞らないの?それに、そんな凄い人の護衛って私でいのだろうか…
カルヴィンさんは細マッチョで素敵ワイルドイケメンだけども。
ちょっと恐縮してしまいながら、是と頷いた。
アンナが「姫様こちらへ。」と護衛騎士の方達がズラリと並ぶところへ連れて行かれる。
チビの私には皆巨人の様です……
首を精一杯後ろへ倒しながら、背の高い騎士達を見上げる。
それからカルヴィンさんを見た。
私の視線を受け止めたカルヴィンさんは頷き、
「有難うございます。では――――左から、姫様に名を告げよ。」
カルヴィンさんの良く通る声で促され、一番左の人がハッ!と返事をする。
(あれ…?この人、セクシー腹筋チラ見せイケメンの人じゃないの!?)
バッとアンナを見ると、アンナがいい笑顔で頷いた。
「この度、近衛騎士団から配属されました“エリアス・ラシュレー”と申します。
姫様の護衛の任につかせて戴く事になりました。
姫様とヴァイデンライヒ帝国に忠誠を誓います。」
そう言うとエリアスさんが跪き、帯剣していた剣を引き抜いて両手で私に渡す。
――――えーっとこうだっけ…
剣に指先でちょんと触れ、エリアスさんの肩に触れる。
そしてエリアスさんの額に…キスを…あわわわわ、無理無理!羞恥に悶えた。
あ、そもそも届かないや、背伸びしても。
それに気付いたエリアスさんが頭を低くする。
――――やっぱりしなきゃダメですよねー…悶絶死しそう。
忠誠に祝福のキスだなんて誰が考えたんだ。
ただの羞恥プレイではないですか…
ギクシャクとしながら背を伸ばし、激しく鳴る胸を片手でギュッと抑える。
それでも勝手に赤くなる頬を感じながら、全身をプルプル震えさせて、エリアスの額にそっと触れるだけのキスをする。
火傷でもした様に飛び跳ね、ズサササッと後ずさり距離を取ったクラウディア。
エリアスは可愛い小動物を愛でる様に目を細め微笑む。
――――これ、後何人にするのおおおおぉぉぅぅ
胸中で絶叫しながら、イケメンは触れるでは無く見つめるだけが一番だと痛感した。
バーミリオンレッドの髪色のオーガスト・イエーリス。
パワータイプの様で引き締まった身体でスピードはあるが、体格差のある相手にも押し負けてなかった。
チャコールグレイのサラサラした髪に冷たい切れ長の目が印象的なカーティス・マイヤー。
俊敏性に長けて手数で勝負するタイプ。
三人娘のバーバラがやけに食いついていた騎士だ。
プルシャンブルーの髪色の騎士、アロイス・フィヨン。
エリアスに勝負で負けた相手だったはず。
真面目で型通りの戦い方の為、変則的なタイプには弱い。
しかし、職務には忠実で忠誠心も高いのでそこが見込まれた。
ミントグリーンの髪色の、カミル・セリュリエ、中性的な美少年タイプ。
この中で一番年若い。真っ直ぐな髪を肩で切り揃えている。
クラウディアが幼いので若い少年が選ばれたと思われがちだが、
剣も魔法も上手く使いこなす万能型で、伸びしろがある事を見込まれた。
ターコイズグリーンの髪色のクライド・イステル。穏やかな印象を与える見た目とは真逆の鬼畜タイプ。
徹底的に叩く事をモットーとしている。
サフランイエローの髪をポニーテールにしている明るい印象を与える騎士、イェルク・ガリマール。
爽やかで好青年な美形イケメンに見えるのは見た目だけ。
敵認定すると容赦の無さは冷酷非道で、時々やり過ぎない様に注意を受ける。
クライドとイェルクは共に、暗部にも所属しており、いつもは私の影として護衛をするようだ。
今回は、顔見せの為に現れただけで、通常は接触は緊急時以外はしないとのこと。
イェルクは終始人懐っこい笑顔だったので、暗部に所属してると聞いた時はびっくりした。
暗部って影は勿論だけど、暗い部分を担う組織だよね?暗殺業とか破壊工作みたいな…
光が強ければそれだけ闇も強い的な奴?イェルクは怒らせない様にしよう。
カーマインレッドの燃える様な赤い髪色を持つ、ランベルト・コルトー。
10組目の大トリを務めた騎士の1人で、実力は近衛騎士団の中でも折り紙付き。
通常時によく同伴させるのはこのランベルトと、もう1人の10組目の騎士になる。
エメラルドグリーンの髪色を持つ、ウルリヒ・クラルティ。10組目の大トリの1人。
剣を交えて戦うというより、参謀タイプ。
計算しつくした戦い方で相手を翻弄させるのが得意。
いざっていう時に、次にピンチを打開出来るかを瞬時に判断し的確なアドバイスが出来る。
困った時のウルリヒといった風である。
「――――以上9名。そして最後に、近衛騎士団副団長カルヴィン・エックハルトと申します。
姫様付き護衛騎士として選ばれた事、大変光栄に思っています。
私は副団長も兼任している為、常にお側に居られる事は少ないですが、騎士10名で全力で守ります。
姫様と、ヴァイデンライヒ帝国に忠誠を誓います。」
カルヴィンさんのクロムイエローの髪がキラキラしていた。
捧げられた剣に触れ、カルヴィンさんの額にそっとキスをする。
精神に作用された身体はぐったりなのに、思考は冴え渡っている。
「皆さんの忠誠に有り難くお受けします。その忠誠に恥じぬ皇女となる様努めます。これから宜しくお願いします。」
アンナに仕込まれた台詞を5才児のお澄まし顔で述べた。
――――アンナに事前に注意を受けていた。
「時々仰られる、お巫山戯はダメですよ。姫様が幼いので略式になった忠誠の儀とはいえ、とても大事な場ですからね。」
「騎士の忠誠とは、貴方に命を預けますと同義なのです。姫様の御身の為に、身命を賭して守り戦いますと誓う儀なのですから。」
怖いくらい目が真剣だったアンナ…
――――あれは巫山戯てたのではなく、5才児としてあるべき姿と思ってたんだけどな…
実際、クラウディアは私の記憶が戻るまでは、あんな話し方だったよね…?
そして、覚えたての拙いカーテシーを騎士達に披露し、締めくくった。
もうイケメンお腹いっぱいのクラウディアである。
しっかりと終えた私を見て、アンナが聖母の微笑みで喜んでくれたのでホッとした。
頑張ったご褒美?に、シュヴァリエの誕生日プレゼントの刺繍の件はオッケーが出た。
嬉しい!
素敵な布地をアンナが用意してくれるとの事、頑張ってチクチクするぞー!
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