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27話

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「あぁ、なんか苦しそうだったから助けてやったことはあるぞ。他の魔族にも困っている奴らがいたら助けろと命じている」

 めっちゃいい人だった。
 でも、それなら傷を治すだけでよくね?と思う。
 
「その闇状態の動物達が凶暴化して人間を襲っているんですけど」

「だって人間に負わされた傷だろ?復讐したいんだと思ったから力を分けた」

 うわぁー、親切心だったー。
 こういうタイプが1番辛い。
 親切心で行動してたら実は余計なお世話で相手を悲しませている、なんて悲しすぎる。
 でも勘違いしているなら真実を伝えなければならない。

「あの、力を分けてもらったジャイアントベアーは悲しんでましたよ。誰も傷つけたくないって」

「そうだったのか、それは悪いことをしたな」

 ………うん。
 別に気にしないと思ってたよ。

「傷を治すだけとかはできるんですか?」

「もちろんできる」

「なら助ける時はそれだけにしてあげてください」

 とりあえず闇状態の問題はこれで解決かな。と思ったが、そもそも魔族と人間は敵対関係にあるのか気になった。

「魔族と人間ってどんな関係なんですか?」

「どうって、あまり関わらないな」

「私が召喚された理由は魔王に襲われているからってことだったんですけど」

 一瞬、空気が凍った気がした。
 
「………それは本当か?」

 魔王さん?!殺気ダダ漏れですけど!!
 私じゃなかったら今頃気絶してたよ!
 実際に後ろにいるお付きの人は立っていられなくて地面に座っちゃってるし。

「殺気、殺気抑えて!」

 慌てて話しかけると少しずつ収まってくる。

 すると部屋の外から誰かがドタバタと走ってくる音が聞こえた。
 足音は扉の前で止まり、直後扉がノックされる。

「入れ」

「失礼します。外に人間の大群が迫ってきました。中には勇者もいるようです」

「直ちに応戦しろ」

「はっ」

 またまた慌ただしく出ていった。
 ん、まてよ?勇者ってもしかして恵太じゃね?
 大群って言ってたけど、さっきまで一緒にいたからみんなできたのかな。

「お前はここにいろ。様子を見てくる」

 そういえば応戦とか言ってたよね。
 それはさすがにやばい!

「ちょっと待って、多分私の知り合いだから戦わないで欲しいんだけど」

「そうなのか?」

「多分、一緒に連れてってくれない?」

 すると景色が変わり、室内にいたはずなのにあっという間に外にいた。
 目の前には戦っている魔族と人間が。

 よく見るとやはりクラスメイト達とアリーシアさんだった。
 どうしようか考えていると大声で呼ばれる。

「あい!そいつから離れて!!」
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